【小倉記念】人気馬に死角あり! タフな馬場ならスタミナ豊富なモズナガレボシが穴

山崎エリカ

2021年小倉記念PP指数,ⒸSPAIA

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ど不良が予想される小倉記念

昨年同様に異例の小倉の開幕週で行われる小倉記念。今年は2回小倉ではなく、4回小倉で行われる。今開催は前開催から約1ヵ月ぶり。エアレーションが施されていることから、開幕週でもある程度は時計を要し、開幕週でも差しが決まる可能性が高いと見ていたが、記録的な雨が降るとのこと。ど不良が予想される。

また、小倉芝2000mが舞台の小倉記念は、過去10年で追い込み馬の1着が1回、連対が3回に対して、逃げ馬の連対はゼロ。なぜ、逃げ馬が不振なのかというと、これは小倉芝2000mのコース形態にある。

逃げ馬は先頭でコーナーに侵入し、コーナーで最短距離を回ることで息を入れながら後続とのリードを広げるものだ。ただ小倉芝2000mは、最初のコーナーまでの距離は約472mと長い。このため逃げ馬は序盤から積極的に行かないと後続とのリードを広げられないし、同型馬が多数出走していれば、競り合いは免れない。向正面の距離が長く、最後の直線も約293mと短いため、後続馬が向正面から動いてくることで、緩みないペースが生まれやすいというのもある。

ただ、あまりに馬場が悪化した場合は、脚質の有利不利よりもスタミナで決まることのほうが多いので、そこも踏まえて予想を組み立てたい。

能力値1~5位馬の紹介

2021年小倉記念PP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 ファルコニア】
デビューしてから大崩れしたのは、休養明けの神戸新聞杯のみという堅実派。前走のエプソムCは出遅れて後方からになったが、3~4角の内ラチ沿いから発馬ロスを挽回。直線序盤では中団の内目でまごつくヴェロックスの前の位置を取り、そこから馬場の良い外に出し、3着と好走。直線で馬場のギリギリ良い内目を走らせたことで、勝ち馬と0.3秒差に好走した。つまり、鞍上の判断力の良さ、上手さが功を奏した一戦だったということ。それで指数最高値を記録となると、ここで更なる上昇があるかどうかは微妙。また、重~不良馬場では内からどんどん馬場が悪化していくので、2番枠もマイナスになる可能性が高い。

【能力値1位 ショウナンバルディ】
近3走は安定して好成績を残している。前走の七夕賞はスタート直後に外のカウディーリョと接触があり、そこから無理せず中団よりやや前からレースを進める形。先行馬である同馬とカウディーリョが前の位置を取り切れなかったこともあり、レースは行った、行ったの前残り決着となった。この馬は内目から直線で外に出して勝ち馬と0.2秒差。差す競馬で指数最高値を1pt更新と、新味を見せた。

問題点があるとすれば、2~3走前のように勝ちに行く競馬をした場合だろう。2~3走前は、高速馬場をマイペースで逃げられたことで3着、2着と善戦したが、タフな馬場で積極的な競馬をすると、ペース次第では失速の恐れがあること。実際に道悪の4走前の福島民報杯では、オーバーペースで逃げた影響もあるにせよ、16着大敗を喫している。

【能力値3位 ヴェロックス】
クラシック3冠で全て3着以内の実績があり、ここでは格上的な存在。前走のエプソムC時はかなりデキが良かったはずだが、鞍上が直線序盤でまごつき、前にファルコニアに入られ、先団が外に広がったことで進路がなくなった。結果、馬場の悪い内を通り4着に終わった。鞍上が直線序盤でしっかりと外へ出す意識を持って乗っていれば、3着はあっただろう。前走で能力を出し切れなかったことは確かだが、今回はトップハンデ57㎏と重いし、休養明けを一度使われたことで順当に上向くかは、何とも言えないものがある。

【能力値4位 ダブルシャープ】
昨年12月の休養明けの一戦こそ崩れたが、ここ2年間は条件戦でずっと安定した成績を残しているように、実力はある。前走の不知火Sは行きっぷりが悪く、最後方からの競馬になったが、向正面のラスト4F過ぎから外を進出開始。4角では4頭並走の一番外でコーナーロスが大きかったが、マイペースの競馬で逃げ粘るグランスピードをゴール前で捉えて勝利。前半3Fが36秒7とかなり遅い流れを、自ら動いて勝利した内容も好ましく、充実していると言える。

2回小倉最終日のタフな馬場で行われた4走前の壇之浦Sでも2着に好走しているように、スタミナは豊富。また、下級条件でも安定して走れる馬は、成績以上に高い潜在能力を持っていることも多い。この馬も重賞で通用する力はある。

【能力値5位 スーパーフェザー】
3歳時には青葉賞で1番人気に支持された素質馬。長い伸び悩みの時期があったが、近2走はある程度結果を出している。ただ前走の不知火Sは出遅れて後方からレースを進め、3角で前に動いたダブルシャープを追いかけるように進出。同馬を目標に動いたことが功を奏し、3着を死守した面がある。それでありながら、直線ではダブルシャープに引き離され、逃げたグランスピードも捉えられずの3着だったことから、信頼しきれない面もある。

■穴馬は、スタミナ豊富なモズナガレボシ
モズナガレボシはデビューから長い間ダートを走っていた馬だが、芝路線に転向してから上昇中。芝では大崩れせずに安定して走れている。前走の佐渡Sは、差し馬が上位を占める一戦で、勝ちに行く競馬で3着。勝ち馬は3歳牝馬のアナザーリリックで斤量が52㎏だったのに対して、この馬は斤量57㎏と明確に重かったことからも、内容が濃い。今回はハンデ53㎏と軽く、チャンスは十分にありそうだ。また芝2600mの5走前、皿倉山特別で3勝目を挙げ、3走前の芝2400m御堂筋Sで自己最高指数タイを記録する等、長距離実績があることからも、豊富なスタミナがあると言える。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ファルコニアの前走指数「-19」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.9秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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