【ユニコーンS】中心馬不在で大混戦ムード 穴馬はサンライズウルス、ピンクカメハメハ

山崎エリカ

イメージ画像,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

確たる中心馬不在で大混戦ムード

ユニコーンSの出走馬PP指数


ユニコーンS出走馬のPP指数の能力値差が小さいことからもわかるように、今回は確たる中心馬不在。そのうえダ1600mで連対実績のある馬ばかりが除外となり、ダ1600m以上で連対実績のある馬はわずか5頭。距離延長に不安のある馬も多く、大混戦ムードとなった。

また、今回はルーチェドーロが1番人気のようだが、同馬は昨年末の全日本2歳優駿で4着に敗れた馬。その後の昇竜S、端午Sで4着に好走し、ここへ来て上昇したのもあるにせよ、今年は全日本2歳優駿の優勝馬アランバローズをはじめ、南関東クラシック組が強いのだ。

アランバローズが全日本2歳優駿時に記録した指数は「-28」。これは今年行われた中央の3歳のオープン及び、リステッド競走のヒヤシンスS、昇竜S、伏流S、端午S、青竜S、鳳雛Sの全てのレースを上回る。また、兵庫ジュニアグランプリで、レディバグ、ルーチェドーロを下して優勝したデュアリストが全日本2歳優駿で7着に敗れていることからも、その推測は成立するはず。

南関東でアランバローズがそこまで圧倒的な存在ではないのは、層が厚いから。門別でデビューしたラペルーズが中央で1勝クラス、ヒヤシンスSを連勝したのも、昨年の門別の2歳戦、特に中距離路線のレベルが高かったことに他ならない。その上位馬がアランバローズのライバルとして戦っているのである。手前味噌ながらラペルーズの1勝クラス勝利時に万馬券を獲らせてもらったが、それはたまたま人気の盲点になっただけで、必然の好走だった。

何が言いたいかというと、地方で敗れたルーチェドーロやラペルーズが上位人気に支持されながら、南関東のクラシック路線を経由したイグナイターが最下位クラスの人気というのは、矛盾しているということ。同馬は東京ダ1600mの新馬戦で7馬身差の圧勝を飾った素質馬である。もちろん、ここで自信を持って推せるだけの材料もないが、地方馬というだけで不当に人気がないように思える。

ちなみに中央勢は、絶対王者が不在なだけで戦える水準にはある。

能力値上位馬の紹介

【能力値1位 ルーチェドーロ】
函館ダ1000mの新馬戦で2着馬に7馬身差を付け、レコードタイムで勝利した馬。その後、ダ1400m~1600mでは正攻法の競馬で結果が出なかったが、近2走は中団で脚をタメて、距離1400mのオープンで4着、1着と好走。ただし、近2走ともに前が競り合っての激流で、展開に恵まれたのも確か。今回はさらに1Fの距離延長となるが、全日本2歳優駿のラスト1Fで甘さを見せたことから、好材料ではないはず。連対があるとすれば、後方でスタミナを温存させ、前が崩れる展開になった場合だろう。

【能力値2位 ゲンパチフォルツァ】
中山ダ1200mの新馬戦を好位から抜け出し快勝。前走の青竜Sでも大外から好発を切って、前半3Fは34秒9と、ダ1600mのオープン戦としては緩みない流れの中、2列目の内を先行し、直線で抜け出して勝利。ラスト1Fで外からレディバグに決定的に詰められたが、同馬はここに出走してくれば本命候補だった馬。速い流れを正攻法で勝利した内容は濃いものがあり、能力が高い。一方、脚をタメるレースでは好結果が出ていないことから、現状では前に行って持久力を生かしてこそだろう。あとは同型馬が揃ったここでの最内枠がどう出るか?

【能力値3位 プロバーティオ】
デビュー当初は芝で2戦続けて大敗したが、ダートで逃げる競馬で能力を発揮し、前々走ヒヤシンスSでは2着と好走した。しかし、前々走はフェブラリーS同日で、馬場の内側が極端に軽く、フェブラリーSでも4角内々を立ち回った馬が1~6着まで独占している。同馬も最内をマイペースで逃げたもの(勝ち馬ラペルーズも最短距離を立ち回っての勝利)。馬場と展開に恵まれたのも確かだ。逃げ馬だけに、今回で楽に逃げられる展開になるのかどうかがカギ。

【能力値4位 カレンロマチェンコ】
デビュー2戦目の初ダート戦で逃げて勝利を収めた馬。その後はダート路線で上昇し、近2走のダ1400m戦の1勝クラス、昇竜Sともに超ハイペースで逃げて完勝した。ただ今回は休養明けの上に、距離が延びる。今回はプロバーティオ、カレンロマチェンコ、ローウェル、最内枠ゆえに出していく可能性のあるゲンパツフォルツァと同型が集っているだけに、息持ちの面に大きな不安がある。ちなみに過去10年で同年4月以降に未出走だった馬で、このレースを優勝した馬は、昨年のカフェファラオのみである。

【能力値5位 スマッシャー】
前々走のダ1400mの未勝利戦を差す競馬で7馬身差の完勝を収めると、近2走の1勝クラス、端午Sでは、メンバー最速の上がり3Fタイムを駆使して勝利した。前走の端午Sは前半3F33秒5と序盤が速かったこともあり、置かれて後方3番手からの競馬になったが、それにより展開に恵まれた。脚をタメる競馬で結果を出してきた馬だけに、距離が延びて追走が楽になるここで、欲を出して勝ちに行く競馬をした場合には崩れる危険性があるが、我慢の競馬なら通用する可能性はある。

穴馬は、サンライズウルスとピンクカメハメハ

今回は大混戦ムードなので、穴馬を2頭挙げる。イグナイターも当落線上だったが、前走の羽田盃で大逃げを打ったアランバローズから、離れた2番手で実質差しの競馬で8着まで失速していることにやや物足りなさを感じたため、下記の2頭に絞った。

【サンライズウルス】
デビュー2戦目の前々走、1勝クラスではとても届かないようなほど離されていたが、直線で内を割って2着。前走も直線半ばでは届かないような位置だったが、猛追して前をまとめて捕らえて勝利。これまでの3戦ともにメンバー最速の上がり3Fタイムを記録しており、底知れぬ魅力ある。若さもあるだろうが、加速がかなり遅いタイプなので、距離延長も吉と出る可能性が高そうだ。

【ピンクカメハメハ】
前々走では初ダートながら海外のサウジダービー勝ち。前走のUAEダービーは相手も強く、前々走の激走の疲れが出て凡走したが、まともな状態まで立て直せていれば、ここでは上位の実績と能力がある。同馬はこれまで坂路でしまいの甘さを見せることが多かったが、今回は最後まで力強く四肢を動かせている。ある程度まで、立て直されていることが推測される。


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ルーチェドーロの前走指数「-26」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.6秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補


ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


《関連記事》
【ユニコーンS】超伏兵が窮地を救う?ハイブリッド式消去法が導き出した2頭が絡めば“借金返済”!?
【マーメイドS】1番人気より7番人気!?超難解重賞をデータで整理 当日まで覚えておきたいデータとは
【ユニコーンS】勝ち馬は6年連続で後のGⅠ馬に 中央3歳ダート戦線を占う一戦の注目ポイント

おすすめ記事