【クイーンS】今年の舞台・函館は逃げ先行が断然有利! 東大HCの本命はドナアトラエンテ

東大ホースメンクラブ

クイーンSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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後方待機勢には苦しい函館開催

8月1日(日)に函館競馬場で行われるクイーンS(GⅢ・芝1800m)。秋のエリザベス女王杯へとつながる真夏の牝馬限定重賞に12頭が集結した。牝馬クラシックを皆勤し古馬となって愛知杯で重賞制覇を飾ったマジックキャッスルや、1勝クラスからダービー卿CTまで破竹の勢いで勝ち進んだテルツェット、名牝ジェンティルドンナを姉に持つドナアトラエンテなどが出走予定。ここを勝利して秋に向け弾みをつけるのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去5年の函館芝1800m(2勝クラス以上の計17レース)脚質別成績,ⒸSPAIA


例年なら札幌競馬場で行われるクイーンSだが、変則開催の影響で今年は函館競馬場での施行となる。そこで過去10年の同レースではなく、函館競馬場で行われた2勝クラス以上の芝1800m戦(計17レース)を基に脚質的なバイアスを探ってゆく。

まず逃げ馬が【8-2-0-7】で驚異の勝率47.1%を記録。先行馬も【6-9-9-41】、複勝率36.9%と上々で、小回りコースらしく前々で運ぶ馬に分がある。一方で差し馬は【1-4-6-50】と勝利がほとんどなく、アタマでは狙いにくい。追込馬は【1-1-3-44】、複勝率は全脚質中最低の8.3%でやはり軽視が妥当だ。

ちなみに過去10年のクイーンS(13年のみ函館開催)では、差し馬が【3-5-6-34】、追込馬が【1-3-1-26】とそれぞれ健闘しており先行勢と大きな差はなかった。例年通り差しが届く感覚でいると痛い目を見る可能性がある、という点は強調しておきたい。


人気の関東馬には逆らうべからず

過去10年のクイーンS東西別・人気別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年のクイーンSにおける人気別成績を関東馬・関西馬それぞれについて検討する。場所が変わってもレースの位置付けに変わりはないため、人気別成績はなお参考に値すると考えた。まず関東馬については狙い目が明確。5番人気以内の馬が【3-1-3-6】と堅実に走っており、特に2番人気以内なら【3-0-1-1】とほぼ崩れない。逆に穴では狙いにくく、6番人気以下は【0-2-1-31】で複回収率も56%とリスクに見合わない。

対照的に関西馬は5番人気以内が【4-4-4-25】、複勝率32.4%と上位人気馬にしては振るわない成績。こちらで狙うべきはむしろ人気薄の馬で、6~11番人気なら【3-3-2-29】、複勝率19.5%と5頭に1頭は馬券に絡んでくる。複回収率も110%とプラス収支で11番人気の勝利もあることから、単複での勝負でも十分楽しみがある。


変則開催を味方につけて

◎ドナアトラエンテ
OP入りまで時間を要したが全体成績は【4-5-1-1】と堅実な馬。前走福島牝馬Sでは差のない2着に好走しており、そのポテンシャルは重賞でも通用する。福島牝馬Sの勝ち馬ディアンドルはヴィクトリアマイル4着と、マジックキャッスルやシゲルピンクダイヤと差のないパフォーマンスを見せており、単純な比較だがこの馬も2頭に並ぶ実力がある。

また9着に敗れた中山牝馬Sは不良馬場が敗因と明確で、良馬場なら久々も苦にしない。先行力を備えている点も函館開催の今年においては大きな武器で、偉大な全姉たちに続くきょうだい3頭目の重賞制覇に期待したい。

◯マジックキャッスル
3歳時は秋華賞で三冠牝馬デアリングタクトに次ぐ2着に好走。4歳になっても愛知杯1着、阪神牝馬S2着、ヴィクトリアマイル3着と全く崩れておらず、牝馬限定の重賞路線においては間違いなく一線級の存在。ただ先述のように函館芝1800mにおける差し馬の成績は芳しくなく、特に勝ち馬がほぼ出ていない点は気掛かり。人気の関東馬ということで完全に嫌うことはしないが、どうしても後ろからになってしまうこの馬をアタマで狙うことは避けた。

▲シゲルピンクダイヤ
前走ヴィクトリアマイルでは13番人気ながら5着と健闘し、2着のマジックキャッスルとのタイム差はわずか0秒1。桜花賞2着、秋華賞3着の力は未だ衰えていない。また昨年末から一列前で競馬をするようになり、脚質に幅が出てきた点も好評価。特に先行したときは重賞で結果を残している。鞍上もデビューからほとんどのレースで手綱をとってきた和田竜二騎手を迎え万全の態勢だ。

△フェアリーポルカ
古馬同士の牝馬限定芝重賞では【2-0-2-3】と安定感がある。昨年クイーンSに出走した際は馬体重が+18kgと大きく変動した影響もあってか2番人気6着と期待を裏切る結果となったが、勝ち馬との差は0秒2で着順ほどは負けていない。近2走でダートを走ったローテが嫌われて人気を集めないようなら単複での勝負も面白い。

以下、気性難を抱えているものの真面目に走ると怖いウインマイティーを5番手に評価。そして人気薄の関東馬ではあるものの、前走の走破時計が優秀で脚質的に利があるサトノセシルを穴で狙う。なお1勝クラスから4連勝で重賞タイトルを手にしたテルツェットについては、ゲートに難があり後方からになってしまうことを嫌って軽視。東京や新潟など直線が長いコース向きで、函館競馬場では用なしとみた。

▽クイーンS予想▽
◎ドナアトラエンテ
◯マジックキャッスル
▲シゲルピンクダイヤ
△フェアリーポルカ
×ウインマイティー
☆サトノセシル

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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