【日本ダービー】エフフォーリア最有力 逆転ならドゥラメンテ超えのパフォーマンスを見せた素質馬

三木俊幸

2021年日本ダービー出走馬の馬場適性ⒸSPAIA

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オークスは差し決着

若き鞍上、横山武史とエフフォーリアのコンビが世代の頂点へと昇り詰めるのか。それともサトノレイナスがウオッカ以来となる牝馬のダービー馬となるのか──。日本ダービー(GⅠ・芝2400m)出走馬について、馬場適性の観点から考察していく。

先週末のクッション値と含水率ⒸSPAIA


先週は水曜日に7.5mm、木曜日に1.5mm、金曜日に2.5mmと雨量は多くなかったものの連日雨。金曜日時点での発表はクッション値9.3、ゴール前の含水率15.9%で稍重だった。しかし、土曜日の朝の時点では良馬場に回復。レース中と日曜日の朝に雨が降ったが、クッション値は両日とも9.4、含水率は土曜日が15.6%、日曜日が16.6%の中で、全レース良馬場で行われた。

5/22・23の東京芝コース タイムと上がりⒸSPAIA


日本ダービーと同じ舞台で争われたオークスは、前半1000mが59.9で流れ、2:24.5で決着。ある程度の時計が出る馬場状態だったが、春の東京開催で最も乾燥した状態だった先々週と比較すると、時計の出方は落ち着いていた。

オークスは33秒台の上がりを使った馬はおらず、上位に好走した馬は34秒前半の上がりにとどまったが、12レース中7レースの勝ち馬が上がり33秒台で勝利していることからも、引き続き速い上がりが求められる状態に変わりはない。

5/22・23の東京芝コース 通過順位ⒸSPAIA


好走馬の脚質については、Bコースになった先々週と同様に先行馬の活躍も目立ち、勝ち馬7頭が4角4番手以内という結果だった。しかし、オークスの上位3頭はいずれも4角8番手より後ろだった馬であり、その他にも3歳未勝利で18頭中4角16番手にいた馬の直線一気も決まっていたことから、ペース次第では差し届く馬場だと言えるだろう。

セントポーリア賞の勝ちタイムに注目

今週は木曜日に雨予報が出ているが、レース当日にかけては回復する予報となっている。先週末と同程度の馬場でレースが行われると想定する。今回は6頭をピックアップしたが、特に☆のついている3頭に注目したい。

2021年日本ダービー出走馬の馬場適性チャートⒸSPAIA

【☆エフフォーリア】
皐月賞当日の朝は重馬場発表でクッション値は7.9、そこから稍重に回復したもののパワーが必要とされる馬場でのレースとなった。外が伸びる状態にも関わらず、直線では内を通って3馬身差の完勝という内容で、能力は抜けている。百日草特別、共同通信杯とスローペースの瞬発力勝負で高いパフォーマンスを披露していることからも、前走と比較して条件面でのマイナスは見当たらない。

【サトノレイナス】
阪神JF、桜花賞でソダシをあと一歩のところまで追い詰めた末脚を見る限り、ジワジワと加速してくるタイプなので距離延長は歓迎。今回は強力な牡馬相手となるが、通用するだけの素質は秘めているだけに、押さえておく必要はあるだろう。

【シャフリヤール】
前走の毎日杯は1:43.9のレコード勝ち。2走前の共同通信杯3着という内容を考えても能力はかなり高い。しかし、今回は前走時のようにレコードが出るほどの硬い馬場にはならない。加えて、2400mへの距離延長という面で他の有力馬よりもアドバンテージがあるとは言えないので、その点を割り引いて考えたい。

【☆グレートマジシャン】
毎日杯ではシャフリヤールに競り負けて2着となったが、スタート後2F目からゴールまで11.9以下のラップでペースが流れたことなど、それまでの2戦とは大きく違うレースだった。2走前のセントポーリア賞は2015年のダービー馬ドゥラメンテが同レースを勝利した際より0.4秒も速いタイムで勝利しているように、かなりの素質を秘めている。2400mへの距離延長と東京コースなら、エフフォーリアに太刀打ちできる存在だと考える。

【☆アドマイヤハダル】
皐月賞は中団追走から4着となったが、跳びが大きく道悪よりは良馬場向き。エフフォーリアなどライバルより切れる脚は使えないが、立ち回りの巧さはある。東京2400mという舞台も合いそうだ。

【ワンダフルタウン】
前走の青葉賞は久々のレースだったが、6番手追走からしぶとく伸びて接戦を制した。過去最速の上がりが34.0と切れる脚はないだけに、少しでも上がりがかかる展開に持ち込めれば上位に割り込むチャンスは出てくるだろう。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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