【日本ダービー】二冠か、逆転か、伏兵激走か、はたまたウオッカの再来か 当日まで覚えておきたいデータ
勝木淳
Cコースの日本ダービーは枠順もポイント
2018年生まれのサラブレッド7,242頭の頂点を決める戦い、日本ダービーがやってくる。牝馬サトノレイナスを含め、17頭が出走予定(ダノンザキッドは故障で回避)。出走上限が18頭になった92年以来はじめてフルゲート割れになった。出走権利を獲得、もしくは賞金水準をクリアしたものの、体調が整わずに断念した馬や直前でアクシデントに見舞われた馬もいた。たった1年間で勝ち抜かねばならない、日本ダービー出走の厳しさを改めて示した。
3歳牡馬クラシック戦線は、2歳GⅠホープフルSを勝ったダノンザキッドが主役級に評価されて開戦、共同通信杯を勝ったエフフォーリアが第一冠・皐月賞を勝ち、日本ダービーで二冠制覇をかける。これを筆頭に9頭いる皐月賞組に牝馬サトノレイナス、青葉賞馬ワンダフルタウン、京都新聞杯を勝ったレッドジェネシスらがぶつかる。ここでは過去10年間のデータから第88回日本ダービーを攻略する。
1番人気は【4-1-2-3】勝率40%、複勝率70%。3着以内で考えれば堅実だが、やはり日本ダービーは買う側も1着馬を当てたい。オークスは5勝、皐月賞は昨年までの10年間で3勝なので、その間ぐらいの確率。皐月賞を勝った1番人気に限ると、【3-1-1-1】勝率50%。エフフォーリアはオルフェーヴル、ドゥラメンテ、コントレイルに続けるか。その反面、2番人気は【1-2-1-6】でやや不振、3番人気が【3-3-1-3】で好成績。複穴はそれなりに開いており、10番人気以下は20年10番人気3着ヴェルトライゼンデなど【1-1-3-84】。
芝Cコースで行われる日本ダービーは枠順も重要になる。1枠【3-2-1-14】など3枠以内が【6-3-4-47】、8枠【1-0-1-28】を含め、6枠より外は【3-4-4-69】で内枠に比べ外枠は勝利数が半分で勝ちきれない。1着を当てるならば枠順を気にしたい。
1月生まれが強い!?
ここからは詳細なデータに入る前に日本ダービーに関するちょっとしたデータを紹介したい。
まずは生まれ月別の成績。数が多い2~4月は、2月【3-2-2-40】勝率6.4%、3月【2-3-6-44】勝率3.6%、4月【1-2-2-35】勝率2.5%と暖かくなるにつれ勝率が下がる。となるとさらに寒い1月は【2-2-0-14】勝率11.1%。全体頭数が少ないこともあるが、早生まれは好走確率がアップする。登録馬だとワンダフルタウンが1月生まれだ。その反面、遅生まれにあたる春本番5月も【2-1-0-15】勝率11.1%と好成績。こちらはヴィクティファルスが該当する。
ついでに毛色別の成績を調べてみた。サラブレッドの毛色は8種類。過去10年では栃栗毛と白毛の出走はない。ちなみに栃栗毛のダービー出走馬は04年メイショウムネノリが最後。一般的にサラブレッドの毛色のうち約50%を占める鹿毛が【6-4-6-71】で質量ともに圧倒的。今年もエフフォーリアほか13頭が鹿毛。次にいい青鹿毛【2-1-1-14】はグレートマジシャン、ディープモンスターがいる。
皐月賞は人気に、トライアル組は着差に注目
それでは本筋に戻し、好走パターンを戦歴から具体的にみていこう。
前走レース別成績をみると、皐月賞【8-7-5-68】、京都新聞杯【2-1-1-20】、青葉賞【0-2-3-19】、プリンシパルS【0-0-1-6】が好走パターン。なお、NHKマイルCは【0-0-0-22】、毎日杯は【0-0-0-4】。データ上、勝ち馬は皐月賞組9頭とレッドジェネシスに限られる。まずは皐月賞を具体的に。
皐月賞組を整理するために皐月賞での人気別成績をみる。皐月賞1番人気はダービーで【2-1-1-5】、2番人気【0-3-0-6】、3番人気【3-2-1-4】、4番人気【2-0-2-5】、5番人気【1-0-0-2】であり、皐月賞6番人気以下からダービーを勝った馬はこの10年ではいない。
過去は06年皐月賞6番人気のメイショウサムソン、10年皐月賞11番人気エイシンフラッシュがいる。皐月賞が2、8、6番人気で決まったので、エイシンフラッシュパターンは要警戒だが、皐月賞で6番人気以下だった馬は基本的には苦しく、上位着順だった8番人気2着タイトルホルダー、6番人気3着ステラヴェローチェ、11番人気5着ヨーホーレイクより、2番人気1着エフフォーリア、3番人気4着アドマイヤハダル、4番人気9着ヴィクティファルスを狙いたい。
レッドジェネシスに関するデータでは京都新聞杯での着差別成績を出す。同馬は0.1秒差で勝利したが、京都新聞杯を0.1~0.2差で勝つと、【1-1-0-2】。13年1着キズナ、15年2着サトノラーゼンが該当。着差が0.0差だと【0-0-0-3】なので、京都新聞杯でタイム差をつけて勝ったのは加点したい。
レース史上ダービー馬を出していない青葉賞組だが、馬券的には捨てられない。こちらも着差別成績でパターンを探ろう。0.0秒差で勝つと、【0-0-0-3】、0.1差以上つけて勝つと、【0-2-1-3】、やはり京都新聞杯と同じくタイム差をつけて勝つことは重要。ワンダフルタウンはタイム差なしで勝利。同馬は消耗が少ない利点はあるものの、青葉賞辛勝は減点材料になる。
最後にもう有名なデータだが、日本ダービーは乗り替わりだと【0-1-3-57】で勝てない。86年以降に広げても【0-9-9-178】で勝利なし。レッドジェネシスは横山典弘騎手への乗り替わり予定、ここは名手といえども減点せざるを得ない。あくまで1着候補となると、皐月賞組からはエフフォーリア、ヴィクティファルス。またはエイシンフラッシュのパターンからタイトルホルダー、ステラヴェローチェまで。もしくはデータ面からのジャッジはできないが、ルメール騎手が引き続きまたがる牝馬サトノレイナスか。半兄サトノフラッグは昨年の日本ダービー11着だった。この取捨については一週間じっくり考えたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。
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