【北九州記念】前走「小倉」の「CBC賞」の「1着馬」が狙い目 ファストフォース文句なし!

門田光生

2021年北九州記念に関するデータ,ⒸSPAIA

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「ナツコク」の名物

2021年8月22日に小倉競馬場で行われる第56回北九州記念。北九州記念といえば、以前は夏の小倉(ナツコク)の開幕週を飾る一戦であった。

今の施行条件、すなわち1200mのハンデ戦となったのは2006年から。真夏に行われることもあって超大物の参戦は望みづらいが、それでも2008年にはスリープレスナイトがここをステップにしてスプリンターズSを制しており、一応は条件変更が成功したといえるか。

また、北九州記念は追い込みが利くレースで有名なのだが、今年のナツコクは連続開催でなく、3週間の休みを挟んでいる。先週の小倉記念を見る限り外差しが利きそうな気配はあるが、果たして結果はどうなるのか。そのあたりも気になるところだが、まずは過去10年のデータを基に傾向を調べていきたい。

北九州記念出走馬の所属,ⒸSPAIA

北九州記念出走馬の性別,ⒸSPAIA


まずは東西の所属別から。先週の小倉記念もそうだったが、栗東所属馬が出走数、そして連対数ともに美浦所属馬を圧倒している。近年は特にその傾向が強まっており、ここ3年で美浦所属の出走馬は1頭だけ。今年も美浦所属の登録はいなかった。

小倉記念と傾向が違うのは性別。小倉記念は牡馬が18連対だったが、この北九州記念は牡馬、牝馬とも5勝ずつ。2着の数は牝馬の方が多く、「夏は牝馬」の面目躍如といったところか。

北九州記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


では、年齢別で比べるとどうか。連対数では5歳の8連対、勝率と連対率では4歳(6連対)がトップ。小倉記念と同様、この2世代が中心となっている。不振なのは7歳以上。29頭が出走し、2016年のバクシンテイオー以外はすべて圏外となっている。ちなみにバクシンテイオーは、ここ10年で唯一の美浦所属での勝ち馬。2016年はデータ泣かせの年だった。6歳は3勝、2着はなし。可もなく、不可もなくといった数字だが、実は2018年から3連勝中。近年の傾向、勢い重視なら6歳馬から入る手もありだろう。3歳馬は22頭が出走して2着が最高着順となっている。

北九州記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA

北九州記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


「夏は牝馬」と同様に「夏は上がり馬」という格言もある。前走で条件戦を走っていた馬の成績はというと、2勝クラスから【1-1-0-2】、3勝クラスから【1-3-1-15】。いきなりの重賞挑戦を思えば健闘している方だろう。

北九州記念と相性のいい前哨戦はアイビスサマーダッシュ。最も多い3勝、それを含めて9頭が馬券に絡んでいるが、今年は参戦なし(前走取り消したロジクライはノーカウント)。というわけで、注目は2勝を挙げているCBC賞組。アイビスサマーダッシュには及ばないが、今年のCBC賞は小倉で行われているので、例年より前哨戦としての価値がありそうだ。

北九州記念におけるプラスデータ,ⒸSPAIA

北九州記念におけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


最後に、北九州記念におけるプラスデータとマイナスデータを書き出していく。まずはプラスデータ。このレースはハンデ戦だが、55キロを背負った馬が最多の7連対。また、前走から斤量増となる馬の成績が、据え置きか斤量減の馬よりいい。あとは前走1着馬の成績が抜群によく、全体の半分以上を占める12連対を挙げている。

マイナスデータも、まずはハンデから見ていく。結果が出ていないのは51キロ以下の軽ハンデ馬で、該当する22頭から連対馬なしとなっている(3着が1頭)。また、前走9着以下だった49頭から勝ち馬は出ておらず、2着が1回、3着が2回あるだけ。前走2着馬(15頭)、前走でコンマ8秒以上負けた馬(49頭)、前走が1400or1600mを走った馬(17頭)からは連対馬すら出ていない。

コンマ5キロは余計なのか

北九州記念のデータをまとめてみると、好走確率が高いのはA「牝馬」B「CBC賞組」C「ハンデ55キロ」D「前走から斤量増」E「前走1着馬」の5つ。

勝率が低く出ているデータはF「7歳以上」G「ハンデ51キロ」H「前走9着以下」I「前走2着馬」J「前走でコンマ8秒以上の負け」K「前走が1400か1600m」の6つ。

今回、注目したいデータはB「CBC賞組」。3頭の勝ち馬を送り出しているアイビスSD組がおらず、今回のメンバーだと2勝のCBC賞が前哨戦としてはトップ。勝率、連対率とも特筆すべき数字ではないが、ポイントは小倉で行われたということ。前走を場所別で比較すると、前走で小倉を使っていた馬は、他場と比べても抜けて勝率がいい。昔と違って滞在する馬は少なくなっているから輸送面での有利不利はなし。となると、やはり続けて同じコースを走れるというのが利点なのだろう。

特に今年のCBC賞を勝ったファストフォースは、このレースで4勝を挙げているハンデ55キロ、さらにプラスデータである「前走から斤量増」、「前走1着」も同時に満たしている。マイナスデータがひとつもなく、文句なしの1番手といっていいだろう。

3連勝中の6歳馬は5頭が登録しているが、マイナスデータがないのはジャンダルムとモズスーパーフレアの2頭。ジャンダルムはD「前走から斤量増」E「前走1着馬」、モズスーパーフレアはA「牝馬」D「前走から斤量増」と、2つのプラスデータがある。

ただ、気になるのはハンデ。前者が57.5キロ、後者は56.5キロなのだが、コンマ5キロのハンデを背負った馬の成績は【0-1-2-6】で勝ち馬が出ていない。過去10年で57.5キロ以上のハンデを課せられた馬は馬券に絡んでいないので、人気を考えてもジャンダルムは消した方が妙味がある。モズスーパーフレアの場合は、実は56.5キロというのは昨年2着時と同様のハンデで、さらに高松宮記念からというローテーションも同じ。再現(2着)があってもおかしくないと考えて2番手。

続いてはボンボヤージ。牝馬に加えて、連対率が35%を超える前走1着馬というのはやはり魅力。あとは牝馬でCBC賞組。これに該当するのは4頭で、アウィルアウェイは上記で出てきた55.5キロで、コンマ5キロが余計。メイショウケイメイとヨカヨカは連対例がないハンデ51キロ。というわけで、2勝を挙げている53キロのノーワンが4番手。

あと1頭挙げるならファンタジステラ。成績のよくない7歳馬だが、唯一勝った7歳馬バクシンテイオーと同じハンデ54キロ。ほかにマイナスデータを持っていないし、前走1着馬は押さえた方がよさそうなので、これが5番手。

◎ファストフォース
◯モズスーパーフレア
▲ボンボヤージ
△ノーワン
×ファンタジステラ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
クーラーに弱くなっています。今年、つけっぱなしで寝たのは1回だけ。その1回も、朝起きたらきっちり体調がおかしくなっていました。扇風機もタイマーでないとだめ。こんなところでも衰えを感じる今日この頃です。



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