【クイーンS】優等生ルーラーシップ産駒・フェアリーポルカが函館に舞う 東大HCが函館芝1800mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

函館芝1800mのコースデータ,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は函館芝1800mを舞台に、牝馬限定GⅢクイーンSが行われる。秋華賞2着から牝馬路線のトップクラスを走るマジックキャッスルに対し、ヴィクトリアマイル14着からの巻き返しを期すテルツェット、ジェンティルドンナの全妹という超良血・悲願の初重賞制覇を狙うドナアトラエンテなどが挑む構図だ。

例年では当該コースの重賞は施行されていないものの、今年は変則開催に伴い札幌開催のクイーンSが函館に移っている。今週はこのコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2017年6月17日~2021年7月25日)。

まずはコース紹介。スタンド正面をスタートし、2コーナー半ばまで2mほどの傾斜をゆっくりと下っていく。その後800m近く続くなだらかな上りを通過し、4コーナーから直線半ばまで再度下ってラスト平坦という、ローカルにしては起伏に富んだ珍しい形態だ。最後の直線は262mと中央10場で最も短い。

セオリー通り、小回りコースは1枠

函館芝1800m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<函館芝1800m・過去5年の枠別成績>
1枠【14-12-10-72】勝率13.0%/連対率24.1%/複勝率33.3%
2枠【7-8-10-92】勝率6.0%/連対率12.8%/複勝率21.4%
3枠【7-15-9-96】勝率5.5%/連対率17.3%/複勝率24.4%
4枠【10-13-18-91】勝率7.6%/連対率17.4%/複勝率31.1%
5枠【15-5-12-110】勝率10.6%/連対率14.1%/複勝率22.5%
6枠【13-16-13-108】勝率8.7%/連対率19.3%/複勝率28.0%
7枠【14-10-12-120】勝率9.0%/連対率15.4%/複勝率23.1%
8枠【11-12-7-129】勝率6.9%/連対率14.5%/複勝率18.9%

枠別成績では1枠の好調が際立つ。直近5年で単勝回収率が200%を上回った年が3回あり、小回りコースをロスなく運べるメリットが大いに生かされている。前走先行・差しだった馬が【10-9-5-32】複勝率42.9%、単勝回収率306%と圧倒的で、迷ったらここから入れば間違いがない。

そういった論理で8枠不利は当然で、うち前走3着以下馬は【3-8-6-109】と大苦戦。抜けた能力の持ち主でない限り外々を回される厳しさを跳ね返すのは並大抵のことではない。人気馬でも桃帽を引けば消して馬券を組み立てたいところ。

函館芝1800m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<函館芝1800m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【25-11-5-54】勝率26.3%/連対率37.9%/複勝率43.2%
先行【48-39-50-182】勝率15.0%/連対率27.3%/複勝率42.9%
差し【12-30-27-276】勝率3.5%/連対率12.2%/複勝率20.0%
追込【2-4-8-294】勝率0.6%/連対率1.9%/複勝率4.5%

小回りコースのもう一つの特徴は後方勢の直線一気が決まりにくい点。最後の直線が途中まで下り坂であることもあいまって前が簡単には止まらないコースだ。近年鮮やかな追い込みが決まったのはスズカデヴィアスが13番人気で勝った2019年巴賞ぐらいのもので、レアケース中のレアケース。基本的に逃げ・先行組を買うのが賢い馬券戦略だ。

前走逃げ・先行かつ距離短縮組の成績が良く、前走4角2番手以内に限ると【14-6-2-44】で単勝回収率256%を記録。クイーンSの該当馬はシャムロックヒルただ1頭だ。前走は50kgの軽斤量を利しての逃げ切りで5kgもの斤量増にはなるものの、同型が少ない今走もマイペースで運べればチャンスがある。

優等生(?)のルーラーシップを買え

函館芝1800m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<函館芝1800m・過去5年の種牡馬別成績>
ルーラーシップ【6-9-8-26】勝率12.2%/連対率30.6%/複勝率46.9%
ディープインパクト【11-9-8-61】勝率12.4%/連対率22.5%/複勝率31.5%
ダイワメジャー【4-3-2-13】勝率18.2%/連対率31.8%/複勝率40.9%
ゴールドシップ【2-1-5-8】勝率12.5%/連対率18.8%/複勝率50.0%

クイーンSに産駒が出走する種牡馬別成績ではルーラーシップが充実。父と違い前めでレースを運ぶ優等生の競馬で結果を残しており、複勝回収率122%は好相性の証だ。近走では地方のダートグレード競走に目先を変えていたフェアリーポルカは牝馬重賞2勝の実績馬。前走4角5番手以内だった馬は【4-3-2-5】複勝率64.3%と1番人気レベルの信頼度を誇っており、前走ヴィクトリアマイル組に人気が集まるならば面白い存在。

コース適性には疑問が残るものの、能力で11勝を積み重ねているのがディープインパクト。国枝厩舎の2騎、マジックキャッスルとドナアトラエンテにはこれといった不安材料が見当たらないものの、前走4角10番手以下だった馬が【1-0-1-16】と不振で、上位人気から消すならばテルツェット一択だろう。

その他では複勝率4割超えのダイワメジャー産駒(シゲルピンクダイヤ)に加え、出走数は少ないものの半数が馬券になっているゴールドシップが好調。パワーを求められる洋芝でまくり気味の進出が奏功している。近走は不調が続くウインマイティーの復活かなうか注目したい。

函館芝1800m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<函館芝1800m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【12-13-9-18】勝率23.1%/連対率48.1%/複勝率65.4%
横山武史【5-7-2-36】勝率10.0%/連対率24.0%/複勝率28.0%
藤岡佑介【2-5-6-24】勝率5.4%/連対率18.9%/複勝率35.1%
武豊【6-6-5-11】勝率21.4%/連対率42.9%/複勝率60.7%

先週は夏休みを満喫していたルメール騎手だが、今週から早くも復帰。騎乗のほとんどが1番人気とはいえ、ほぼ3頭に2頭を好走させているのは見事の一言に尽きる。ただし単勝オッズ4倍以上に限ると【0-3-1-10】と複勝率が3割を下回っており、断然人気が予想されるマジックキャッスルの存在を考えれば十分にあり得る条件。ここは消したほうが妙味があるだろう。

単勝回収率はわずか14%にとどまるものの、複勝回収率93%と2・3着付けで買いたいのが藤岡佑介騎手。前走先行・差しの馬で【2-3-5-8】複勝率55.6%を叩き出している。2歳時から世代上位で輝き、米子Sで復調気配を見せたクラヴァシュドールあたりも押さえておきたい。また5勝を挙げている横山武史騎手も注意。

クイーンSに騎乗予定はないものの、ルメール騎手に迫る安定感を持つのがレジェンド武豊騎手。2番人気以下でも複勝率6割超えと素晴らしい成績で、平場のレースなどで手頃なオッズの際に狙い打つべきジョッキーだ。

函館芝1800mのコース詳細データ,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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