【プロキオンS】右の小回り替わりで一発ある 京大競馬研は伏兵スマートダンディーに期待

京都大学競馬研究会

プロキオンSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

意外と距離延長もアリ?

7月11日(日)に小倉競馬場で行われるプロキオンS(GⅢ・ダート1700m)。今年は京都競馬場が改修工事中のため、従来とは距離も回りも形態も全く異なる条件となっている。

その影響かメンバーも例年とは異なる印象で、ウェスタールンドやダノンスプレンダー、サンライズホープなど中距離以上で結果を残してきた馬が多く出走している。そのため過去の傾向は当てにしづらく、コース適性や各馬の能力比較を中心に予想していく必要がありそうだ。


過去10年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


先述した通り今年はコース条件が大きく異なるため、過去のプロキオンSについて調べても意味が薄い。そこで、小倉ダート1700mで行われたオープンクラスのレースについて見ていく。

過去10年での対象レースは、2011年~2020年の阿蘇S(例年は8月開催)と2021年門司Sの11レース。この条件における前走距離別成績を調べてみると、1600m以下は【3-2-0-30】で勝率8.6%、連対率・複勝率14.3%、1700mは【1-3-2-18】で勝率4.2%、連対率16.7%、複勝率25.0%、1800m以上は【7-6-9-60】で勝率8.6%、連対率15.9%、複勝率26.8%。数字の上では同距離組と距離短縮組がやや優勢。しかし、距離延長組も3勝2着2回、連対率では大差ない成績を残しており、無視もできないレベルだ。

中距離向きの馬にとってはジュライS(今年は福島ダ1700m)やマーキュリーC(盛岡ダ2000m)、マリーンS(函館ダ1700m)など番組が充実しており、勢力の分散が起きる一方、やや短い距離に適性を持つ組にとって、プロキオンSはチャンスがありそうな貴重なレースといえるだろう。

ちなみに、好成績だった距離短縮組については、7月のジュライS(OP・中京ダ1800m)→阿蘇Sという転戦組が好調で数字を押し上げている側面もある。今年は前哨戦に三宮S(中京ダ1800m)があり、勝ち馬のサンライズホープには注目だ。


条件替わりのスマートダンディー

冒頭で述べた通り今回はサンプルにできそうなデータも少ないので、早速予想に入っていきたい。

本命はスマートダンディーとした。まず本馬は右回りの方が合っていて左回りは得意でない。というのも、レース映像を見る限り左手前のほうがスピードが出ているため、直線を左手前で走る右回りの方が良さそうだからだ。

また、手前を変えた瞬間にグイっと伸びるタイプなので、直線入り口で素早い加速ができるという点で小回りコースも合っていると見る。近走はあまり結果を残せていないが全て左回りだったので、このコース替わりはプラスに働くはずだ。

さらに言えば、前走と前々走は極端に内が伸びる馬場で、コーナーで外を回った馬はこの馬だけでなく全滅していたため仕方がない。1700mは初めてで距離不安があることは否めないが、前述の通り距離延長組も悪くない成績なので、人気的妙味を含めてここから入ってみたい。

余談だが、左手前時のスマートダンディーの走り方は右脚を外から回す独特な走法で、パトロールビデオを見ると一目瞭然。このような見方も面白いので興味のある方は是非。

対抗はウェスタールンド。とにかくこのメンバーの中では地力が一枚抜けており、それでいて56kgで出走できるので、人気したとしても評価をこれ以上下げることはできない。ローカル1700mは【2-1-0-0】と得意にしており小回りのコース設定も歓迎だろう。ただ、陣営コメントではまだ8割の出来のようで、9歳馬で半年の休み明けとマイナス要素が多くあるのも事実だ。そのため本命にするほどの信頼は置けず、対抗評価にとどめた形だ。

3番手にメイショウワザシ。この馬は小倉ダ1700mで【3-1-0-1】と抜群のコース相性。基本的にムラ駆けタイプにもかかわらず安定した成績を残している舞台なので、小倉では押さえておく必要がありそうだ。前走は8着に凡走したが、ハイペースで前が苦しい流れの中、早めに捉えにいく競馬だったので度外視できる。小回りの1700mに変わることで、早め早めの競馬が活きてくるはずなので見直したいところだ。

4番手にサンライズホープ。前走はマイペースで逃げられたとはいえ、後続を2馬身半離しての完勝で強い内容だった。4歳馬で準オープン、オープンと連勝してきている勢いは魅力的で軽視することはできない。ただ、2走前の難波Sのような緩急の激しい乱ペースでしぶとさを発揮する展開のほうが良さそうなので、小倉が合っているかというと微妙なところだ。実際この舞台では1戦だけとはいえ7着に敗れており、相性の良い距離短縮組だが、本馬はコース替わりが歓迎というクチではないだろう。

5番手にダノンスプレンダー。デビューしてから掲示板を外したのは1回だけ、馬券圏外も3回だけという安定株。オープンクラスでも既に勝鞍があり好勝負を続けているので、力があることは間違いない。ただこの馬も主戦場は1800m~2000mのスタミナを要する条件で、今回のコースが合うかは微妙だ。唯一掲示板を外した東海Sが不良馬場の高速決着だったように、スピードが求められる展開になると少し厳しそうなので5番手の評価にとどめる。

穴馬で面白そうなのはタイガーインディ。前走はシンガリ負けだが、内を通った馬が上位独占している中で大外をぶん回していたので度外視できる。オープンクラスでは、1400mは忙しく1800mはやや長いというように見えるので、中間の小回り1700mは案外合っていそうだ。恐らく人気することはないので高配の使者として忍ばせておく。

ワイドファラオはただ1頭58kgを背負わされるのがネック。またかなりのムラ駆けなので、上位人気するなら流石に手が出ない。

買い目は◎スマートダンディーの単複を中心に、資金の余裕があれば3連複BOXで高配当を狙ってみるのも面白そう。上位人気馬があまり信頼できないので、思い切って高配当を狙ってみたいところだ。

▽プロキオンS予想印▽
◎スマートダンディー
◯ウェスタールンド
▲メイショウワザシ
△サンライズホープ
×ダノンスプレンダー
☆タイガーインディ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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