【オークス】能力で距離の壁を突破する 京大競馬研の本命は無敗二冠を狙うソダシ
京都大学競馬研究会
1番人気なら2400mも問題ない
5月23日に東京競馬場でオークス(GⅠ)が行われる。無敗の桜花賞馬ソダシが二冠を狙うほか、桜花賞から巻き返しを図るアカイトリノムスメやファインルージュ、新興勢力としてクールキャットやタガノパッション、ステラリアなどが参戦する。
牝馬にとって2400mは慣れない過酷な距離になる。特にソダシの父クロフネの産駒には2000m以上の距離で平地重賞勝ちがないため、距離不安が言われている。桜花賞で高いパフォーマンスを見せたソダシは距離の壁を乗り越えられるのか、調査してみよう。
2000m~2400mを中距離として、クロフネ産駒がデビューした2005年6月以降の成績を調べた。産駒の中距離戦での成績は【99-98-111-1209】で勝率6.5%、複勝率は20.3%、単勝回収率は50%しかなく、確かに中距離戦での成績は良くない。しかし人気ごとに調べてみると5番人気以内は【82-78-65-303】で複勝率42.6%、1番人気に限れば【31-23-13-33】で複勝率は67.0%、複勝回収率は85%にまで伸びる。
同時期の中距離戦全レースでの1番人気の成績は勝率31.7%、複勝率63.9%とクロフネ産駒の成績と差が無い。1番人気になるだけの実力馬であればクロフネ産駒だからと割引く必要はなさそうだ。
一方、二桁人気になると全く走らず、543回走って勝ちは1回のみ。回収率を下げる原因の一つになっている。展開の助けがあっても大駆けすることがほぼないのでバッサリ切ってしまう方が良い。クロフネは亡くなってしまったが産駒はこれからも走り続けるので今後使えるデータとして覚えておきたい。
桜花賞からの巻き返しには前々走が重要
次に過去10年の前走レース別成績を調べた。桜花賞組は【7-4-5-63】でそのうち桜花賞3着以内に限ると【6-3-4-12】。素直に買うべきだ。一方で桜花賞を4着以下に敗れた馬は【1-1-1-51】と不振で、馬券になった3頭は前々走で重賞を勝っていた。重賞勝ちで実力は確かな馬が桜花賞だけ凡走した場合であれば巻き返しもあり得る。
その他の路線では忘れな草賞が【3-0-1-7】、フローラS【0-5-3-37】で、この2レースから馬券に絡んだ馬は人気や脚質も様々であった。そのため前走が強い走りだったのか恵まれた部分があったのか精査が必要だ。皐月賞に出走していた馬が3着になった例はあるが、先述の3レース以外を使った馬の成績は振るわない。
トライアルの一つであるスイートピーS組は【0-1-0-16】、穴人気した例もある前走1勝クラス組は馬券内なし。スイートピーS組で唯一馬券になったのは現在重賞でも活躍中のカレンブーケドール(2019年2着)で、オークス当日は12番人気と総流しでもしない限り手が出せない。オークスで勝ち負け出来る馬はほとんどが早々に賞金を積んでいて、スイートピーSや1勝クラスには出てこないものと考えられる。点数を減らすならばこの2レースは無視して良いだろう。
今年は桜花賞組が強い
◎ソダシ
桜花賞は早め先頭から追い込み封じて1着。展開や枠を問わず先行できるのは大きな強みで、母譲りのゲート難を見せることもなく、同世代との比較では実力が数段上なのは間違いない。クロフネ産駒の2000m~2400mの成績は先述したように1番人気に限ると複勝率67.0%で十分買える数値。桜花賞でレースレコードを出すなど絶対的なスピード能力が高く東京の高速馬場でも対応可能。大崩れは考えにくい。
○アカイトリノムスメ
桜花賞はソダシをマークしつつも捉えきれずの4着。東京コースは3戦全勝、父ディープインパクトで距離が伸びるのはプラス。鞍上にはルメールを配して馬券内は堅いと考える。ただしソダシに先着するにはソダシより後ろからの競馬では届かないため、近い位置でレースを進めたい。
▲ファインルージュ
桜花賞はソダシの後ろを伸びて3着。桜花賞では勝つための競馬ではなく、伸びるであろうソダシの後ろに付けて詰まらず力を出し切る競馬をした。それでも最後はクビ+半馬身差まで迫っており、距離が延びれば逆転もあると思わせる内容だった。今回枠がソダシの2個隣、背後につけ易いところを引き当てたため競馬はしやすい。今回も馬券内は十分あり得るだろう。
△ユーバーレーベン
直近3走は後方から外を回して3着。コースロスがあるにもかかわらず馬券を外していないのは見事。しかし距離延長がプラスになるという大方の評価のために、オッズ妙味が全くない。また使うごとに馬体重を落としており、調整が難航している様子が桜花賞を回避した点に現れている。体調が悪くて毎回差し損ねていると捉えることも可能で、一線級相手に勝ち負けを演じるためには馬体重増加が必須条件。今回も馬体を減らすようなら消し。
×ステラリア
忘れな草賞の勝ち馬で中団から伸びたものの、同位置で競馬した馬は皆伸びており特別強いレースをしたわけではない。桜花賞上位組とは差を感じる上に、不利とされる大外枠を引いてしまった。よほど巧く乗らないと厳しいため基本的には消しだが、末脚は良いものを持っているので、ユーバーレーベンが馬体減なら3着候補にあがってくる。
今年も穴人気しているフローラS組は大逃げした馬の前半1000mが60秒2とそこまで速くなく、2番手以降はスローペースで前残りのレースになってしまい、レベルに疑問が残る。勝ち時計も平凡でここでは厳しいと考え、大外から唯一差してきたユーバーレーベン以外は消し。またククナは重賞で惜しい競馬はしているものの、先述した桜花賞からの巻き返しの条件を満たさないため消し。
買い目はソダシとアカイトリノムスメ2頭軸マルチの3連単、相手2頭の12点とソダシ軸のワイド3点で勝負。かなり厚く買わないと高額配当は見込めない堅いレースになるだろう。(文:福山)
2021オークス 予想印
◎ソダシ
○アカイトリノムスメ
▲ファインルージュ
△ユーバーレーベン
×ステラリア
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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