【宝塚記念】“逃げ天国”も大外強襲には要警戒 前走から条件好転の穴馬はミスマンマミーア

三木俊幸

2021年宝塚記念馬場適性チャートⒸSPAIA

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逃げ有利も大外一気の差し馬には警戒

上半期のGⅠレースの締めくくりとなるグランプリ宝塚記念。今年は昨年の覇者クロノジェネシス、無敗のGⅠ馬レイパパレに注目が集まっている。これら強力な2頭に割って入る馬は現れるのか、それとも順当な決着となるのか、馬場適性の観点から占っていく。

京都競馬場の改修工事によって今年は変則開催が続き、3回阪神開催は先週と今週合わせて4日間のみ行われる。先週は月曜日に7.0mm、水曜日に16.0mmの雨量を計測したものの、金曜日の時点ではクッション値9.3、ゴール前の含水率9.9%で良馬場に回復していた。

しかし、土曜日に20.0mmの雨が降って重馬場への悪化。さらに日曜日朝にかけて7.0mmが降ったものの、回復が早く日曜日は稍重スタートで後半2レースは良馬場だった。

6/19・20の阪神芝コース タイムと上がりⒸSPAIA


流石に重馬場で行われたレースは時計がかかり、リステッド競走の米子Sは1:35.0というタイムでの決着。また良馬場まで回復して行われた重賞マーメイドSも、スローペースだったこともあるが、2:00.4という遅いタイムで雨の影響は残っていたと言える。

6/19・20の阪神芝コース 通過順位ⒸSPAIA


その他で特に注目したいのは3着内に入った馬の脚質。12レース中6レース、内回りコースに至っては4レース全てで逃げ切り馬場が決まる“逃げ天国”だった。その一方で馬場が乾き始めた日曜日は、後方待機から直線だけで馬場の大外から一気に伸びてくるケースも多々見られたので、追い込み馬にも警戒が必要だ。

レイパパレの不安材料とは

宝塚記念当日の天気が気になるところだが、天気予報を見るとレース当日は再び雨予報が出ている。今年も道悪適性が問われるレースとなりそうだ。それらの情報を踏まえた上で、今回取り上げる注目馬は6頭。特に注目すべき馬には☆をつけている

馬場適性チャートⒸSPAIA


【☆クロノジェネシス】
昨年の宝塚記念はレース直前の雨で稍重発表ながら重馬場に近い状態だった。そうした馬場で見せた6馬身差の圧勝劇は「強い」の一言に尽きる。中団からレースを進める形になっても自分から動くことができるタイプなので、前残りの馬場でも問題なし。今回も普通に回ってくれば勝ち負けになるだろう。

【レイパパレ】
前走の大阪杯はハイラップを刻みながら、直線では馬場の悪い箇所を避けて外へと持ち出すと後続をグングンと突き放しての圧勝。馬の能力と川田騎手の騎乗も見事だった。過去のレースを振り返ると、超高速馬場よりは少し時計のかかる馬場でのパフォーマンスが高い印象を受けるので、今回も馬場は向きそう。ただし、2200mへの距離延長と斤量1kg増の56kgという点は歓迎とは言えない。

【カレンブーケドール】
阪神の芝3200mで行われた天皇賞(春)でも3着と好走。速い上がりを使えるタイプではないので、梅雨時期の馬場も合っている。勝ち味に遅いタイプではあるが、しぶとさを活かしてロスなく立ち回るレースを期待する。

【アリストテレス】
近2走は案外な結果に終わっているが、3000m以上のレースは距離が長すぎた。それだけに小牧特別とAJCCで勝利している2200mに戻るのはプラス。AJCCを不良馬場で制しているものの、本質的には良馬場の方が良さそうなので、道悪になった場合は少し割り引いて考えたい。

【モズベッロ】
昨年の宝塚記念3着、前走の大阪杯はともに2着と道悪巧者。後方からの追い込み脚質だが、切れる脚があるタイプではないので、先週の傾向を見る限りではかなり馬場が悪化しないと届かないだろう。

【☆ミスマンマミーア】
前走の目黒記念は、高速馬場で上がり32秒台前半が求められるレースとなったため後方からでは勝負にならないレースだった。それだけに前走より時計のかかる馬場になるのは間違いなくプラス材料。道悪での実績もあるので、大外強襲の可能性がある穴馬として取り上げる。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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