【小倉記念】大事なのはサマーシリーズの本気度と小回り適性 京大競馬研の本命は好走続くショウナンバルディ

京都大学競馬研究会

小倉記念の前走距離別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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距離延長組の好走は難しい

8月15日(日)に小倉競馬場で小倉記念(GⅢ)が行われる。皐月賞2着のヴェロックスや重賞3着が2回あるファルコニア、連覇を目指すアールスターなどが参戦する。実績がありながら勝ちきれない馬や小倉巧者の出走が多く、ここに懸ける思いが強い馬ばかり。ただこのレースについては出走馬の中で明暗分かれるデータが見つかり、馬券になりそうな馬をかなり絞ることができた。


過去10年小倉記念前走距離別成績,ⒸSPAIA


まずは過去10年の前走距離別データを調べた。前走2000mを使った馬の成績は【9-5-7-66】。頭数が多く複勝率は24.1%と案外な数値だが、前走七夕賞組が大半を占めておりサマー2000シリーズ優勝を狙っての出走と思われる。原則、前走2000mに該当する馬を中心に馬券検討をする必要があるが、今年の該当馬はショウナンバルディとアールスターのみ。

距離短縮組は【1-2-1-11】、複勝率は26.7%だが、今年は該当馬がいないため参考外。今年の出走馬の大部分を占める距離延長組は【0-3-2-32】と勝ちがない。理由を探るため過去20年まで遡ったところ【4-6-10-93】と勝ち馬は出ていたが、勝った4頭の内3頭は前走北九州記念(2005年までは芝1800mでの施行)で馬券になった馬で、ロサードやメイショウカイドウといった小倉巧者が該当。残りの1頭は前走安田記念を使ったGⅠ馬ドリームジャーニーだった。高い小倉適性や突き抜けた能力が無いと距離延長組の小倉記念での好走は難しいことが分かる。

今年人気になりそうな前走エプソムカップ組は過去20年【0-1-1-6】。上位人気になった例がないわりに健闘しているともとれるが、東京から小倉ではコース形態が全く違う。距離延長組を買うときは小倉で好走してきた組を買う方が良さそうだ。


6歳馬の連対は過去10年なし、4,5歳馬が中心

過去10年小倉記念年齢別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年の年齢別成績を調べた。高齢馬の頑張りもある夏のハンデ戦だが、このレースに関しては5歳馬【5-5-4-28】、4歳馬【4-3-0-19】と若い世代が中心になる。特に5歳馬は単勝回収率132%と優秀で軸にしたい年齢だ。特注は3歳馬【0-2-0-0】連対率100%だが今年は該当馬なし。

一方で6歳馬は【0-0-5-29】、過去10年で連対なしと気がかりなデータ。3着に入った5頭は中山や小倉といった小回りコースの準オープン以上での勝利があった。小倉記念での6歳馬の勝利は2005年のメイショウカイドウまで遡る。小倉巧者として先述したロサードも6歳時は1番人気ながら5着に敗退。相当な小倉適性が無いと勝ちきれない年齢になっている。今年は小倉で実績を残すダブルシャープがいるものの、6歳馬。アタマで買うのは危険か。


サマーシリーズ優勝を見据える馬から

◎ショウナンバルディ
近3走は先行して連続好走。その3戦は全て前残りの展開、しかも1着馬と着差が開いているため能力面はそれほど評価できないが、先述のように距離延長組と6歳馬が大不振で、データ上1着候補で買えるのがこの馬のみ。実績と先行力があり、少頭数の今回も展開が向きそうなので本命に推して問題ないと判断した。重馬場適性に疑問は残るが、他に重馬場巧者がいるわけではないので、勢いで乗りきってほしい。逃げれば勝ちきれるという期待も込めて本命。

◯ダブルシャープ
小倉開催の中京記念にも登録はあったが回避し、その週の3勝クラスで勝った。小倉は5戦4連対とやはり得意にしている。3勝クラスで戦ってきた相手は、重賞やリステッド競走でも好走していてレベルも高かった。同馬も小倉なら重賞で戦えるだろう。2000m戦では毎回差し損ねており勝ち鞍が無く、6歳馬のデータに該当するためアタマで来るかは不安も、安定した走りは期待できる。

▲ファルコニア
前走エプソムカップは出遅れ後方追走から3着まで。空いた内を通って出遅れのリカバリーには成功したものの、最後は垂れて外から差された点で距離延長に不安がある。しかし内目を器用に立ち回れた点は評価。小倉は芝2000mで1度勝っているように適性はある。重馬場が合うとは思えないが、今回は10頭立て、うち条件馬3頭と相手に恵まれた。出遅れなければ勝負になる。

△グランスピード
前走不知火Sは逃げて2着。小倉は4戦2勝2着1回と得意にしている。3番手以内を先行したときは掲示板を外したことが無く、得意コースで展開が向けば上位に食い込める。

消ヴェロックス
前走エプソムカップは4着。直線は内の悪いところを通らされる不利もあった。巻き返しに期待したいが、4歳春に脚部不安を生じて以降は先行しても伸びきれない競馬を繰り返している。復調がまだ、というだけでなく脚部不安の影響か3歳時と比較して能力に陰りが見られる。昨年の小倉大賞典は展開が向いたにも関わらず大敗しており、小倉コースの適性も疑問。現状の能力でただ1頭ハンデ57kgを課されることもマイナス。メンバーレベルは前走より落ちるため3着候補としては有りだが、馬連で勝負する筆者としては消したい1頭。

消アールスター
昨年の小倉記念を勝ってからは馬券圏内無し。斤量が増えて地力勝負になると厳しい。昨年の同レースも前崩れのハイペースを空いた内から差したもので、展開に恵まれた感は大きい。前残りのレースになると日経賞や七夕賞のようにさっぱり走らない。6歳馬のマイナスデータにも該当し、頭数が少なくても買いたくない1頭。

馬券はショウナンバルディからの馬連3点で勝負。実績より勢いが大切なレースになりそうだ。三連系を購入する方は印を打った4頭にヴェロックスを加えた馬券を推奨する。無理な穴狙いはせず少ない点数で堅実に的中させたい。

2021小倉記念 予想印
◎ショウナンバルディ
◯ダブルシャープ
▲ファルコニア
△グランスピード

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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