【札幌記念】ソダシの制覇はあるのか? 不安材料は「初の古馬対戦」より「二強構図」にあり

緒方きしん

札幌記念の3歳馬・牝馬成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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大注目の「二強」対決

デビューから5連勝で阪神JF・桜花賞を制した、令和のアイドルホース・ソダシ。前走オークスでは初めての敗北を経験したが、今回は初めての"古馬との対決"を迎える。

札幌競馬場は昨年の札幌2歳Sで勝利しているように、苦手な条件ではないはず。しかし迎え撃つ古馬勢の筆頭に構えるラヴズオンリーユーは、今年に入ってから1着(京都記念)、3着(ドバイSC)、1着(QE2世C)と一線級で安定した活躍を見せ、風格は十分。ソダシVSラヴズオンリーユーと、競馬界が注目する「二強」対決となった。

札幌記念の「二強」対決で思い浮かぶのは、ハープスターとゴールドシップが激突した2014年。現役屈指の実績馬ゴールドシップを3歳牝馬のハープスターが撃破し、凱旋門賞挑戦へ弾みをつけた。一方で「3歳牝馬」「凱旋門賞」といえば2009年のブエナビスタも連想する。こちらは単勝1.5倍のブエナビスタが7番人気のヤマニンキングリーにクビ差敗れ、凱旋門賞への挑戦プランも消滅。あの年も単勝10倍を切るのがブエナビスタ・マツリダゴッホという「二強」対決の構図だったが、マツリダゴッホも9着に敗れている。

実はハープスターの年はトウケイヘイローも単勝7.5倍と人気を集めていた。単勝オッズ一桁台が2頭という極端な「二強」の構図となった札幌記念は少なく、2000年以降で3回。2003年こそ2番人気→1番人気のワンツー決着となったが、2012年、2009年はいずれも「二強」以外の伏兵が勝利。マークを尻目にペースひとつで伏兵が勝ちきれる点は、札幌記念における「二強」対決の難しいところだ。

3歳牝馬は意外にも「安定」の成績

2010年以降のデータを調べると、牝馬は3勝をあげているものの、3歳馬の勝利はハープスターの1勝のみ。レインボーライン、ヤマカツエース、ゴーフォザサミットらが敗れている。ただ3歳馬は有力どころが出走してくること自体がさほど多くないため、ある程度人気なりに走っていると見ていい。ブエナビスタの場合も敗北のインパクトはあるものの、数字だけ見ると「1番人気2着」と、決して大崩れしたわけではない。

さらに時代を遡って3歳馬の挑戦を見ても、ジャングルポケットこそ3着だったが、エアエミネム・サクラプレジデント・アドマイヤムーンは勝利。1番人気or2番人気で馬券圏外に沈んだ3歳馬は、2000年以降だとマイネルチャールズ(6着)、ヒルノダムール(4着)と、むしろ少数派になる。3歳牝馬だと2000年以降3頭が出走しているが、ハープスター(2番人気1着)・ブエナビスタ(1番人気2着)・ハナズゴール(5番人気4着)と、いずれもほぼ人気通りの決着だった。斤量などの優遇が受けられる3歳牝馬にとって、札幌記念はむしろ力を出しやすい舞台と言える。

1997年エアグルーヴ・エリモシックのワンツー以降、牝馬による1、2着独占はない札幌記念。2014年、2020年に牝馬の1、3着決着はあるが、果たして今年はどうなるか。データを見る限り、ソダシの壁となるのは「3歳牝馬で挑む札幌記念」ではなく「二強で挑む札幌記念」となりそうだ。初の古馬対決というフィルターよりも、展開面など他馬の戦略に注意を払いながら予想したい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。


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