【天皇賞(春)】京大競馬研はディアスティマを本命 GⅠ初挑戦でも能力通用の根拠とは?

京都大学競馬研究会

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異例尽くしの天皇賞(春)

5月2日(日)に阪神競馬場で行われる天皇賞(春)(GⅠ・芝3200m)。今年の天皇賞(春)は何かと異例尽くしだ。まず、京都競馬場が改修工事中のため阪神競馬場で行われるが、コース改修以降、阪神芝3200mで行われたレースは今年の松籟Sただ一つ。例年のとはコース形態が全く違う上にコースデータも皆無に等しいため、過去の傾向やデータは活用のしようがない。

また、牝馬が3頭も出走するのもレアケースで、直近は2015年だが、その前は1993年(4頭出走)まで遡る。牝馬は30年以上馬券に絡んでいないどころか掲示板にすら載っていない当レースだが、昨年は牝馬が中距離GⅠを総なめしたことを考えると、このデータも当てにならない。このように今年は例年と大きく状況が異なるため、過去の傾向にはこだわらず、予想根拠の部分に重点を置いて述べていきたい。


近2走が非常に強いディアスティマ

まず、本命にディアスティマを推す。3勝クラスを勝利したばかりで「本当に通用するのか」と懐疑的に思われる方も多いだろうが、近2走の内容を見ると十分通用する下地はある。

前走の松籟Sでは、ハナを取り切るために2ハロン目から11.1-11.1-11.9と速いラップを刻み、前半1000mは59.4というハイペース。その後一旦ペースを落としたものの、残り1200mから11.9-11.9-11.9-12.0-11.5-12.6とロングスパートを敢行。逃げた本馬は、スタートしてすぐに脚を使った上に2週目向こう正面からロングスパートするという、かなり負荷のかかるレースをしている。にもかかわらず、2周目の3、4コーナーでは1頭だけ手応えが違い、そのまま後続を完封。能力がある証拠だ。コース経験を積めたのもプラスで、今年の特殊コースではアドバンテージになる。


グットラックHと有馬記念の比較ⒸSPAIA


また、2走前のグッドラックHの内容も非常に優秀である。このレースでも外枠からハナを奪い逃げ切ったのだが、前半1000mを1:02.7で入り勝ち時計は2:35.7だった。これは同日に行われた有馬記念の前半1000m1:02.2、勝ち時計2:35.0と比較しても遜色ない。

今回、天皇賞(春)に出走するワールドプレミアやカレンブーケドールの有馬記念での走破時計は2:35.6であり、道中の映像から両馬の前半1000m通過が先頭から約0.5秒遅れであることを考えると、ディアスティマはこの2頭とほぼ同じレースを、「最後は流しながら」していたことになる。

58kgの今回と比べ斤量差があったが、これは馬齢からくるものであり、クラシックに間に合わなかった本馬の成長を考えればその差は詰まっているはず。本来、このような時計の単純比較はあまり当てにならないが、今回に関してはペースがほぼ同じであることに加え、グッドラックHと有馬記念の間に芝レースは施行されておらず、天候も風も変化が見られないことから十分比較に足るだろう。展開や後続からのプレッシャーなど、数字に表れない要素があるにしても、能力を示すには十分なデータだ。

このように、ディアスティマの能力は一級品だ。課題は同型のジャコマルとの兼ね合いだが、ジャコマルはスロー逃げをするタイプ。玉砕覚悟で来ない限りディアスティマの方が速く、残り1200mからロングスパートできそうな後続勢も見当たらない。自分の競馬ができれば勝ち切れると見て本命とする。


実績馬も虎視眈々

対抗はワールドプレミアとする。前走の日経賞は3着に敗れたものの、コーナーでは大外を回らされた分の差であり、悲観する内容ではないどころか日経賞組で最も評価すべき馬ともいえる。昨秋のJC以降比較的良い内容のレースが続いており、能力の低下は見られない。古馬の超一線級がいないここでは地力上位だ。ただ、追い込み寄りの脚質のため、2周目が内回りでは前の馬を捕まえきれなさそうなので対抗評価とする。

3番手はカレンブーケドール。ひたすら相手なりに走る馬で、前走の日経賞で通算6度目の重賞2着となった。当然能力が高いからこその成績であるものの、勝ち切れないのが弱点だ。3200mの距離については完全に未知数であるが、スタミナも要求されたオークスでクビ差の2着だったことを考えると、上位に取った2頭ほどではないがある程度こなせるだろう。牝馬が強い時代で、常に上位で戦ってきたこの馬も当然高い評価が必要だ。

4番手にディープボンド。前走の阪神大賞典は、重馬場を味方につけたとはいえ、後続を大きく引き離す完勝劇。重馬場の時は着差が大きくなる傾向にあるため過信は禁物だが、それでも能力を見せたということに変わりはない。また、昨年の秋以降、神戸新聞杯と菊花賞は4コーナーで大外回し&早め先頭、中山金杯は直線前が壁で全く追えずと、負けているレースも内容は強いものだったり、明確な敗因があったりする。古馬勢との力関係はまだはっきりしない部分も多いが、ここでも相手に入れておく必要はある。

以下、前走の大敗が引っかかるが、それだけで見限ることはできないアリストテレスと、日経賞はハマった感が強く外枠も辛いが、立ち回りが上手く2周目内回りがプラスなウインマリリンまで印を回す。

買い目は、ディアスティマの単勝と◎-○▲の馬連を厚めに、◎-△××の馬連は抑えで勝負したい。(文:川崎)

▽天皇賞(春)予想印▽
◎ディアスティマ
○ワールドプレミア
▲カレンブーケドール
△ディープボンド
×アリストテレス
×ウインマリリン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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