【鳴尾記念】好データは「前走中山記念」「前走6~10着」など クラージュゲリエに絶好機到来!

門田光生

鳴尾記念の所属別成績(過去9年)ⒸSPAIA

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二度あることは三度ある

2021年6月5日(土)に行われる第74回鳴尾記念。鳴尾は兵庫県西宮市にある地域の名前。今年は中京競馬場で行われるのだが、地名がついたレースがいつもと違う場所で行われると、さすがに違和感がある。また、以前は冬に行われていたり、格付けがGⅡだったり、ハンデ戦だったり、距離が1800mだったりした時期もあったが、現在は宝塚記念の前哨戦の一つとして定着している。

上記に書いたように、2006~2011年に施行された鳴尾記念は年末の芝1800mで、そして2005年以前はハンデ戦で行われていた。よって、今回と同条件となった2012年から、過去9回のデータを参考に傾向を調べていくことにする。今年は開催場所が違うので使いづらいデータもあるが、そのあたりは柔軟に対応していきたいところだ。

前走着順が悪いと狙い目?

鳴尾記念出走馬の所属別ⒸSPAIA


まずは所属別から。過去9年の連対馬18頭はすべて栗東所属馬。栗東所属馬の方が出走頭数が9倍近く多いとはいえ、普通なら栗東所属馬同士の争いになると考えて間違いない。

ただ、今回の開催場所は中京競馬場。阪神に比べると輸送距離が短くなり、例年以上に関東の有力馬が参戦してくる可能性が高い。今年に限っては、美浦所属馬がノーチャンスとは言えなさそう。

鳴尾記念出走馬の年齢ⒸSPAIA


年齢別に見ていくと、5歳馬が6連対でトップ。続くのは4歳馬の5連対。6歳馬も4連対と悪くないのだが、4、5歳に比べて勝率、連対率で大きく差をつけられている。

鳴尾記念出走馬の前走着順ⒸSPAIA
鳴尾記念出走馬の前走人気ⒸSPAIA


前走着順を1~5着、6~10着、そして11着以下に分けてみると、順に7連対、8連対、3連対となる。勝率が最もよかったのは前走6~10着組。2番目によかった前走1~5着組に3倍近くの差をつけている。連対率も前走6~10着組が堂々のトップ。前走1~5着馬も数字上は悪くないのだが、人気的な妙味を加味しても、前走6~10着馬を狙うのが面白そうだ。

前走人気で比較するとどうか。前走1~5番人気の組と、前走6~10番人気の組では、ほとんど差はなし。さすがに前走が11番人気以下となると数字が落ちる。

鳴尾記念出走馬の前走クラスⒸSPAIA
鳴尾記念出走馬の前走ⒸSPAIA


前走レース別の成績を見比べてみると、重賞組が好成績を残している。特に注目したいのは天皇賞(春)、中山記念、ヴィクトリアマイルを経由してきた馬。天皇賞(春)は最多の3勝、中山記念とヴィクトリアマイルはそれぞれ2頭が出走して、中山記念は2勝、ヴィクトリアマイルは2着2回の連対率100%となっている。ただ、今年はヴィクトリアマイル組が登録なし。

オープン経由組からも連対馬は出ているが、なぜかリステッド格付けのオープン(2019年以降)は、9頭が出走して全頭が着外となっている。

最後に、今回行われる中京芝2000mの傾向について。脚質については、追い込み馬の数字が少し悪いが、それ以外の脚質はほぼ互角の成績。種牡馬では、ディープインパクトとキングカメハメハの2頭が好成績。重賞に限定すると、さらに数字がハネ上がる。また、ルメール騎手、川田騎手、福永騎手、和田竜騎手、M.デムーロ騎手、藤岡康騎手あたりが、この条件で自身の今年の連対率を大きく上回っており、得意としていることが分かる。

決め手は「中山記念」で「大敗」

鳴尾記念で好走の可能性が高いパターンは、A「栗東所属馬」B「4、5歳馬」C「前走6~10着馬」D「天皇賞(春)or中山記念組」E「ディープインパクトorキングカメハメハ産駒」の5つ。

凡走の可能性が高いパターンはF「前走11着以下」G「前走11番人気以下」H「前走がオープン(L)」となる。

今回、マイナスデータがある馬は少なく、Hの「前走がオープン(L)」だけ。リステッド格付けが始まってまだ2年、この鳴尾記念に出走してきたリステッド組は人気がなかった馬がほとんどなのだが、それでも今回は【0-0-0-9】という勝率0%のデータを信じて、都大路S(L)を経由してきた組はすべて消してみる。

マイナスデータを持たず、プラスデータをすべてクリアしたのがクラージュゲリエ。中山記念から鳴尾記念というローテーションで挑んだ馬は過去2頭だけで、いずれも優勝している。その2頭の中山記念の着順は10、10着。クラージュゲリエもよく似た着順(9着)だからデータ的にはちょうどいい。「二度あることは三度ある」ということで狙い撃つ。

続いて好データが多いのはブラヴァス。大阪杯組はGⅠ、GⅡ時代を含めて勝ち馬が出ていない(過去9年)が、GⅠ昇格後のここ2年は続けて3着となっており、その2頭も着外からの巻き返し。ブラヴァスも前走の大敗は気にしなくていいだろう。

あとは似たり寄ったりで、こちらのさじ加減ひとつとなってくる。上記で「今年は美浦所属馬にもチャンスはある」と書いたので、中京芝2000mに強い川田騎手騎乗、そしてディープインパクト産駒のサトノソルタスが3番手。

今回出走しているハービンジャー産駒はいずれも力のある馬。そのハービンジャー産駒は中京芝2000mの重賞で【0-2-0-9】。連対馬の母の父はクロフネとサンデーサイレンス。今回の出走馬でハービンジャー×サンデーサイレンスという配合のペルシアンナイトも加えた4頭が結論となる。

人気が予想されるサンレイポケットだが、A「栗東所属馬」以外の好データに該当せず見送りとしたい。

◎クラージュゲリエ
◯ブラヴァス
▲サトノソルタス
△ペルシアンナイト

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
日本ダービーはゴール直後、掲示板に1頭も馬番が表示されなかったぐらいの大接戦。上位馬の馬券を持っていた人は応援にも熱が入ったはず。それに負けないぐらいの熱戦となったのが先に行われた石川ダービー(金沢競馬)。4コーナーからゴール前までの激しい追い比べは必見です。興味があればぜひ。

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