【アイビスSD】中央で唯一「父サンデー系が未勝利」の重賞! 京大競馬研はエイシンフラッシュ産駒タマモメイトウを狙う

京都大学競馬研究会

アイビスSDインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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真夏到来を告げる名物重賞

7月25日(日)に新潟競馬場で行われるアイビスサマーダッシュ(芝・直線1000m)。真夏の到来を告げる名物重賞で、今年も個性派が揃ったレースとなった。

例年に比べやや小粒なメンバー構成という印象は否めないが、それでも直線番長ライオンボス、短距離戦線に殴り込みをかけてきた3歳馬モントライゼ、韋駄天S勝ち馬タマモメイトウなどが出走する。速さナンバーワンを決める一戦を制するのはどの馬か。過去の傾向も踏まえながら予想していきたい。


まさかの父サンデーサイレンス系未勝利

過去10年アイビスSD父系別成績,ⒸSPAIA


まずは過去10年の傾向について見ていくと、血統面で面白いデータがあることが分かる。それはサンデーサイレンス系の不振である。父がサンデーサイレンス系(以下サンデー系)の成績は【0-2-1-30】(勝率0.0%、連対率6.1%、複勝率9.1%)となっており、非サンデー系の成績【10-8-9-99】(勝率7.9%、連対率14.3%、複勝率21.4%)と比べ不振が際立っている。さらに特筆すべきは、2001年に始まったこのレースにおいて、父サンデー系の馬はただの一度も勝利していないのだ。

現在施行されている中央競馬の重賞で、創設から父サンデー系の馬が未勝利というレースは他に存在しない。それどころか10年以上未勝利という重賞さえ他にはないことからも、アイビスサマーダッシュの特異性が垣間見えるだろう。今年の人気馬ではダイワメジャー産駒のモントライゼが父サンデー系に該当し、データ的には買いづらい。


やはり外枠が優勢

アイビスSDの枠順別成績インフォグラフィック,ⒸSPAIA


次にアイビスサマーダッシュにおける枠順別成績(過去10年)について見ていく。「千直は外枠有利」という定説通り外枠が好成績を残しており、7枠【1-2-5-16】や8枠【4-2-1-17】の有利さが際立っている。内枠勢では1枠【0-0-0-17】、3枠【0-0-0-17】と壊滅状態だが、なぜか2枠は【2-2-1-12】と好成績。開幕週に行われることもあり内枠も少しは抗える可能性があるといったところだろうか。

しかし今年は春に福島競馬の代替開催があったこと、極悪馬場での開催が多かったことを考慮すると、例年以上に外枠有利の可能性がある。ここ最近の好天のおかげで芝は生え揃ってきているようなので、ある程度開幕週らしい馬場にはなりそうだが、土日の開催(特に土曜12Rの芝1000m)で要チェックだ。


上位3頭は非サンデー系&中枠から外枠で

以上を踏まえて本命はタマモメイトウ。前走は内枠だったが、スタート直後に控えて一気に外へ持ち出し、何度も詰まって進路を変えながらも前が開くと一気に突き抜けた。初の千直だったが適性を示したと言ってよいだろう。今回は4枠8番だが、前走より少し外になったという意味ではプラスで、許容範囲の枠だ。

また今年はオープン馬が僅か7頭で、3勝クラス馬さえ4頭しかいない。前走の韋駄天Sはオープン馬が10頭、3勝クラスが4頭、それ以下が2頭だったことと比べても、全体的なメンバーレベルが低く能力差もはっきりしている。メンバー間の能力差がはっきりしていることで馬群がばらけやすくなるので、テンの速さが遅めな本馬にとっては競馬がしやすくなる。今回は斤量が56kgになること、開幕週の馬場でどこまで差しが決まるかなど課題もあるが、他馬にも不安要素は多い。唯一の前走勝利馬という勢いも味方に混戦を断つ。

対抗はライオンボス。前走は初めて千直で大崩れしたが、ただ1頭飛び抜けた58キロという斤量を背負っていたことに加え、外に更に速い馬がいたことで力を発揮できなかったのが原因だろう。年齢による衰えがありそうなのは否めないが千直適性は図抜けており、斤量差が大きく縮まるここでは巻き返しも十分だ。

また枠順も6枠12番とよいところを引き当て、まず先手は取れそうなのも好材料だ。上位人気が濃厚なので他に狙いたい馬がいれば評価を落とすつもりだったが、食指が動く馬は他にいないのでこれ以上評価は落とせない。

3番手はビリーバー。昨年の3着馬で千直は3戦して3着6着7着。オープン入り以降、他のコースでは苦戦が続いている中でこの結果なので、千直は比較的得意な舞台だろう。2走前の韋駄天Sは7着だったが内枠が響いた形で、外枠を引けた今回は着順を上げてきそう。昨年の競馬ができればここでも一発あって良さそうだ。

4番手にグレイトゲイナー。今年に入って既に7戦走っており使い詰めだが、新人騎手が騎乗した4走前以外は全て3着内と安定感がある。前走は勝ちに等しい内容で、2走前も2勝クラスとは言え後続を完封しており能力はもっている。また2走前は逃げて結果を残しており、ある程度スピードもあるので、千直競馬にも対応はできそう。サンデー系で格下馬でもあるが、目下の好調ぶりには目を見張るものがあり上位争いも可能だ。

モントライゼは内枠を引いてしまった上に相性の悪い父サンデー系。3歳になってからの内容も2歳時と比べイマイチで、少々伸び悩んでいる印象だ。特に前走の葵Sはレースレベルも低く、2着馬のヨカヨカが古馬重賞としては相当レベルの低かったCBC賞で5着に敗れたことを考えると、微妙に能力が足らない。内枠を覆してまで好走するのは厳しいとみる。

今年は絶対的な存在がおらず、どの馬にも不安要素があり軸にできるほどの信頼はない。買い目は馬連4頭ボックスを本線、タマモメイトウの単勝を抑えとして勝負したい。(文:川崎)

▽アイビスサマーダッシュ予想印▽
◎タマモメイトウ
○ライオンボス
▲ビリーバー
△グレイトゲイナー

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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