【日本ダービー】本質はダービー向きのエフフォーリア 前哨戦分析から浮上する素質抜群の1頭とは?

坂上明大

2021年日本ダービーの参考レースⒸSPAIA

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ハイレベルなレコード決着

3歳牡馬クラシックの第2戦であり、日本競馬最高峰のG1・日本ダービー。「最も運のある馬が勝つ」という格言があるが、運だけで手に入る栄冠でないことは言うまでもない。今年は底を見せぬ素質馬が多路線から終結しており、各馬の能力整理が重要な一戦となりそうだ。

【毎日杯】
前週日曜は終日重馬場開催となったが、週中は気温が高く降水量も微量。本レースは良好な馬場状態で行われ、時計の出やすい一日でもあった。レースは3F別ラップ34.5-35.0-34.4と坦々としたラップを刻んだが、直線向かい方向の風の影響を加味すると数字ほど厳しい流れではなかったか。少頭数でもあり、全馬能力を出し切りやすいレースであった。

1着馬シャフリヤールは発馬でやや後手を踏んだが、すぐさまリカバリーして先頭集団に。直線では残り200m程で先頭に並びかけると、グレートマジシャンとの叩き合いも制した。勝ち時計は日本レコードタイの好時計であり地力は疑いようがない。2400mへの距離延長が鍵か。

2着馬グレートマジシャンもシャフリヤールと同タイムで走破しており、地力は皐月賞2着以下と比較して優位に立てるほど。さらに本馬は手脚の長い体形で距離延長もプラス材料。シャフリヤールと着順が入れ替わっても不思議ではない。

次元の違う末脚

【桜花賞】
Bコース替わり初週。週中の降雨量も少なく、気温も高め。馬場状態は非常に良く、2レースでレコードタイムが計時された。本レースはメイケイエールが3角手前から上がっていき、前後半3F34.1-34.3の平均ペース。先行力、追走力、瞬発力など総合力が求められる地力勝負となった。

2着馬サトノレイナスは外枠から出遅れと厳しい形。それでも、直線では1頭だけ次元の違う脚で追い込んでソダシにクビ差まで迫った。ラスト1Fは11.1程度とメンバー中で抜けた時計であり、脚を余した感は否めない。オークスなら圧勝していた可能性も十分にある素質馬であり、牡馬相手のダービーでも楽しみな存在だ。

無敗の皐月賞コンビ

皐月賞の展開/馬場バイアスインフォグラフィックⒸSPAIA


【皐月賞】
週中にまとまった雨が降ったうえ、前日の夕方から深夜にかけても降ったり止んだりの空模様。皐月賞時には稍重まで回復したが、昨年と同程度の馬場レベルであったか。内外のバイアスはさほど感じず。ペースは前後半1000m60.3-60.3のイーブンペース。皐月賞の近10年平均が前傾0.7程度だということを考慮するとやや落ち着いた流れではあったが、極端な前有利とは言えないだろう。

1着馬エフフォーリアは好位のインで折り合いをつけ、4角出口で内をついて3馬身差の快勝。大トビで息の長い末脚が魅力だが、その反面、内に入れることはなかなか勇気がいる作戦。横山武史騎手の手綱捌きには称賛を送りたく、それに応えたエフフォーリアのレースセンスも素晴らしい。身体的な完成度はまだまだだが、精神面では同世代のライバルに大きな差をつけている。ダービーでも崩れることはないだろう。

2着馬タイトルホルダーはいつも通り行きたがる面を見せてはいたが、2番手から渋太く粘って2着。決め手はないが堅実だ。

3着馬ステラヴェローチェは1角でヴィクティファルスに前に出られたが、運良く内が空いてギリギリのポジショニング。勝負どころでも少々後手を踏んだが、内からジワジワと伸びて3着まで巻き返した。皐月賞向き。

4着以下で注目は6着馬グラティアス。8枠15番で位置取りを悪くし、4角出口では内からぶつけられる不利。好枠を引ければ巻き返せるだけの地力は秘めている。

素質はエフフォーリア以上?

エフフォーリアは無敗で皐月賞を制したが、本質はダービー向き。精神面も非常に安定しており、今回も主役は譲れない。相手筆頭はグレートマジシャン。未熟な面は多いが、素質はここでもトップクラスの一頭だ。皐月賞では持ち味を活かせなかったグラティアスの巻き返しにも要注意。

注目馬:エフフォーリア、グレートマジシャン、グラティアス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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