【函館SS】カレンモエが母カレンチャンとの母娘制覇目指す 牝馬活躍のスプリント戦、その注目ポイント

緒方きしん

函館SS過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA

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2度目となる"札幌"の函館SS

安田記念は、ゴール前の大激戦を制したダノンキングリーが勝利。同期のサートゥルナーリアやアドマイヤマーズが引退していく中、無冠の帝王だったダノンキングリーが7度目のGⅠ挑戦でタイトルをもぎ取った。

馬場や流れを読みきった川田騎手のエスコートも素晴らしかった。グランアレグリアは敗北しながらも、女王としての格を落とさない堂々たる走り。双方、秋以降の活躍にさらなる期待が集まる。

さて、今週はGⅠもひと休み。今週は函館SSが開催される。今年は日程変更の影響で札幌開催。元々、第3回目までは札幌SSとして開催されていたレースではあるものの、1997年に函館SSと改称・移転してからは、2009年以来2度目となる「札幌の」函館SSとなる。

今年は重賞3勝馬コントラチェックと、デビューから掲示板を外していないカレンモエが激突。前走・オーシャンSでは1番人気カレンモエが10番人気コントラチェックにハナ差敗れる大波乱が起こったが、その再現となるか、リベンジとなるか──それとも、他馬が意地を見せるのか。

さらにドバイ帰りのジャスティンも参戦。オルフェーヴル産駒のジャスティンはダート重賞で3勝をあげるなど実績は十分で、ここではしばらくぶりの芝レースへの適応が求められる。秋の選択肢を広げるためにも、ここは頑張りたいところだろう。

1番人気が苦戦する波乱の重賞

函館スプリントS過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA



2011年にカレンチャンが単勝2.7倍の人気に応えて以降、1番人気馬は8連敗を喫した函館SS。「荒れる重賞」として、ファンにも定着してきていた。昨年は1番人気ダイアトニックが勝利し、ついに長いトンネルから抜け出したが、2着には10番人気ダイメイフジが食い込み、やはり一筋縄ではいかないところを見せつけている。

12番人気のソルヴェイグが勝利した2016年など、ここ10年のうち半分に及ぶ5回、3着以内に2桁人気馬が絡んできている一戦。2桁人気馬が絡まなくとも、ガルボ(8番人気)とローブティサージュ(6番人気)で決着した2014年は馬連273.4倍になるなど、やはり波乱は多い。特に2015年には2着にアースソニック(14番人気)、3着にレンイングランド(12番人気)が食い込んで、三連単は9441.4倍。あわや100万かという馬券が飛び出すような荒れっぷりとなった。

これまで敗れてきた1番人気馬には、歴史的名スプリンター・ロードカナロアをはじめ、タワーオブロンドン、コパノリチャード、ストレイトガールなどがいる。ロードカナロアを撃破したドリームバレンチノも翌年には1番人気ながら7着と大きく敗れた。実力派も多く敗れる一戦だけに、伏兵候補にも十分に注意を払いたい。

牝馬が強い一戦、今年は母娘制覇の可能性も

ここ5年で牝馬は2勝。さらに馬券圏内となると、牡馬が上位3着まで独占したのはこの5年間で2019年のみとなる。

牝馬の活躍がここ数年だけの傾向かといえば、そうではない。牝馬が強い時代と言われているが、函館SSは長きにわたり牝馬が結果を出してきたレースである。

2003年〜2011年の9年間、なんと牝馬が8勝。牡馬として唯一の勝ち星をあげたのは、同年の高松宮記念・スプリンターズSで2着になり翌々年には最優秀短距離馬に選出された実力派・キンシャサノキセキのみという状況であった。

連覇を遂げたシーイズトウショウ、13番人気ながら直線鋭く伸びてシーイズトウショウの3連覇を阻んだビーナスライン、3歳ながら古馬を相手に勝ちきったグランプリエンゼルなど、様々な牝馬がここを勝利している。

さらに、函館SSを制覇した牝馬たちは、引退後も多くが母として活躍。2003年の勝ち馬ビリーヴは重賞馬ジャンダルムを輩出した。さらにワンカラットやシーイズトウショウらも重賞で上位に食い込む活躍馬を送り出している。

そして2011年の勝ち馬カレンチャンは、重賞で活躍するカレンモエを輩出。今年はそのカレンモエが、函館SSの母娘制覇を目指す。

通過点となるか、分岐点となるか

2012年勝ち馬ドリームバレンチノはここで重賞初制覇を達成すると、同年のスプリンターズSで3着、翌年の高松宮記念で2着と好走。さらにはダート転向後にJBCスプリントを制した。カレンチャンもここで重賞2勝目をあげた当時はGⅠ未挑戦だったが、秋にはスプリンターズSを勝利して最優秀短距離馬に選出されている。

上記のようにあくまでここを通過点とする馬がいる一方で、ここの勝利が大きな1勝となる馬もいる。2007年勝ち馬アグネスラズベリは、4歳で500万下(現在の1勝クラス)を勝利すると、そこから4連勝。勢いそのままに重賞初挑戦の場としてヴィクトリアマイルを選ぶと、そこでも5着と好走。スプリント界の新星として注目を集めた。

しかしその次走CBC賞で1番人気8着に敗れると、そこから8連敗。好走を挟みながらも、なかなか勝ちきれなかった。そんな彼女が現役時代手にした唯一の重賞タイトルが、この函館SSである。長い苦戦が報われた勝ち星であった。

さらには、2015年のティーハーフ。こちらは条件戦連勝の勢いそのままに5歳でここを制覇した。しかしその後のティーハーフは、引退するまで重賞を20戦以上戦ったものの、未勝利に終わっている。

ただ、重賞の合間に走ったOP競走・鞍馬Sを12番人気で勝利したり、10歳になるまで現役を続けて函館SSに4度挑戦するなど、ファンから愛された馬でもあった。その人気も、ここでの勝利が大きくかかわっているのは間違いない。

今年はどんな馬が、北の大地のスプリント戦を制するのか。人気薄か人気馬か、牝馬か牡馬か──。今週も、どうぞご注目いただきたい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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