【エルムS】夏はコース巧者を狙え! 人気馬を打ち破ったマリーンS組

勝木淳

2021年エルムSのレース結果,ⒸSPAIA

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1、2着は同舞台のマリーンS組

夏の北海道シリーズはまだ後半の札幌を残しているが、函館開催はこれで終幕。その最終日は北海道シリーズにおけるダート路線の最終戦エルムS。

大沼S、マリーンSと続き、エルムSへつながる流れは今年も変わらず、マリーンS1着スワーヴアラミス、2着オメガレインボーがエルムSでもワンツー。例年なら上位人気だが、4、7番人気と伏兵扱い。今年はアメリカンシード、ソリストサンダー、ウェスタールンドと別路線組から実績馬がそろい、いつもとは少し異なる勢力図のエルムSだったが、結果はマリーンS組に凱歌。前走同舞台だった経験がいきた。

スワーヴアラミスはマリーンSを道中追いどおしで勝ったズブい馬。メンバーレベルがあがり、序盤の流れも厳しくなることを読み、陣営はブリンカー着用を選択。まずこれが当たった。

松田大作騎手もスタート直後は出ムチを入れ、しっかりハミをかけ、2コーナーまで気合をつけることで流れに乗せた。気を抜けない内枠だったことも幸いし、促しながらであっても先行集団に潜り込めた。手応えが悪くても、この形になれば簡単には止まらない。ペースがあがる3、4コーナーで位置をキープできたことも勝因。しっかり主張しないと進路がなくなるところだった。スワーヴアラミスの弱点を知り尽くした陣営と騎手の勝利だった。最後の直線は内にモタレるなど癖馬ぶりは相変わらずで、安定して力を発揮できないタイプ。成績にムラがあるので、買い時に注意したい。

2着オメガレインボーは昨秋オープン昇級後、大敗もあったが徐々にそのペースに慣れ、これで6月から1、2、2着と軌道に乗った。函館ダート1700mも得意条件で色々とかみ合った印象。序盤が速くなると読み、1コーナーまでは無理せず馬群に潜り込み、スワーヴアラミスや人気のソリストサンダーをマークする形で展開。好調な横山和生騎手の戦略も当たった。楽な手応えで4コーナーを回るあたりにコース巧者ぶりを感じる。どちらかといえばダートのスピードタイプ。充実期に入っており、秋の東京が楽しみだ。

休み明けが響いたソリストサンダー

4着ウェスタールンドはベテランらしくやるべき競馬は決まっている。スピード重視の1700m戦だと前半かなり置かれるが、休み明けだったプロキオンSとは違う反応のよさで向正面後半から仕掛け、3、4コーナーでは中団にとりついた。この戦法ではどうしても馬群の大外を回らざるを得ず、ロスが大きい。ゴール前で甘くなり、3着ロードブレスに捕まったが、末脚は健在だ。序盤が速くなるレース展開では今後も頼りになる。

3着ロードブレスは後半600m12.4-12.9-12.9、38.2と時計を要したことでハマった。好走はハイペースか地方交流重賞というタイプ。上がり時計を要するレース向きなので、ある程度上がりがまとまり、時計が速いレースだと厳しい。買いどころは絞られそうだ。

1番人気アメリカンシードは最下位の14着。スピード任せに離し逃げを試みた平安Sでは2着と好走できたが、やはり控えると気難しさを見せる。スタート直後に先手を主張せず、1コーナーで頭をあげるほど折り合いを欠いた。揉まれては競馬にならないという弱点を今回も露呈、もう今後は行くしかない。となると当然マークは厳しくなる。鼻出血を発症したことも含め、ちょっと時間がかかるだろう。

2番人気ソリストサンダーは10着。1700m3勝で小回り適性は問題なさそうだったが、かしわ記念以来の休み明けが響いた印象。反応が悪く、4コーナーで一杯になってしまった。これで前走が1600mだった馬は10年間で【0-0-0-10】。かしわ記念2着、1700m巧者のソリストサンダーも阻まれたデータは忘れないでおきたいところだ。それでもダートのスピード競馬に強いタイプであることには変わりなく、次走以降の巻き返しは十分ある。

2021年エルムSのレース展開図,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。



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