【プロキオンS】レコード更新の可能性もある高速馬場 ウェスタールンド中心も穴馬候補多数
三木俊幸
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重・不良では逃げ馬の好走なし
例年であれば1400mで争われるプロキオンSだが、開催日程が変則となっている今年は小倉競馬場のダート1700mが舞台となる。小回り適性が求められ、天候も不安定な時期でもあるという点も踏まえ、馬場適性の観点からレースを分析していく。
過去5年に小倉ダート1700m戦・3勝クラス以上の条件で施行されたのは21レース。馬場状態別の3着内馬の脚質成績を見ると、良馬場では対象13レース・39頭中20頭、稍重では4レース・12頭中9頭が逃げ・先行馬という結果を残している。しかし、重または不良に限ると逃げ馬は1頭も3着内に好走していないという結果が見られた。
また重馬場だった2レース中3着内に入った馬の50.0%にあたる3頭が中団を追走していた差し馬。同じく不良で行われた2レースに至っては勝ち馬2頭ともが差し・追込馬と馬場が悪化すればするほど差しが決まりやすい傾向にあると言える。
小倉ダート1700mのレコードは1:41.8
勝ちタイムについても触れておくと、含水率が発表された2018年7月27日以降に小倉ダート1700m・3勝クラス以上で行われたのは11レース。そのうち不良まで悪化したのは2回、1つ目は2020年1月26日の門司S(3勝クラス)で当日のゴール前含水率17.0%。4角6番手追走のクリノフウジンが1:43.0で勝利している。
2つ目は2021年1月24日に行われた豊前S(3勝クラス)。この日はゴール前含水率16.6%という発表で、4角13番手からテオレーマが1:42.3というタイムで差し切った。
今回のプロキオンS当日もおそらく不良まで悪化した状態でのレースとなりそうなことに加え、先行馬が揃っていることからハイペースになることも予想される。2006年にサンライズキングがマークした1:41.8というレコードを上回る高速決着も十分ありえるだろう。
ポイントに該当する馬は
今年のプロキオンSは「差し・追込脚質」「道悪での好走実績」「高速馬場への対応力」というポイントに該当する馬を中心に狙っていきたいところだ。今回も特に注目したい本命候補には馬名の前に☆をつけている。
【☆ウェスタールンド】
ダートに転向後は常に安定した成績を残しており、前走の東京大賞典3着時の相手関係も考慮すると、ここでは格上の存在。4走前、重賞初制覇を果たした2020年のアンタレスSは稍重、比較的速いタイムの決着にも強いタイプと言っていい。そして追込脚質ということで今回も勝ち負けになるだろう。
【ダノンスプレンダー】
前走のアンタレスSは勝ち馬テーオーケインズから0.8秒離された4着。先着された3頭が強かったとも言えるが、もうひと伸びできなかった点は不満が残る。差し馬に流れが向く点は歓迎も、切れる脚がないという点から時計の速い馬場になってどうかだ。
【☆スマートセラヴィー】
近3走は結果を残せていないが、8走前の薩摩Sでは重馬場で1:42.4という好タイムで勝利。その後福島民友Cではオーヴェルニュの2着となるなど、1700mの道悪という条件は合っている。先行争いが激しくなっても、番手に控えるレースでも結果を残しており、先行勢の中では一番面白い存在だ。
【スマートダンディー】
勝ち鞍8勝全てが1400m戦だが、6勝が稍重以上の道悪馬場でのもの。加えて好位から中団でレースを運べる点も魅力。今回の1700mという距離に不安はあるものの、軽い馬場であればギリギリ持ちそうな感じもする。人気がないのであれば押さえておきたい。
【☆ペプチドバンブー】
芝からダートに戻った3走前の名鉄杯では、後方追走から直線で内を割ってきて快勝した。小倉ダート1700mでの勝利、不良馬場でも2着という経験がある。上手く立ち回り、展開がハマれば一発があっても不思議ではない。
【マリオ】
重馬場で行われた松風月Sでは、中団から直線外を回して差し切り勝ち。4勝中3勝が重または不良馬場ということからも、道悪は歓迎と言っていいタイプ。1700m戦では結果が出ていないが、今回は勢いに乗って挑める点に期待したい。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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