【札幌記念】スローペース濃厚で先行勢に好機 東大HCの本命はステイフーリッシュ

東大ホースメンクラブ

札幌記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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スローペース濃厚で後方待機勢は用なし

8月22日(日)に札幌競馬場で行われる札幌記念(GⅡ・芝2000m)。出走予定の13頭のうち9頭が重賞ウィナーであり、夏のスーパーGⅡという名に恥じぬ好メンバーが集まった。

桜花賞まで無敗で駆け抜けた白毛馬ソダシと海外GⅠを制し復調気配漂うラヴズオンリーユーの2強といった見立てが多いが、他にもグランプリホース・ブラストワンピースや重賞3勝のユーキャンスマイルなどスタンバイ。夏競馬で最もハイレベルな一戦を制するのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


札幌記念過去10年ペース,ⒸSPAIA


最初に過去10年のレース傾向を分析する(13年は函館競馬場での施行)。前半1000mの通過タイムに注目してみると、60秒を切ったのは6レース、60秒以上の緩い流れが4レースであった。前者においては展開を利した差し馬の好走が目立ち、馬券になった18頭のうち10頭が4角7番手以下といった健闘ぶり。逆に後者において同7番手以下から馬券に絡んだのはナリタハリケーン(17年・8番手)とペルシアンナイト(20年・7番手)の2頭のみ。展開次第で脚質バイアスがシンプルに変化する。

今年のメンバーを見るに、逃げるのはサトノセシルかトーラスジェミニのどちらか。後者が近走で控える競馬をしていることを考えると両者とも絶対にハナが欲しいタイプではなく、序盤から激しい競り合いが起こるとは考えづらい。今年は前半1000mを60秒台で通過するゆったりした流れになりそうで、ディアマンミノルやユーキャンスマイルといった追込馬は軽視する方向で考えるべきだろう。


最内枠が抜けた好成績

札幌芝2000m過去5年の枠別成績,札幌記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA



〈過去5年の札幌芝2000m(1勝クラス以上)〉
1枠/勝率13.0%/連対率18.8%/複勝率31.9%/単回収率106%/複回収率77%
2枠/勝率5.7%/連対率14.3%/複勝率17.1%/単回収率38%/複回収率59%
3枠/勝率6.6%/連対率14.5%/複勝率23.7%/単回収率99%/複回収率75%
4枠/勝率11.0%/連対率22.0%/複勝率30.5%/単回収率82%/複回収率90%
5枠/勝率7.0%/連対率15.1%/複勝率26.7%/単回収率65%/複回収率80%
6枠/勝率5.8%/連対率14.0%/複勝率18.6%/単回収率44%/複回収率58%
7枠/勝率13.0%/連対率20.7%/複勝率28.3%/単回収率91%/複回収率85%
8枠/勝率2.0%/連対率8.2%/複勝率14.3%/単回収率12%/複回収率27%

次に過去5年の札幌芝2000m(1勝クラス以上)における枠別成績をみる(参照期間16/08/21~21/08/15)。まず目につくのが1枠の好調ぶり。札幌記念に限っても1枠に収まった馬は4連勝中で最内枠を引いた馬は絶対に押さえておくべき。ちなみに札幌記念では1番人気馬が【1-4-3-2】と勝ち切れていない。単勝で勝負するなら人気ではなく帽子の色を重視した方が配当的にも的中率的にも吉と言えるだろう。

他の枠に関しては8枠を除き特に優劣はない。示したデータだけでは2枠が不振に映るが、札幌記念の2枠は【0-3-0-11】で連対率21%と優秀で特に嫌う必要はない。ただ8枠はあらゆる項目において他から大きく劣っており大幅な割引が必要。6番人気以下での好走例は皆無で、27%という低い複回収率を考えると買い目に含める必要はまずない。人気馬ということで一考の余地はあるものの、ソダシにとっては厳しいデータだ。


展開を味方に久々のタイトルへ

◎ステイフーリッシュ
新馬戦以外は全て重賞を使われているものの、全体成績は【2-5-7-10】と半数以上は馬券内の堅実な馬。特に昨年の目黒記念以降は掲示板を外しておらず、GⅡ以下では安定した成績を残している。前走・京都記念では4角で逃げ馬を交わして先頭に立ち、最後にラヴズオンリーユーに差されはしたものの2着と、6歳になってもしぶとい走りで結果を残した。データ的に絶好の1枠を引き、スローペース濃厚で先行勢に有利な流れとなりそうなのもプラス。京都新聞杯以来3年ぶりのタイトル奪取にむけ条件は揃った。

◯ラヴズオンリーユー
昨年は一時スランプに陥りGⅡでも中々勝てない状況が続いていたが、近2走は海外GⅠで好走しており完全復活。無敗でオークスを制した素質馬が再び輝きを取り戻した。また過去10年の札幌記念で上がり最速馬は【3-6-4-1】と高い水準で安定。堅実な末脚を有している点は評価すべきで、13頭立てなら好位から差してくる本来の競馬ができそう。2000~2400mの国内戦では【3-1-2-0】と崩れ知らずで距離の心配もなく、馬券外に敗れるシーンは考えづらい。

▲トーラスジェミニ
逃げ候補のうちの1頭。以前は必ずといっていいほど逃げてレースを引っ張っていたが、今春から番手に控える競馬を覚えた。この新たなスタイルで安田記念5着、七夕賞1着と好走しており、近走の成長ぶりが著しい。前走で稍重の2000m戦を勝利していることから距離を不安視する必要はもはやなく、サマー2000シリーズ王者の座を手にする可能性は充分に秘めている。

△ソダシ
実力は言わずもがな。札幌2歳Sをレコード勝ちしているように洋芝自体に不安はないが、距離は大きな課題。クロフネ産駒は2000m以上の芝重賞を勝利した例がなく、前走から短縮されるとはいえ距離が持つかは不安。8枠に収まったことからも評価を下げざるを得ない。ファンが多く実力以上に人気する点も購買意欲を減退させ、馬券的にはソダシが飛ぶパターンの決着にも備えておきたい。

以下、格上挑戦のクイーンSで3着に好走したサトノセシル、久々の実戦となった函館記念8着からの巻き返しを狙うマイネルウィルトスまで印を回す。ある程度の人気が予想されるブラストワンピースについては、1着か着外かという極端なパフォーマンスをすることや不振傾向にある8枠に収まったことなどを嫌って無印とする。

▽札幌記念予想▽
◎ステイフーリッシュ
◯ラヴズオンリーユー
▲トーラスジェミニ
△ソダシ
×サトノセシル
×マイネルウィルトス

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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