【北九州記念】今年も波乱必至!穴候補はアウィルアウェイとボンボヤージ 当日まで覚えておきたいデータとは
勝木淳
ⒸSPAIA
オープンならやれるが、重賞だと足りない馬
サマースプリントシリーズの第4ラウンドは北九州記念。このレース、ハンデ戦ということでとにかく難解。人気が割れる混戦模様から大波乱決着というケースが多い。今年はCBC賞が小倉で行われたこともあり、一層そのつながりは注目される。
例年だとCBC賞組はやや苦戦する傾向にあるが、今年に限っては当てはまらない可能性がありそうだ。手薄な組み合わせだったアイビスSD組の出走が少なく、例年とはちょっと違う図式になりそうな北九州記念について、過去10年間のデータから傾向を探っていく。
1番人気は【0-3-1-6】。20年にマーチSの1番人気連敗記録が止まり、数少ない1番人気が10連敗中のレースになった。昨年は高松宮記念を勝ったモズスーパーフレアが2着などどうにも勝てない。やはり原因は、紛れやすい小倉芝1200m、フルゲートのハンデ戦という設定にある。とにかく力通りに決まらない。1~3番人気より6番人気【2-0-1-7】勝率20%、複勝率30%、8番人気【5-0-0-5】勝率50%が率としては上位という、穴党にとって真夏のお楽しみレースである。
今年はCBC賞5着ヨカヨカ、函館SS9着シゲルピンクルビーなど3歳の参戦も目立つ。そこで年齢別成績を出すと、3歳は【0-2-2-18】複勝率18.2%とちょっと冴えない。この2頭と同じ前走GⅢ組は【0-0-1-6】。3着は18年7番人気ラブカンプー。これ以外はベルカントやアサクサゲンキなどの重賞ウイナーが人気に支持され負けている。
主力になるのは4歳【3-3-5-16】勝率11.1%、複勝率40.7%だが、5歳【3-5-1-39】勝率6.3%、複勝率18.8%、6歳【3-0-2-37】勝率7.1%、複勝率11.9%など差があるわけではない。7歳以上は16年8番人気バクシンテイオーが7歳で勝利したのみ。決して油断はならないが、高齢馬はやや苦戦といっていい。
波乱含みのハンデ戦とあってやはりハンデの傾向は重要。実績馬が背負う57キロ【1-0-0-8】など56キロ以上は【2-2-1-32】と過去の成績がアテにならない。確率が高いのは、オープンならやれるが、重賞実績は少し足りない55キロ【4-3-0-21】勝率14.3%、複勝率25%。52~55キロが【8-8-6-83】と好走ゾーン。
格下も十分戦えるが、ここには基本2キロ減の牝馬【5-6-7-58】も影響している。55キロ4勝のうち、2頭は重賞実績があった牝馬(15年ベルカント、19年ダイメイプリンセス)だ。なお53キロの2勝も牝馬(14年リトルゲルダ、17年ダイアナヘイロー)。ここは牡馬換算だと55キロ、つまりオープン実績はあるが、重賞だと足りないといった馬。このタイプを北九州記念では重視したいところだ。
CBC賞組は素直に評価すべき
では「オープンではそこそこやれて、重賞だと足りない」というタイプのなかから具体的にどんな臨戦過程の馬がいいのか、前走データから探ってみる。
前走が重賞だった馬【5-4-7-83】、オープン以下だった馬【5-6-3-55】でほぼ互角。まずこの時点で北九州記念の難易度がつかめる。重賞では前走GⅢが【5-3-6-72】と好走馬の大半を占める。ちなみにモズスーパーフレアの前走GⅠは自身の昨年2着を含め【0-1-1-6】。まずはGⅢ組について。
GⅢ組の内訳をみると、好走はアイビスSD【3-3-3-34】、CBC賞【2-0-3-31】の2レースのみ。シゲルピンクルビーが当てはまる函館SSは【0-0-0-7】と好走はない。今年は最有力のアイビスSD組が手薄。CBC賞組は小倉だったこともあり、大挙出走する。
小倉から小倉なので、このデータが当てはまるかどうかは微妙だが、着順別成績を出すと、2着【0-0-0-5】はあるものの、4着以内だった馬の成績がいい。CBC賞組は並列と考えたい。勝ったファストフォース、3着アウィルアウェイを評価しつつ、5着ヨカヨカ以下は慎重にとらえよう。特にアウィルアウェイは昨年のこのレースで10番人気3着。つづくスプリンターズSも10番人気3着と夏に強く、ハイペースの混戦向きだ。前走のハンデは55.5キロ。これ以上は背負わされたくないところだ。
前走オープン以下【5-6-3-55】のうち、3勝クラス以下だった馬は【2-4-1-17】。このうち芝1200m戦だった場合は【2-4-1-14】。3勝クラス以下から来る馬は前走が芝1200mであることが好走条件になる。そこでその競馬場別成績を出すと、小倉だった馬が【2-2-1-6】だった。条件戦から来る馬、かつ小倉芝1200mだった馬には要注意。今年であれば、ボンボヤージがこのデータに合致する。今年の穴候補はズバリこの馬ではないか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。
《関連記事》
デアリングタクト、コントレイルも敗戦の春競馬 「雨の日の競馬は荒れる」は本当なのか
上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」
「関東馬の復権」「G1のルメール・川田・福永理論」 2021年上半期のG1をデータで振り返る
おすすめ記事