【関屋記念】良馬場以外では連対率100%! 東大HCの本命は好枠ゲットのクリスティ

東大ホースメンクラブ

関屋記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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今年は道悪適性の有無もカギに

8月15日(日)に新潟競馬場で行われる関屋記念(GⅢ・芝1600m)。夏の新潟、古馬のマイル重賞に18頭が集結した。NHKマイルCで惜しくもハナ差の2着に敗れた3歳馬ソングライン、サマーマイルシリーズの第2戦・中京記念で念願のタイトルを手にしたアンドラステ、今年の東京新聞杯を制し充実ぶりが著しいカラテなど実績馬が多く出走予定。混戦を抜け出して勝利を飾るのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去10年関屋記念レース傾向,ⒸSPAIA


最初にレース傾向を分析する。スタート後に長い直線があるものの、ここで激しい先行争いが行われてHペースになるといったことはなく、基本的にはスロー~ミドルペースで流れる。またターン後に日本最長の直線が待つのも新潟外回りの大きな特徴。どの馬も苦しくなって最後の1Fはレースラップ的にも落ち込む。なるべくスピードを落とさずに走り切る持続力が求められる。

ただ、執筆時点での天気予報によると、土曜は大雨で日曜当日も若干雨が降るようだ。過去10年で稍重以下のコンディションで行われたのは1レース(2014年)のみで、先に述べたレース傾向だけでは心許ない。そこで参考にしたいのは良馬場ながら時計のかかる馬場で行われた昨年のレース。1~3着馬の戦法は追込、逃げ、差しとバラバラであったが、好走馬には共通して道悪実績があった。渋った馬場での施行が濃厚な今年は持続力と併せて道悪適性も重視したい。


露骨に外枠が有利

過去5年新潟芝1600m枠別成績,ⒸSPAIA


〈過去5年の新潟芝1600m・1勝クラス以上〉
1枠/勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率19.8%/単回収率105%/複回収率79%
2枠/勝率7.5%/連対率10.4%/複勝率17.0%/単回収率86%/複回収率42%
3枠/勝率5.5%/連対率11.8%/複勝率17.3%/単回収率106%/複回収率119%
4枠/勝率2.7%/連対率9.7%/複勝率15.9%/単回収率34%/複回収率41%
5枠/勝率5.9%/連対率15.3%/複勝率20.3%/単回収率76%/複回収率70%
6枠/勝率7.3%/連対率13.7%/複勝率21.0%/単回収率55%/複回収率76%
7枠/勝率7.3%/連対率16.1%/複勝率23.4%/単回収率51%/複回収率76%
8枠/勝率10.5%/連対率16.8%/複勝率25.2%/単回収率80%/複回収率85%

次に過去5年の新潟芝1600m(1勝クラス以上)における枠別成績をみる(参照期間2016/08/14~2021/08/08)。複勝率ベースで比較すると明らかなように、5枠から外の枠が内枠に比べ有利。さらに5~8枠のうちでもより外である方が好ましく、5枠と8枠では複勝率に5ポイントもの開きがある。関屋記念も例外ではなく、過去10年で7枠が【5-1-1-17】・複勝率29%、8枠が【3-4-0-18】・複勝率28%と外枠有利の傾向が顕著。昨年は桃帽2頭がワンツーを決めており、外枠に収まった馬は侮れない。


過去5年新潟芝1600m枠別成績(稍重以下),ⒸSPAIA


〈上記のうち、稍重・重馬場の成績〉
1枠/勝率5.3%/連対率15.8%/複勝率36.8%/単回収率24%/複回収率92%
2枠/勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%/単回収率69%/複回収率46%
3枠/勝率5.0%/連対率15.0%/複勝率15.0%/単回収率200%/複回収率83%
4枠/勝率0.0%/連対率4.8%/複勝率4.8%/単回収率0%/複回収率18%
5枠/勝率4.8%/連対率19.0%/複勝率19.0%/単回収率217%/複回収率119%
6枠/勝率8.3%/連対率8.3%/複勝率20.8%/単回収率47%/複回収率55%
7枠/勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率29.6%/単回収率125%/複回収率112%
8枠/勝率14.8%/連対率18.5%/複勝率25.9%/単回収率118%/複回収率111%

また今年は雨で馬場が渋ることが予想されるため、上で参考にしたレースのうち稍重または重に限った枠順成績も示しておく(期間内に不良馬場のレースはなし)。全体的に見ると外枠有利には変わりないのだが、最も優秀なのは複勝率37%を記録している1枠。馬場が渋ると白帽を引いた馬にも一考の余地が出てくる点は発走直前まで覚えておきたい。


道悪での実績を評価

◎クリスティ
2走前の六甲Sでは3角からリードを広げていって最後まで残すしぶとさを見せ、OPでも通用する力を示した。前走ヴィクトリアマイルでは積極的な競馬をして10着に敗れたが、相手が強かった上、この馬自身ムラのあるタイプなので仕方なし。巻き返しは十分に期待できる。また稍重・重馬場では【2-2-0-0】と高い水準で安定しており、渋った馬場では他馬と比較しても引けを取らない。予報通り雨が降って馬場が渋るようならこの馬にとっては大きなプラスだ。さらに、過去10年で5勝を挙げている7枠。外枠から逃げて2着に残した昨年のトロワゼトワルのようなレース運びができれば。

◯ソングライン
前走・NHKマイルCでは桜花賞の無念を晴らす大健闘。最後は差されハナ差で敗れたが、3着馬には2馬身半の差をつけた。勝ったシュネルマイスターは安田記念で3着と一線級の古馬に交じっても上位に食い込んでおり、レースレベルないし世代のレベルはかなり高い。枠も6枠11番と有利な外目を確保したことで懸念点はいよいよなくなり、1番人気でも逆らい難い存在。前走で涙を呑んだ池添謙一騎手との再タッグにも胸が躍る。

▲ロータスランド
今年に入ってから3連勝でOP入りした勢いのある馬。前走・中京記念では逃げたディアンドルに振り回され、コーナーで外に膨れた上直線で寄られる不利があった。それでも5着と掲示板は確保しており、人気の上がり馬にしては何とか踏みとどまって実力を示した形。稍重~不良馬場では【3-1-0-0】とパーフェクト連対で渋った馬場も合う。内目の枠が気掛かりではあるが、能力だけでいえば勝ち負けに加われるものを持っている。

△サトノアーサー
昨年の関屋記念の覇者。近3走はマイル重賞を使われているものの、いずれも掲示板外に敗れており多少の衰えを感じずにはいられない。ただこの馬の持ち味であるキレは時計のかかる馬場でこそ発揮され、それは昨年の関屋記念でのパフォーマンスを見ても明らか。1年ぶりの適条件戦で近走の停滞を晴らす走りに期待したい。

以下、骨折から立ち直って堅実な走りを見せているグランデマーレ、左回りに良績が集中しているシャドウディーヴァ、中京記念を制しサマーマイルシリーズ優勝を狙うアンドラステまで印を回す。関屋記念では過去10年で10番人気以下が【0-0-0-70】と絶望的な成績であるため、極端な穴狙いは避け中穴までの馬で馬券を組み立てて勝負したい。

▽関屋記念予想▽
◎クリスティ
◯ソングライン
▲ロータスランド
△サトノアーサー
×グランデマーレ
×シャドウディーヴァ
×アンドラステ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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