【安田記念】東大HCの本命はグランアレグリア 穴の資格は「前走マイル重賞負け」と「東京マイル実績」

東大ホースメンクラブ

安田記念インフォグラフィックⒸSPAIA

レースの傾向・先週の馬場ともに差し有利

6月6日(日)に東京競馬場で行われる安田記念(GⅠ・芝1600m)。春のマイル王決定戦にGⅠ馬6頭を含む14頭が集った。現役最強マイラー・グランアレグリアが前走ヴィクトリアマイルに続いて格の違いを見せるのか。それとも久々のマイル戦となるインディチャンプや昨年のクラシック路線を賑わしたサリオス、11年のリアルインパクト以来の3歳Vを狙うシュネルマイスターなどが一矢報いるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。


過去10年脚質別成績ⒸSPAIA


〈過去10年の安田記念・脚質別成績〉
逃げ【1-2-0-7】勝率10.0%/連対率30.0%
先行【2-2-2-28】勝率5.9%/連対率11.8%
差し【5-4-4-59】勝率6.9%/連対率12.5%
追込【2-2-4-40】勝率4.2%/連対率8.3%

まず過去10年の安田記念における脚質別成績を表にした。逃げ・先行馬で入着を果たした馬は延べ9頭とまずまずに見えるが、実際はモーリス・ロゴタイプ・アエロリットが2回ずつ馬券になっているので見かけよりも門は狭い。また近5年は上記3頭以外の好走例はなく、1度安田記念に挑戦して着外となった先行勢は割引が妥当だろう。今年でいえばダノンキングリーやダノンプレミアムの復活には期待できない。

またCコースとなった先週の東京芝コースが差し有利の状態であることを考えても先行勢は割引が必要。前目の位置を取ることが予想されるラウダシオンだが、前走1400m以下で4角5番手以内だった馬が【0-0-0-18】であることを踏まえると、この馬も例外なく評価を下げざるを得ない。


前走マイル重賞で敗れた馬は東京成績に注目

過去10年前走国内マイル重賞別成績ⒸSPAIA


〈過去10年の安田記念・前走国内マイル重賞組の成績〉
前走1着【1-1-1-16】勝率5.3%/連対率10.5%/複勝率15.8%/複回収率23%
前走2着以下【3-3-5-37】勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率22.9%/複回収率152%

次に毎年出走頭数の多い前走マイル重賞組について調べた。意外にも前走勝ち馬が苦戦しており、ヴィクトリアマイルを勝ってきたアパパネやヴィルシーナも掲示板外に敗れている。馬券に絡んだ3頭は前走で0秒3以上の差をつけて勝っていた馬で、前走を僅差で制した馬を買うのは妙味がない。逆に前走0秒6以上の差をつけて勝ったモーリスやアーモンドアイといった超名馬たちは連対を外しておらず、グランアレグリアが大きく崩れる場面は想定し難い。

また前走2着以下から馬券に絡んだ延べ11頭のうち、延べ8頭は東京芝1600mで行われるNHKマイルCか東京新聞杯で3着内に好走した経験があった。マイラーズCやダービー卿チャレンジTが右回りで行われることを考えると、東京マイルに適性がある馬が巻き返していることも頷ける。左回りの東京でパフォーマンスを上げてくるであろうギベオンやダイワキャグニーは面白い存在だ。


絶対的な能力差でねじ伏せる

◎グランアレグリア
現役では敵無しの最強マイラー。昨年も名牝アーモンドアイを負かしており実力は抜けている。前走・ヴィクトリアマイルは0秒7という大差をつけて圧勝しており、絶対的な能力値で並ぶ者はいない。またその前走で入れられたムチは2発のみと最小限の力しか消耗しておらず、中2週というローテでも見かけほどの疲労はないだろうが、昨年のアーモンドアイもヴィクトリアマイルはノーステッキだったことを思い出すと、同様に2着敗退というケースまでケアしておきたい。

◯インディチャンプ
1400m以下の距離ではスピード負けしている印象で近3走は適性外。また昨年から控える形での競馬をしており、前走1400m以下で4角5番手以内だった馬が【0-0-0-18】という消しデータにも当てはまらない。また昨年は落鉄というアクシデントがありながらの3着で、万全の状態で臨む久々のマイル戦でなら女王に土をつけてもおかしくない。

▲サリオス
前々走は後方待機、前走は道悪と敗因は明らか。朝日杯FSを勝っているようにマイルが不得手ということは決してなく、東京マイルも2戦2勝の舞台。GⅠ昇格後大阪杯からのローテは【0-0-1-8】と連対例がないものの、3着は同じハーツクライ産駒のスワーヴリチャードによるもの。ハーツクライ産駒の成長力をもってすれば好走は難しくない。

△シュネルマイスター
NHKマイルCの勝ち時計はその一週間後に行われたヴィクトリアマイル2着馬の走破時計を上回っており、古馬との初戦でも通用する余地はある。54キロという斤量も魅力で、ルメール騎手の手を離れるとはいえ軽視できない。NHKマイルCを制した3歳馬による安田記念への参戦は過去10年でミッキーアイル1例のみとサンプルが少なく、「僅差でマイル重賞を勝った馬」ではあるものの抑えておく。

5番手にギベオン。金鯱賞ではアッと驚く逃げ切りを見せたが、元々脚質には柔軟性があり差す形でも戦える馬。前走マイル重賞で敗れた馬の好走に必要なNHKマイルC成績(2着)も備えており、0秒2差でマイラーズCを制したケイデンスコールよりデータ的にもオッズ的にも評価できる馬。左回り替わりもプラスで、ヒモには加えておきたいところ。

穴目で気になるのはカテドラル。2年前のNHKマイルCで3着、今年の東京新聞杯で2着と東京マイルでの実績は確か。5歳となった今年は重賞で連続2着とハーツクライの血が覚醒しつつあり、激走に期待したい。

▽安田記念予想▽
◎グランアレグリア
◯インディチャンプ
▲サリオス
△シュネルマイスター
×ギベオン
☆カテドラル

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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