【マーメイドS】好走データは「前走3勝クラス」「関西馬」など 馬場が渋ればさらに荒れる?

門田光生

マーメイドSの所属別成績(過去10年)ⒸSPAIA

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梅雨が高配を呼ぶ

第26回マーメイドSは2021年6月20日、阪神競馬場で行われる。季節は梅雨、牝馬限定、しかもハンデ戦。荒れる予感しかしないのだが、実際はどうなのだろうか。

過去10年の平均単勝配当は1017円で、ここ3年は7番人気以下の馬が勝っている。馬連は約8500円、3連単は約19万円。特に3連単は、発売が開始された2005年から15年連続で万馬券を継続中。そのうち11回が6ケタ以上(10万円以上)で、2008年には193万円の高配当が飛び出している。荒れる重賞の代表格といっていいだろう。

梅雨の時期で馬場状態がよくないことが主な要因かと思ったのだが、これが意外にも雨馬場で行われたケースが少ない。ただ、上記の193万円が出た2008年は重馬場。稍重だった昨年も、7番人気の馬が勝って波乱となっている。「普通に荒れるレースで、馬場が渋るとより波乱となる」傾向のようだ。

真珠はどこへ行った?

マーメイドS出走馬の所属別ⒸSPAIA


まずは東西の所属別から。今年で26回目を迎えるのだが、実は過去の勝ち馬25頭はすべて栗東所属馬。美浦所属馬は2着が最高着順となっている。さすがにこのデータに逆らうのは無謀と思えるので、勝ち馬探しは栗東所属馬からとしたい。

マーメイドS出走馬の年齢ⒸSPAIA


続いて年齢。最も連対数が多い世代は5歳馬で12連対。続くのは4歳馬の6連対。6歳馬になると1勝、2着1回の2連対となり、勝率、連対率ともにガクッと下がる。登録馬の中で6歳馬はミスマンマミーアだけだが、回避して来週の宝塚記念に回るようだ。

3歳馬、そして7歳馬以上から連対馬は出ていない(今回はともに出走なし)。美浦所属馬の2着馬4頭の内訳は、5歳馬3頭、4歳馬1頭。美浦所属馬で2着狙いなら5歳馬が候補になるか。

マーメイドS出走馬の前走クラスⒸSPAIA


「夏は格より調子」という格言があるのだが、前走クラスの傾向がまさにそれ。最も勝ち馬を出しているのが3勝クラスを経由してきた組で、何と半分以上の6勝を挙げている。

重賞組はGI~Ⅲの3つを合わせても1勝だけだから、「格より調子」がぴったり当てはまるレースなのかもしれない。その勝ち馬6頭の前走着順は、2、4、1、3、3、3着。最低でも掲示板を確保した馬から狙いたい。ちなみに勝ち馬6頭中、5頭がパールS出走馬だった。

マーメイドSにおけるプラスデータⒸSPAIA
マーメイドSにおけるマイナスデータⒸSPAIA


最後にマーメイドSにおけるプラス・マイナスデータを。最も数字がいい種牡馬は6連対のディープインパクト。阪神内回りのイメージはあまりないが、稍重で行われた昨年も2着に好走しているのだから、このレースとは相性がいいのだろう。

ちなみに、連対した6頭の人気だが、1着馬が1、7、10人気で、2着馬は1、10、2番人気と、傾向はバラバラ。逆に結果が出ていないのはハーツクライ産駒。出走した9頭すべてが着外となっている。

上記で少し出てきたが、前走3着馬は【3-1-0-5】となっており、連対率が44%もある。またパールS組が5勝と、前哨戦では圧倒的な存在なのだが、なぜか今年は前哨戦にパールSが組まれていなかった。昨年までパールSはマーメイドSの前哨戦として5月に行われてきたが、パール(真珠)は6月の誕生石。つじつまが合わなかったから、ついにレースごと消されたのだろうか?

マイナスデータで使えそうなのは、前走着差。1秒3以上負けていた19頭は本番でも全滅。また、前走で逃げた馬【0-1-0-11】、前走から距離を短縮してきた馬【0-1-1-12】ともに勝ち馬が出ていない。ハンデについては、49キロ以下の軽量馬は【0-0-0-13】となっているが、これに該当するのは、現時点で除外対象のペプチドフシチョウのみ。

今年はシドニーTがキーレース

マーメイドSにおける好走・凡走パターンをまとめてみる。まずは好走パターン。A「栗東所属」B「前走が3勝クラスで掲示板入り」C「ディープインパクト産駒」D「前走3着馬」。

マイナスデータはE「5歳馬以外で美浦所属」F「ハーツクライ産駒」G「前走で1秒3以上負けている」H「前走で逃げた」I「前走から距離短縮」。

混戦レースらしく、好走データのすべてを満たしている馬はいない。昨年までの傾向だとパールS組を頼りにしたかったのだが、上記に書いたように今年は施行なし。そこで5月末に行われたシドニーT(3勝クラス)に注目。昨年まで混合戦だったのが、今年は牝馬限定に変更。条件もダート1200mから芝2000mとなっている。今年のシドニーTが、消えたパールSの代わりと考えていいだろう。となると、今年はシドニーT組、さらにBの「前走が3勝クラスで掲示板入り」のデータを満たす馬から本命馬を探すのが正解。

今回の登録馬でシドニーTに出走して、掲示板に載ったのはアカイイト、クラヴェル、ソフトフルート。3頭ともA「栗東所属馬」で、マイナスデータはなし。ほかの好データを見ると、ソフトフルートだけがC「ディープインパクト産駒」を満たしている。よって、これが本命。

過去にパールS組がワンツーになったケースもあるので、アカイイトとクラヴェルも有力な相手候補となる。

好走データDの「前走3着馬」だが、実は4年連続で連対馬が出ており、また3年連続で1着となっている。これに乗らない手はないだろう。今回、前走3着馬はアッシェンプッテルとサンクテュエールの2頭だけ。栗東所属のアッシェンプッテルは印を入れるとして、サンクテュエールをどうするか。25年間勝ちがない美浦所属馬だが、2着候補なら問題ないし、ここ10年で連対した美浦所属馬4頭のうち、半分の2頭と同じ福島牝馬Sなら押さえた方がいいだろう。

◎ソフトフルート
◯アカイイト
▲クラヴェル
△アッシェンプッテル
×サンクテュエール

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
2週前に行われた安田記念。昨年のアーモンドアイに続いて、断然人気に推されたグランアレグリアも2着。「今年のメンバーなら」「今のグランアレグリアなら」と思いましたが、歴史は繰り返しました。これが馬連しかない時代なら、助かっていた人も多かったはず。狙い馬が当たっていても、馬券の選択を間違えれば外れと同じ。「この種類の馬券しか買わない!」と決めておけば、悔しさも半減するのでしょうが、そうもいかないのが現実であります。

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