【函館SS】近走で恵まれない展開続きの大穴先行馬から勝負 京大競馬研の本命はロードアクア

京都大学競馬研究会

2021年函館SSに関するデータⒸSPAIA

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先行馬で上位独占か、総崩れかの二択。内で詰まると勝ち目なし

6月13日(日)に札幌競馬場で函館スプリントS(GⅢ)が行われる。良血カレンモエが重賞初制覇を狙うほか、重賞3勝のコントラチェックや3歳馬シゲルピンクルビーなどが秋の飛躍を誓って参戦する。開幕週で直線の短い競馬場といかにも前々を走る馬が好走しそうなレースだが、実際のところどうなのかデータを検証した。


過去10年函館SSラップ・通過順ⒸSPAIA


過去10年の好走馬のコーナー通過順位と3ハロンごとのタイムを調べた。スプリント戦共通の特徴として基本的に前半3ハロンが後半3ハロンよりも速く、唯一遅かった2019年は除外ラッシュで7頭立て且つ稍重馬場で序盤から飛ばしにくい構造になっていた。

直近5年は馬場造園の技術が進歩し、洋芝であっても他場と変わらず前半から33秒台を出せるようになったが、開幕週の馬場有利を活かして好位置をとらないと上位になれない、純粋なスピード能力の問われるレースが続いている。

通過順位に目を向けてみると2015年と14年以外の勝ち馬は4角5番手以内。しかしながら逃げ切りは2018年と2019年の2回だけ。18年の勝ち馬はGⅠホース、19年は少頭数。能力の差があるか、展開面で恵まれないと逃げ切ることは難しい。

追い込みの決まった2014年と2015年は人気馬総崩れの波乱決着となっているが、人気馬のレース内容を精査していると2014年1番人気ストレイトガール、3番人気スマートオリオン、2015年3番人気のローブティサージュは脚色鈍った逃げ馬の後ろで詰まって抜け出せず惨敗。短い直線が仇になった形だ。2014年2番人気フォーエバーマークは逃げ、2015年2番人気のアンバルブライベンは2番手追走で、2頭ともハイペースに巻き込まれた結果最後に脚が止まってしまったが、上位との差はわずかだった。2015年1番人気コパノリチャードの大敗は不可解な面が多く能力落ちを思わせる負け方をしている。

先行した馬に相当な不利が無いと追い込みを決めるのは難しい。札幌競馬場は函館と比較してコースの形状に大きな差は無く、今年も昨年までと同様に展開が結果に直結するレースになると考える。


展開予想から浮上する大穴

ダートで逃げ実績のあるジャスティンがいるものの、テンの速さはビアンフェが上でこちらが逃げると予想。函館2歳Sを前半33.6で逃げて逃げ切っている他、前走オーシャンSは前半33.7で逃げている。去勢で気性がおとなしくなったため前半が32秒台の超ハイペースは考えにくい。

先行勢は他にもコントラチェックやカレンモエなど重賞実績豊富な馬が多く、昨年同様の前残りになると予想。しかしビアンフェ自身は洋芝こそ合うものの函館2歳Sの勝ち時計は1分9秒2と平凡、GⅠでも戦えるだけの突き抜けた能力も無いので、逃げ切りは無いと判断。また、内枠は包まれる可能性が高く評価を落としたい。

◎ロードアクア
近走は展開面で恵まれておらず面白い大穴。前走鞍馬Sは直線で接触する不利があり度外視可能。2走前は距離延長で最後に止まってしまった。しかしペースに左右されず一貫して3番手以内を先行できるのは大きな強みで、先行馬の勝ち条件である4角5番手以内を満たす。重馬場でも崩れず走るなど洋芝がマイナスになることは無い。前走は2走前のダメージがあったか馬体が減っていたので、少しでも体重を増やしてきたら馬券的に非常に熱い。

◯カレンモエ
直近4走は3番手以内を追走しており先行力はトップクラス。4走とも早めに抜け出す強い競馬で大崩れは考えにくいものの、2着に敗れたレースはどれも外から並ぶ間もなく交わされており競り合いに弱い。また早め抜け出しという戦法の性質上、直線で目標になりやすい。ビアンフェを交わした後迫られてしまうと抵抗出来ないため、1倍台になるようだとオッズほどの信頼はおけない。

▲コントラチェック
前走オーシャンSはスプリントの追走に慣れて、得意の中山で穴を開けた。札幌好走歴はあるものの2歳未勝利戦のものであまり当てにならない。しかし前走同様の先行が出来れば展開は向くと考えて3番手。

△ビアンフェ
先述した逃げ予想の馬。洋芝巧者で札幌開催でも問題なくこなせる。去勢して掛からなくなり好走は可能だが、逃げ切れるだけの能力は無い。

×シゲルピンクルビー
2走前は前を行く馬をゴール寸前捕らえて重賞制覇。追走力に不安はあるが50kgの軽量は魅力的で、2016年にはフィリーズレビューの勝ち馬ソルヴェイグが函館SSを勝っている。但し出走する度にGⅠ用の仕上げや、優先出走権を得る為の全力仕上げで馬体を減らしている。休養効果で大幅プラスになって出てきて欲しい。また馬体を減らしてくるようなら消し。

馬券はロードアクア軸のワイドと印を打った5頭の3連複ボックスを予定。賞金除外の関係でロードアクア以外は人気どころ中心になってしまったが、「近走よく走っているから」といった好調さだけではなく、先行力や持ち時計などの総合力を鑑みても妥当な人気であるため、逆らいきれなかった。ロードアクアで一波乱起こすことに期待する。(文:福山)

函館スプリントS
◎ロードアクア
◯カレンモエ
▲コントラチェック
△ビアンフェ
×シゲルピンクルビー

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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