【オークス】白毛の桜花賞馬ソダシ2冠達成なるか 水分量の多い馬場が味方する馬は?

三木俊幸

2021年オークス出走馬の馬場適性ⒸSPAIA

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Bコースで先行馬が残るケースも

先週末はグランアレグリアが圧巻の走りを見せた。そして今週末のオークス(GⅠ・芝2400m)には無敗の桜花賞馬ソダシが登場する。距離延長も克服して2冠達成となるのか、それともライバル達の逆転はあるのか、馬場傾向と各馬の適性から占っていく。

まずは先週末の東京競馬場・芝コースの馬場傾向から振り返る。日曜日の午前中から昼過ぎにかけて雨が降ったものの、馬場状態への影響はなく全レース良馬場で行われた。土曜日はクッション値9.9、ゴール前の含水率は10.9%、日曜日はクッション値が10.3、含水率11.9%。中間の雨量が0.5mmしかなかったため、今開催で最も乾燥した状態だった。

5/15・16の東京芝コース タイムと上がりⒸSPAIA


1400mの京王杯SCは前後半3Fのタイムが34.3と全く同じペースで流れ1:19.8、ヴィクトリアマイルは前半3F34.3、後半3Fが33.4というペースで1:31.0の決着。また、オークスと同じ2400mで争われた3勝クラスの緑風Sも2:24.2というタイムが出るなど、引き続き高速馬場だった。上がりタイムからも同様のことが言え、勝ち馬11頭中8頭が上がり33.8以下。ある程度の瞬発力が必要だと言える。

5/15・16の東京芝コース 通過順位ⒸSPAIA


好走馬の脚質成績を見ると、先週末からBコースになった影響もあってか、京王杯SCでは4角2番手追走のラウダシオンが勝利、3着には4角3番手のカイザーミノルが入るなど、先々週よりは先行馬の活躍も見られた。

それでもヴィクトリアマイルを勝利したグランアレグリアと2着ランブリングアレーは4角10番手、3着マジックキャッスルは4角7番手と引き続き差し馬が台頭する傾向にあった。

サトノレイナス不在で最大の不安材料が消える

今年のオークスの出走メンバーを見渡したところ、スピードが勝ったタイプの先行馬は見当たらず。比較的落ち着いた流れになると考える。しかし週中は連日雨マークがついており、レース当日は天候が回復したとしてもパンパンの良馬場にはならないだろう。道悪となることも想定する必要がありそうだ。

2021年オークス馬場適性チャートⒸSPAIA



【☆ソダシ】
阪神JF、桜花賞はともにサトノレイナスを僅差で退けて勝利しているが、2400mへの距離延長と瞬発力勝負への適性を考えると、今回は逆転されるだろうと見ていた。それだけにサトノレイナスが日本ダービーへと向かってくれたことで2冠達成に向けて最大の不安材料が消えたと言える。

高速馬場でも結果を残しているが、本質的には究極の瞬発力勝負になってしまうとやや分が悪いタイプなので、パンパンの良馬場にならない点は歓迎。好位のインでしっかりと脚を溜めることができれば、3着内への好走確率は高いだろう。

【☆アカイトリノムスメ】
桜花賞では4着に終わったが、5着以下とは差をつけたレースだった。折り合いに不安はなく、ある程度の位置からレースを進められる点からも舞台替わりはプラス。この馬もある程度の瞬発力を使えるものの、究極の上がりを求められる舞台では分が悪いので、馬場状態も向きそう。稍重までなら問題なし。

【ユーバーレーベン】
前走のフローラSは、大外から上がり最速の33.2を使って追い込むも3着まで。不器用なタイプなので位置どりは悪くなってしまうが、2400mへの距離延長はプラスに働くだろう。あまり馬場が悪くなってしまうと切れ味が鈍ってしまうが、良馬場で差しが届く流れになれば怖い一頭だ。

【☆クールキャット】
1400mの新馬戦を勝利したものの、その後1600m戦では結果が出ず。その後徐々に距離を伸ばし、前走2000mのフローラSを好位追走から勝利したように距離延長・東京コースで良さを発揮した。中団に控えてもレースができるタイプで、切れる脚が使えることも証明済みなので、ペースが落ち着く今回もチャンスありだと見る。

【アールドヴィーヴル】
前走の桜花賞はソダシから0.7秒離された5着だったが、クイーンC時より−6kgと馬体減だったことを踏まえると、頑張ったと言える。新馬戦は不良馬場で前残りの中で後方から一頭次元の違う脚で差し切り、続くクイーンCで使った上がりは最速ながら34.1だったことを考えると、今週末の馬場はマッチするだろう。あとは、馬体重をどこまで戻してこれるかがカギを握る。

【ウインアグライア】
フローラSでは5着と健闘したが、瞬発力で見劣る形となった。しかし、重馬場でタフな馬場で行われた若駒Sでは馬場の悪い内ラチ沿いから粘り込み勝利している。当日も雨が降るなど、タフな馬場になった場合に押さえておく必要があるだろう。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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