【エルムS】実績上位には不安あり!?レースの鍵は機動力 参考レース分析からの注目馬は?

坂上明大

2021年エルムSの参考レース,ⒸSPAIA

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「G1馬6頭の豪華メンバー」

今年は函館競馬場を舞台に行われるエルムS。1周距離や短い直線など共通点の多い札幌競馬場からの舞台替わりだが、コーナー角や起伏の面での違いは大きく、例年以上に先行力とタフさが求められる一戦となりそうだ。

【かしわ記念】
サルサディオーネが内枠からハナを主張し、向正面ではカジノフォンテンがプレッシャーをかけて12秒台前半を刻み続ける淀みのない流れ。21年フェブラリーS優勝馬カフェファラオを筆頭にG1馬6頭が集結した豪華メンバーでもあり、非常にレベルの高い一戦であった。

2着馬ソリストサンダーは外枠から中団で脚を溜め、ラストはカジノフォンテンをハナ差まで追い詰める。内有利のフェブラリーSではトラックバイアスが向かなかったが、改めて地力の高さを証明した結果だ。

9着馬タイムフライヤーは中団ラチ沿いで脚を溜めたが、勝負どころでは既にガス欠。ただ、転厩緒戦で大幅に馬体重を減らしてもいただけに、体調面に敗因を求めることも可能か。追い切りやパドックは要確認。

「内有利のトラックバイアス」

【平安S】
中京ダート1900mでの施行。アメリカンシードが大外枠から先手を奪い、前半1000m59.0のハイペース。ただ、道中も緩まないタフな展開であったことは間違いないが、2番手以降は前後半3F35.6-36.4程度であり、後有利のオーバーペースとまではいえないだろう。中京ダート特有の内有利の競馬。

2着馬アメリカンシードはややオーバーペース気味ではあったが気性的には仕方なし。勝ち馬オーヴェルニュには6馬身差をつけられており高い評価はできないが、函館ダート1700mで楽に先手を取れれば逃げ切りのシーンまで考える必要があるか。

5着スワーヴアラミス、13着馬ロードブレスは3~4角外目の進路取り。見直す余地はある。

「条件替わりで一変」

2021プロキオンSの展開/馬場バイアス



【プロキオンS】
小倉ダート1700mでの施行。脚抜きのいい高速馬場。メイショウウズマサが引っ張り、トップウイナーが早めに並び掛ける展開。3~4角で1F11.5前後を刻んでおり、外を回った馬は大きく振られる形となった。内有利。

2着馬トップウイナーは実績や馬体、血統から暖かい時季の軽いダート1400~1700mがベター。久々に条件と体調が噛み合った。展開が向いた感は否めないが、今後も重賞で活躍してくるだろう実力馬だ。

7着馬ウェスタールンドは18キロ増で太目残り。長期休養明けでもあり、一度使った上積みは大きい。

「機動力高い伏兵馬」

実績ではウェスタールンド、ケイティブレイブ、ソリストサンダーの3頭が格上の存在だが、ウェスタールンドとソリストサンダーは後方脚質、ケイティブレイブは長期休養明けと不安点は明確。このなかではソリストサンダーに注目しているが、伏兵で期待するのはスワーヴアラミスだ。外目を回りながらもよく粘った平安Sでの走りには見応えがあり、北海道に移ってからも絶好調。56キロの今回はさらなるパフォーマンスアップが見込める。

注目馬:ソリストサンダー、スワーヴアラミス

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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