【プロキオンS】梅雨&ハイペースで後ろにチャンス 不良馬場ならペプチドバンブーの差し一発

佐藤永記

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小倉ダート1700は基本的に前有利だが

いかに小倉を攻略せねばならぬか……CBC賞での1分6秒フラットの日本レコードを目の当たりにして、多くの競馬ファンは痛感した次第だろう。本来他場で開催される予定だった重賞が小倉に変わった途端、過去傾向の追い方は変わって当然。とはいえ小倉のクセは強すぎる。しっかり考えたい。

プロキオンSも例年ならば中京ダート1400mの重賞だが、昨年は阪神、今年は小倉での開催で、なおかつ距離が1700mの1周戦に変わる。もはや新設重賞だと思ったほうが話は早いだろう。さっそく、2018年初から今年これまでの開催、3勝クラス以上の古馬戦(3歳上含む)の条件で行われた小倉ダート1700m全14戦から傾向を見てみることにする。

小倉ダート1700m古馬上級条件での傾向,ⒸSPAIA 小倉ダート1700m古馬上級条件での逃げ詳細傾向,ⒸSPAIA 小倉ダート1700m上級条件での逃げ馬 馬場状態別成績,ⒸSPAIA


特徴的なのは逃げ馬の実績だ。成績を見ると【3-3-0-10】で連対率は37.5%となっている。全14戦で逃げ馬が16頭になっているのは、2つのレースで逃げ争いがあったためで、この2レースではいずれも逃げ馬はスタミナが切れて大敗している。つまり、逃げ馬が道中で入れ替わるほどの激しい展開になった2レースを除けば【3-3-0-6】となり連対率は50%まで上がる。さらに、4コーナーですでに失速していた事例は4例あり、これも除外すると【3-3-0-2】。単騎逃げが叶えば連対率は75%まで跳ね上がるのである。

ちなみに残った着外2例を整理すると、1例目は2019年8月の阿蘇Sで逃げたタガノディグオが12着に敗れたレース。単騎逃げではあったものの極端はハイペースで、レースの上がり3Fが39.2という、オープンクラスであることを考えれば破滅的な消耗戦であった。

2例目は今年1月の3勝クラス・豊前Sでリネンファッションが逃げて6着となっているが、馬場は不良、リネンファッションも上がり37.1、勝ち馬と0.4秒差ではあったが、追い込み勢が軒並み上がり35秒~36秒台で走れる状況ではむしろよく6着に残ったといえるものだった。

要するに、単騎逃げができ、極端なハイペースではなく、馬場が雨で軽くならなければ逃げた馬の連対は堅いのでは、ということである。ただ、今年の登録馬を見るとサンライズホープ、トップウイナー、タイガーインディ、メイショウウズマサ、メイショウワザシなど、近況2戦だけ見ても逃げたことのある馬たちがズラリと登録している。

こうなると狙いたいのは逆パターンだ。逃げ争いによるハイペースで追い込み優位となった場合はどの程度狙えるのだろうか。成績を見ると、基本は先行馬の複勝率40%が光るが、後方からでも5頭が馬券に絡んでおり、極端にいらないとは言えない。そしてなにより、馬場状態がおそらく今週末は不良馬場だ。全国的な梅雨で、先週小倉は良だったが、日曜までずっと雨予報が続いている。ちなみに良馬場以外での逃げの成績は【0-1-0-6】まで悪化する。

となれば先程紹介した今年1月、不良馬場だった豊前Sが大いに参考となる。勝ったテオレーマは4角13番手から上がり3F1位の35.6で追い込み勝ち。2着ミステリオーソは道中8番手から4角3番手まで捲り上げていた。3着ワンダーウマスの2角位置は11番手。決まり手的に1着から並べれば、追込-捲り-差しといった具合だ。

主導権争いでハイペースの不良馬場ならペプチドバンブー

ならば不良馬場で上がりが使える馬を狙いたい……のだが、中距離ダートの重・不良で35秒台を叩き出した馬がほとんど見当たらない。35.9で2頭いるのだが、サンライズホープが記録したのは2020年5月のスローだった1勝クラスで、先行でのもの。

仕方ないので対象を稍重まで広げてみると、2頭の候補が上がってきた。まずはペプチドバンブーだ。2019年10月の2勝クラス・西湖特別(東京ダート1600m)を稍重で11番手から上がり35.3で差し切っている。ちなみに芝でも昨年3月のトリトンSを不良で11番手から差し切り勝ち。3走前には良馬場ながら名鉄杯を12番手から差し切っている。前走天保山Sは6着だったが、1400m戦で上がり3Fは最速の35.8であったことを考慮すれば、今回想定したい「主導権争いでハイペースの不良馬場」を差す軸馬として最適だろう。

もう一頭は9歳馬ウェスタールンドだ。昨年8歳時の5戦は全て重賞で【1-2-2-0】、前走の東京大賞典でも3着と高齢ながら格上の存在だ。問題はその東京大賞典からの休養明けである点だが、そこさえクリアできれば昨年1着となった稍重のアンタレスSで見せた13番手から上がり35.0の末脚が炸裂する可能性は高い。

雨が続き重・不良馬場を想定して、3連複でこの2頭から流してみたい。さらにワイドや、ペプチドバンブーは人気がなさそうなので単複まで夢は広がる。週末の雨を祈って今回は締めとしたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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