【日本ダービー】東大HCの本命はエフフォーリア 穴は「内枠」×「前走5番人気以内」のヴィクティファルス

東大ホースメンクラブ

日本ダービーインフォグラフィック

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内枠×前走5番人気以内に妙味あり

5月30日(日)に競馬の祭典・日本ダービー(GⅠ・東京芝2400m)が行われる。「ダービー馬のオーナーになることは、一国の宰相になることより難しい」という名言があるほど到達するのが困難な頂に、1頭の牝馬を含む17頭の精鋭が挑戦する。注目は何と言っても無敗でダービーに臨むエフフォーリア。混戦模様に映った皐月賞を、3馬身もの差をつけて快勝した本馬がダービーの栄冠に最も近いと言わざるを得ない。

ただエフフォーリア以外の馬の評価は大きく割れている。桜花賞馬ソダシにあと一歩のところまで迫った牝馬・サトノレイナスや、毎日杯を日本レコードタイの時計で勝利したシャフリヤール、体質に弱さを抱えながら本番に間に合った青葉賞馬ワンダフルタウン。いずれも大本命馬を逆転するチャンスがある。的中に向け、今週もデータを基に予想していく。


過去10年日本ダービー枠別成績


〈日本ダービー・過去10年の枠別成績〉
1枠【3-2-1-14】勝率15.0%/連対率25.0%/複勝率30.0%
2枠【1-1-2-16】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%
3枠【2-0-1-17】勝率10.0%/連対率10.0%/複勝率15.0%
4枠【0-2-2-15】勝率0.0%/連対率10.5%/複勝率21.1%
5枠【1-1-0-18】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率10.0%
6枠【1-3-1-15】勝率5.0%/連対率20.0%/複勝率25.0%
7枠【1-1-2-26】勝率3.3%/連対率6.7%/複勝率13.3%
8枠【1-0-1-28】勝率3.3%/連対率3.3%/複勝率6.7%

過去10年の日本ダービーについて枠別成績を表にした。全体的に1枠をはじめとした内枠が有利で、その通りの印象をお持ちの方も多いのではないだろうか。ただ内外のバイアスはイメージされるほど極端ではなく、この表だけで分かることは多くない。そこで以下では1~4枠と5~8枠を「内枠」と「外枠」に分け、各々に一つ要素を加える形でデータの特徴を探っていく。


過去10年日本ダービー枠・前走人気別成績


〈日本ダービー・枠×前走人気〉
内枠・前走5番人気以内【6-4-4-27】勝率14.6%/連対率24.4%/複勝率34.1%/複回収率203%
内枠・前走6番人気以下【0-1-2-35】勝率0.0%/連対率2.6%/複勝率7.9%/複回収率46%
外枠・前走5番人気以内【4-4-4-44】勝率7.1%/連対率14.3%/複勝率21.4%/複回収率52%
外枠・前走6番人気以下【0-1-0-43】勝率0.0%/連対率2.3%/複勝率2.3%/複回収率8%

まずは枠×前走人気という視点で分析してみる。前走で高い評価を受けていた馬が内枠に収まると複勝率3割越えの信頼度があり、配当的にも買い。昨年もヴェルトライゼンデが皐月賞4番人気8着からダービー3着に好走しており、結果によらず前走で人気した馬は追い続けるべき。また内枠×前走6番人気以下から馬券に絡んだ3頭は、いずれも前走の皐月賞・青葉賞で連対していた。前走で人気を覆す好走を見せた馬以外は、内枠でも軽視が妥当だ。

外枠に関しても傾向の方向性は変わらない。ただ注意したい点として、外枠×前走6番人気以下で馬券になったのは皐月賞馬・エポカドーロのみで、内枠の場合とは異なり前走で好走していても評価を上げづらいことが挙げられる。また全体の傾向として外枠は回収率が低く馬券に絡んだのも7番人気まで。前走で人気していた馬でも、本番で人気が大きく落ちるようなら見送りたい。


過去10年日本ダービー枠・乗り替わり有無別成績


〈日本ダービー・枠×乗り替わり〉
1~4枠:勝率0.0%/連対率4.2%/複勝率16.7%/複回収率234%
5~8枠:勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/複回収率0%

加えて挙げておきたいデータは枠×乗り替わり。「乗り替わりでダービーは勝てない」という言葉が示す通り、日本ダービーにおける乗り替わり成績は【0-1-3-57】とかなり悲惨。

ただ内枠・外枠のふるいにかけると、外枠の乗り替わり組が全く馬券に絡んでいないのに対し、内枠の乗り替わり組は穴馬の激走もあり軽視すべきではないことがわかる。今年の外枠×乗り替わり組には、ラーゴム、シャフリヤール、グレートマジシャン、アドマイヤハダル。該当馬はヒモに含める必要すらなさそうだ。


今週こそ無敗の二冠馬の誕生に期待

◎エフフォーリア
死角らしい死角も見当たらず、断然の1番人気が予想されるが素直に信頼したい。共同通信杯・皐月賞とハイレベルなレースを制しており、その能力は折り紙付き。飛びが大きい点からも東京コースは向いており、皐月賞よりも条件は好転する。加えて1枠1番という超のつく絶好枠を手にしており、「最も運のある馬が勝つ」と評されるダービーにふさわしい馬。自分とそう歳の変わらない横山武史騎手の偉業達成に期待したい。

○ヴィクティファルス
皐月賞では4番人気に支持されながら9着と大敗。ただ展開が向かなかったことや4角で外々を回されたことを考えると不完全燃焼だったといえ、評価を大きく下げる必要はない。前走結果から人気はかなり落ち込むことが予想されるが、内枠に収まった前走上位人気馬は追いかけるべし、というデータを信頼して高い評価をつけた。

▲サトノレイナス
桜花賞では最後の1ハロンで驚異的な伸び脚をみせクビ差の2着。淀みない流れを内で立ち回った1・3着馬よりも苦しい競馬をしており、内容はかなり濃い。また阪神JF時点から度々言われているようにエンジンのかかりが遅くマイルは忙しい。血統的にみても兄姉にマイルを主戦とした馬はおらず東京2400mはベストな舞台。エフフォーリアを負かすほどの強さは感じないが、2・3着に滑り込む余地は十分にある。

△レッドジェネシス
勝ち上がりこそ遅かったものの、馬体が増えるにつれ能力が開花。ゆきやなぎ賞を快勝しているように距離に不安はなく、近2走からみるに持久力勝負がハマっている。また乗り替わりとはなるものの、2枠という枠を考えれば嫌う理由とはならない。一線級を相手にするのはこれが初めてとなるが、オッズを加味すると抑える価値はある。

5番手にワンダフルタウン。青葉賞をタイム差なしで制した馬は【0-0-0-3】と好走例がないが、この馬の場合は前走が約6か月ぶりの実戦であったことを考えると着差以上の強さがあるのは間違いない。外枠から好走するための前走5番人気以内、今回7番人気以内という条件も満たしそうで、デビューから一貫して和田騎手が騎乗していることもプラスだ。

そして人気が予想されるシャフリヤールは消し。主戦に戻るという点で単純な乗り替わりとは異なるものの、やはり外枠×乗り替わりが【0-0-0-37】と10年間馬券に絡んだ例がない事実は強烈。個人的にPOG(ペーパーオーナーゲーム)で指名していることもあって応援したい気持ちはあるが、データに忠実に従い泣く泣く消しとした。

▽日本ダービー予想▽
◎エフフォーリア
〇ヴィクティファルス
▲サトノレイナス
△レッドジェネシス
×ワンダフルタウン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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