【アイビスSD】鍵を握る韋駄天Sの向かい風と斤量増減 参考レース分析からの注目馬は?

坂上明大

2021年アイビスSDの参考レース,ⒸSPAIA

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「斤量の増減に要注意」

夏の新潟名物・アイビスサマーダッシュ。JRA重賞で唯一の直線競馬であり、ダッシュ力とスピードの持続力が求められる一戦だ。今年は登録馬19頭のうちオープン馬は7頭のみ。能力的に足りる馬が少ないだけに、例年以上に能力比較が重要なレースとなりそうだ。

【韋駄天S】
最終週の荒れた馬場状態に加え、週中の降雨により含水率も高め。さらに、レース当時は向かい方向からの強めの風が吹いており、特に前に馬を置けなかった馬には非常にタフな競馬となった。また、ハンデ戦のため、今回とは斤量が大きく違う点も注意が必要だ。

1着馬タマモメイトウは3枠6番からラチ沿いに切れ込み後方待機。脱落馬を交わしながら徐々にポジションを上げ、残り200m程から本格的に追い始めるとゴール直前で逃げ馬を捉え切った。展開に恵まれた感はあるが、脚を余し気味であった点も見逃せない。ただ、追い込み一手の脚質でもあり、今回も上手く馬群を捌けるかに尽きるだろう。3キロの斤量増も課題。

3着馬ロードエースは400~600m程で逃げ馬を風よけに使った程度。概ね真っ向勝負の形であり、芝でも十分に勝負になることを証明した。本馬も今回は斤量2キロ増となるが、タマモメイトウとの比較では1キロ縮まる形。レースぶりからしても本馬の方が安定感はありそうだ。

4着馬アルミューテンは大外枠から最後方待機。残り200m程でバテた先行勢を交わしたが、50キロの軽斤量と展開がハマった感は否めない。4キロの斤量増。

7着馬ビリーバーは1枠2番からタマモメイトウと同様に外に切れ込み、前半は後方待機。残り400mから追い出し始めたが目立った脚は使えなかった。内枠の不利は大きいが、一変まではどうか。斤量1キロ増。

9着馬ライオンボスは外の馬に主張され、2番手に控える形。残り600m過ぎでは既に手応えが怪しく、早々に脱落。58キロのトップハンデや向かい風、荒れた馬場など厳しい条件であったことは間違いないが、昨年の活躍からするとあまりにも物足りない走りであった。状態面の上昇は必須条件か。斤量1キロ減。

12着馬ヒロイックアゲンは4枠7番から外に進路を取れず、終始内めの荒れた馬場を走行。今回は斤量の増減もなく、好枠を引けば巻き返す可能性は高いだろう。

「内有利のトラックバイアス」

葵S馬場・展開バイアス・内有利,ⒸSPAIA



【葵S】
Bコース替わり初日で時計が速く、内めの馬場も非常にいいコンディション。レースラップは前後半3F33.2-34.9だが、2番手のレイハリアは33.6-34.5程度であり、レース当時は直線向かい方向からの風を受けていたことも考慮すると公式ラップほど先行馬に厳しい流れではなかったか。内有利。

3着馬オールアットワンスは好位馬群で脚をタメ、直線は勝ち馬を追う形。馬場の恩恵が大きかった感は否めない。

5着馬モントライゼは向正面で挟まれてポジションを下げる不利があり、直線も十分な進路がなく不完全燃焼。トラックバイアスは向いたが、大幅にパフォーマンスを上げることは間違いないだろう。1000mのペースに対応できれば。

「実績上位の伏兵」

久々の芝で見せ場をつくったロードエース。ダート短距離でオープンまで勝ち上がっただけあり、バテ比べの競馬には滅法強い。ヒロイックアゲンは昨年10月に新潟芝1000mのリステッド競走を制し、今年のオーシャンSでも4着。ここでは地力上位だ。あとは枠順次第だろう。

注目馬:ロードエース、ヒロイックアゲン

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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