【ヴィクトリアマイル】「差し有利の高速馬場」だが雨予報 馬場適性からの本命候補は?

三木俊幸

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NHKマイルCは1:31.6で決着

2年ぶりに春の東京開催のGⅠレースに競馬ファンが帰ってくる──。昨年は無観客開催で静寂の中、アーモンドアイが圧巻の走りを見せたヴィクトリアマイル(GⅠ・芝1600m)。今年の最注目馬は、昨年の最優秀短距離馬グランアレグリア。絶対的な強さを誇るマイル戦に戻ってどのようなレースを見せるのか、また太刀打ちできる馬はいるのだろうか。東京・芝コースの馬場傾向と出走馬の馬場適性から分析する。

先週末の東京芝コースは良馬場、クッション値は土曜日、日曜日とも9.2。ゴール前の含水率は土曜日が13.6%、日曜日は12.5%となっていた。中間の雨量は水曜日に1.0mm、金曜日に0.5mmと少なく、月曜日から木曜日に散水が行われた。

5/8・9の東京芝コース タイムと上がりⒸSPAIA


ヴィクトリアマイルと同じ芝1600m戦の勝ちタイムを見ると、土曜日の3歳未勝利戦が1:34.1と平凡だったものの、日曜日に行われた3勝クラスの湘南Sは1:32.0、NHKマイルCは1:31.6といずれも高速決着だった。

土曜3歳未勝利戦では道中12秒台のラップが4回記録されるなど、前後半4ハロンのラップ差が+2.1とスローペースで上がりタイムは33秒台となったが、湘南SとNHKマイルCはともに−1.0とハイペースになったこともあり、勝ち馬が使った上がりは34秒台かかっていた。

5/8・9の東京芝コース 通過順位ⒸSPAIA


また3着内馬の通過順位を調べたところ、11レース中4角2番手の馬が4勝をあげていたが、いずれもペースが落ち着いたレースでのもの。序盤からペースが流れた場合は差し馬が勝ち切るレースが多く、全体的には差し馬有利の傾向が見られた。

今週は木曜日とヴィクトリアマイル当日の日曜日に雨予報が出ている。雨の影響を受ける馬場になれば、より差し馬有利の傾向が強まることも予想される。直前まで天気予報と馬場情報を注視する必要がありそうだ。

前走より流れが向きそうなマジックキャッスル

今年のメンバーを見渡すと、1400mの京都牝馬Sを逃げ切ったイベリスをはじめ、逃げ・先行馬が揃った。スローペースになる可能性は低いと考える。そうしたことから差し馬を中心にピックアップした。

馬場適性チャートⒸSPAIA


【☆グランアレグリア】
前走の大阪杯では4着に敗れたが、初の2000mに加えてタフな道悪という条件も重なった。再び道悪になる可能性があるが、今回は最も得意とするマイル戦で牝馬同士の戦い。前走のように極端に上がりがかかる馬場にならない限り、問題にしないだろう。

【レシステンシア】
逃げる競馬で強さを見せてきていたものの、前走の高松宮記念では中団から差す形で2着となった。阪神JFと阪急杯で2度レコード勝ちしているように高速馬場に強いが、今の東京コースは例年と違い、先行馬には厳しい馬場。前走の経験はプラスになるとは思うが、瞬発力勝負に強いタイプでもないので、今回好走するなら極悪馬場になった場合ではないだろうか。

【☆マジックキャッスル】
阪神牝馬Sでは4角後方2番手から、上がり32.4で追い込み2着となっている。しかし、稍重の秋華賞やパワーが求められた中京の愛知杯でハイペースから差してきたレースを考えると、今回のほうが流れは向きそう。この馬も多少の道悪は苦にしないだろう。

【デゼル】
昨年のスイートピーS、2走前の初音Sと東京コースでは高いパフォーマンスを見せている点からもコース適性は抜群。高速決着で差し馬有利の馬場もあっているが、瞬発力の高さが武器の馬なので、良馬場のスローペースが理想的だ。

【サウンドキアラ】
昨年のヴィクトリアマイルではアーモンドアイに0.7秒差つけられたが、2着と好走。その後は成績が振るわないが、長くいい脚を使うタイプなので今年もレース展開は味方しそうだ。重馬場での勝利経験もあり、先行馬を行かせて5、6番手からレースを進めれば再度出番があってもいい。

【プールヴィル】
これまで3着内に好走したレースは全て1400m以下、マイルはやや長い印象も受ける。しかし前走の阪神牝馬Sでは、メンバー中3位の上がりで勝ち馬と0.1秒差の4着と健闘。スローペースとなったことがスタミナ面の不安を補った感もあるが、2走前のオーロCでもメンバー上がり1位の末脚を使っていることからも、充実期を迎えていると言える。前走よりタフなレースとなる点は不安だが、押さえておきたい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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