【ヴィクトリアマイル】前走不完全燃焼の2着から能力全開へ 東大HCの本命はマジックキャッスル

東大ホースメンクラブ

ヴィクトリアマイルの主な好走パターン

テーマは「シュアなベッティング」

今週日曜は2週連続となる東京芝1600mのGⅠ、ヴィクトリアマイルが行われる。何といっても注目は昨年の最優秀短距離馬グランアレグリア。安田記念でアーモンドアイを破ったマイル女王に対し、短距離戦線で超A級の実績を残してきたレシステンシア、トライアルの阪神牝馬Sで連対した社台レースホースの2頭、デゼルとマジックキャッスルなどが挑む構図だ。

昨年のレースでは単勝1.4倍に支持されたアーモンドアイが一頭だけ格の違うレースぶりを見せた。今年の圧倒的1番人気グランアレグリアも、前述の安田記念、インディチャンプとアドマイヤマーズを残り100mだけでねじ伏せたマイルCSを考えれば、馬券から消す戦略は無謀だろう。大荒れを狙うのではなく、少点数のシュアなベッティングを心掛けたいレースだ。

馬券圏内に残る2つの席をめぐる17頭の争いで台頭するのはどの馬か。過去15回のデータを紐解きながら、好走パターンを探っていく。


「前走マイル2着×社台系生産」は裏切らない

ヴィクトリアマイル好走パターンⒸSPAIA


<ヴィクトリアマイル・主な好走パターン>
同レース馬券経験あり【5-2-1-14】勝率22.7%/連対率31.8%/複勝率36.4%
前走マイルで2着【3-2-1-5】勝率27.3%/連対率45.5%/複勝率54.5%
前走4角4番手以内で4着以下【5-3-3-26】勝率13.5%/連対率21.6%/複勝率29.7%

ヴィクトリアマイルといえばGⅠ屈指のリピーターレース。3度出走して2勝・3着1回と無類の相性を誇ったストレイトガールをはじめ、13・14年連覇のヴィルシーナ、1勝2着1回のホエールキャプチャ、ブエナビスタ、ウオッカ、近年ではジュールポレールやノームコアなど、この手のデータは枚挙にいとまがない。

面白いことに、前年までに馬券圏内があった馬で前走5着以下に限ると【5-2-1-7】複勝率53.3%にまでアップ。高松宮記念を使って大敗した組(ストレイトガール・ノームコア)、阪神牝馬Sで持ち味を出し切れなかった組(ホエールキャプチャ・ヴィルシーナ・ジュールポレール)の巻き返しが馬券的妙味を生んでいるようだ。

また、前走マイルを使って2着だった馬も好成績が目立つ。前走マイル勝ち馬が【0-2-1-14】と連勝がないのとは雲泥の差だ。このうち社台ファーム・ノーザンファーム生産に限ると【3-2-1-1】複勝率85.7%。唯一の馬券外だった19年のアマルフィコーストは1200~1400mを中心に使われてきた馬だった。

リピーターの節で述べた通り、前走馬券外に敗れた馬でも巻き返しが利くレースでもあり、過去15回の歴史の中で前走3着以内の馬だけが馬券圏内を独占したレースは第1回のみ。逆襲のカギは前走先行組で、前走4角4番手以内に限ると6年連続で馬券になっている。昨年こそ該当馬で好走したのはアーモンドアイだけだったが、12番人気のトロワゼトワルも逃げ粘ってあわやの4着に来ている。高配当請負馬として買い目に入れておきたい。


府中で切れ味炸裂

◎マジックキャッスル
前走阪神牝馬Sは馬場のいいところを突いたデゼルに、進路を失いながらも内からほぼ同じ脚色で食らいつき、クビ差の2着。不完全燃焼ながら地力の高さを見せつけた。左回りでは14番人気ながら5着に突っ込んだオークス、待望の重賞初制覇を果たした愛知杯と高いパフォーマンスを披露しており、前走2着から幾度も本番好走している社台ファーム生産馬という点もプラス。自慢の切れ味で府中のターフを沸かせるシーンに期待する。

〇グランアレグリア
説明不要の現役最強マイラー。アーモンドアイ、インディチャンプ、アドマイヤマーズを子供扱いした昨年のマイルGⅠ2レースは衝撃的だった。このメンバーではさすがに格が違うだろうが、前走道悪の阪神芝2000mを使ったことがどう出るか。ウオッカもブエナビスタも負けたことのあるレースであり、頭固定はハイリスクローリターン。連系の軸としたい。

▲サウンドキアラ
今年唯一のリピーター枠。重賞3連勝の勢いそのままに昨年の同レースを2着に好走した。その後2戦はふがいない競馬が続くも、暮れの阪神Cで中団から差し脚を伸ばす競馬を見せ、ようやく復調気配を示した。前走高松宮記念はスピード負けとはいえ勝ち馬から0秒4差の6着に健闘。速い流れを経験したことで追走も楽になるだろう。2年連続の好走に向けて条件は整った。

△ダノンファンタジー
今年の高配当請負馬。阪神JFなど重賞5勝は全て右回りだが、左回りでも明らかに距離が長かったオークスで小差の5着に粘っており、その他のレースでも府中牝馬Sと高松宮記念はこの馬がからっきし苦手な重馬場、2着だった東京の新馬戦は負けた相手がグランアレグリアだった。年末から暮れにかけて、阪神芝1400mの2戦はいずれも1分19秒台で走破。高速化が進むヴィクトリアマイルに合致したタイプで、藤岡佑介騎手も先週のリベンジに燃えていることだろう。ヒモに入れておきたい。

×レシステンシア
短距離戦線でトップクラスの実力を誇っている同馬だが、ダイワメジャー産駒は同レース【0-0-0-8】と相性が悪い。東京芝1600mはNHKマイルC2着以来だが、このレースに出走した馬は現在に至るまで3勝クラス以上のマイル戦を勝っていない。メンバーレベルを考えれば勝ち切って当然だった一戦であり、体調が万全でなかったマイルCS以外、右回りで見せてきた圧巻の走りを考えると東京では疑いたいところ。馬券外に消えるシーンも想定しておきたい。

▽ヴィクトリアマイル予想▽
◎マジックキャッスル
〇グランアレグリア
▲サウンドキアラ
△ダノンファンタジー
×レシステンシア

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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