【マーメイドS】前走は不完全燃焼 京大競馬研の本命は恵まれた53キロのミスニューヨーク

京都大学競馬研究会

マーメイドSインフォグラフィック

「相対的に」斤量の恩恵を受けた馬が強い

6月20日(日)に阪神競馬場で行われるマーメイドS(GⅢ・芝2000m)。過去10年で3連複万馬券は9度、3連単10万馬券は8度と、とにかく荒れるハンデ重賞だ。今年のメンバーも実力伯仲の大混戦で非常に悩ましいが、的中すれば高配当を得られる可能性は高い。過去の傾向も踏まえつつ予想していく。

まずは過去の傾向について見ていきたいところであるが、調べてみると何とも掴みどころがない。まず斤量については50kgから56kgまで幅広く好走しており、40kg台のような極端に軽い斤量でない限り好走馬をコンスタントに出している。

マーメイドSのハンデ別成績ⒸSPAIA



また前走クラスについても、3勝クラス組が過去10年で6勝とやや優勢ではあるものの、2勝クラスからきて好走した馬もいれば、オープン特別や重賞から転戦してきて好走した馬もいて、いわゆる「なんでもあり」な状況だ。

そこで今度は過去3年のマーメイドSについて斤量と前走成績の面から深掘りしていく。尚ここでは、前走のレースレベルを比較しやすくするため、前走が条件戦の馬に絞って話を進めていく。


2020年前走条件戦組成績ⒸSPAIA


まず2020年では1着馬サマーセント(50kg)は前走3勝クラスで3着。4着馬ナルハヤ(51kg)は3勝クラスで2着。5着馬エアジーン(52kg)は3勝クラス3着。9着馬ミスマンマミーア(53kg)は3勝クラス1着。ここで挙げた馬は前走3勝クラスで3着以内と好走した馬であるが、見事に斤量が軽い順の結果となった。


2019年前走条件戦組成績ⒸSPAIA


2019年では1着馬サラス(51kg)が前走3勝クラスで3着。2着馬レッドランディーニ(51kg)は前走2勝クラスで1着。3着馬スカーレットカラー(53kg)は3勝クラスで1着。4着馬センテリュオ(54kg)は3勝クラスで1着。この年は極端な前崩れであったことが作用し、「道中10番手以下」かつ「前走条件戦で好走した馬」の中で、斤量の軽い順に決まっている。


2018年前走条件戦組成績ⒸSPAIA


2018年では1着馬アンドリエッテ(51kg)が前走3勝クラスで3着。4着馬ヴァフラーム(50kg)は3勝クラスで4着。8着馬エマノン(50kg)、9着馬ルネイション(50kg)はともに2勝クラスで1着。10着馬フェイズベロシティ(51kg)は3勝クラス4着。12着アルジャンテ(52kg)は3勝クラスで3着。この年は前走3勝クラスで好走していた馬が少なかったため上位に入った馬も少なかったが、前走で同じような結果ならば斤量が軽いほうが着順はいいように見受けられる。

前走の成績が同じような結果であれば斤量が軽いほうが有利と言えるだろう。また前走オープン特別や重賞組については判断しづらい部分も増えるが、3勝クラスを勝ち上がって時間が経っていない場合はそのレースが参考になるだろう。他馬と比べて「相対的に」恵まれた斤量の馬を狙っていきたい。


前走不利&斤量に恵まれたミスニューヨーク

以上を踏まえた本命はミスニューヨーク。まず斤量面についてだが、本馬の53kgは福島牝馬S組5頭の中では最も軽く圧倒的に恵まれた。

福島牝馬Sの内容を見てみると、発馬は普通だったのに道中で何故か位置取りを大きく下げてしまい、残り500m地点では最後方になる始末。そのうえ直線では前が詰まり何度も進路変更をする羽目になりながら、上がり2位の脚を使って0.5秒差まで詰め寄った。全く力を出し切れずに終わっただけなのに53kgで出られるのは相当有利に働くはず。またしぶとく脚を使うタイプなので、新潟外回りから阪神内回りに変わるのもプラスだ。土曜日にまとまった雨が降る予報なので、その影響が残ればなおよいだろう。

対抗はイズジョーノキセキ。前走の京橋Sでは逃げた勝ち馬にはわずかに届かなかったものの、ソフトフルートには完勝しており能力は非常に高い。にもかかわらず52kgで出られるのは有利であり、今回出走し上位人気が予想されるソフトフルートと2kgも差があるのはかなりおいしい。穴人気どころか普通に人気になるかもしれないが、それでも上位に取りたいところだ。

3番手にクラヴェル。前走のシドニーTではソフトフルートの4着だったが着差は0.2秒差。今回は51kgで出走できるためソフトフルートとは3kgも差が開くことになり、十分逆転可能になってくる。阪神2000mという舞台が合うかどうかは何とも言えないが、斤量差を活かせば上位争いに食い込めるとみてこの評価とする。

4番手にアンドラステ。オープン入り後も安定した成績を残しており、崩れたのは道中で位置取りを下げた上に直線で全く進路がなくなった京成杯AHのみ。2000mを使うのは初めてだが、昨年のパールS(1800m)では遅い流れを中団で折り合って差し切っているので、距離はもつと考えて大丈夫そうだ。また馬場が渋っても問題なく好走してきているので、雨が降っても大丈夫。安定感抜群で能力も上位なので、斤量55kgでも妥当と見て相手には入れておきたい。

5番手にソフトフルート。他馬の紹介で既に2度ほど登場しているが、前走のシドニーTでは外からきっちり差し切っており能力があるのは間違いない。ただ、54kgという斤量は相対的に見込まれた感はあり、これで想定1番人気ではなかなか手が出にくいところだ。とはいえ秋華賞3着の実績もあり3着以内の可能性は十分あるので押さえてはおく。

最後に穴っぽいところではレッドベルディエスを入れておきたい。前走ヴィクトリアマイルで12着だったが、流石に相手が強すぎたので参考外でいいだろう。2走前にはシドニーT2着馬アカイイトを破ってオープン入りを果たしており、53kgで出られるのは魅力的だ。

前走のメイSは強かったアブレイズだが、56kgは流石に見込まれ過ぎた。福島牝馬Sで展開が向かなかったとはいえ6着だったことを考えると、この斤量なら軽視が妥当だ。シャドウディーヴァは完全な東京巧者で斤量も恵まれてはいない。骨瘤明けでもあるので、人気するなら消しとしたい。

買い目は◎ミスニューヨークの単複と3連複1頭軸◎-◯▲△×☆で勝負したい。(文:川崎)

▽マーメイドS予想印▽
◎ミスニューヨーク
◯イズジョーノキセキ
▲クラヴェル
△アンドラステ
×ソフトフルート
☆レッドベルディエス

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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