【天皇賞(春)】前走大敗のアリストテレスは精神面が鍵 前哨戦分析から浮上するのは?

坂上明大

2021年天皇賞(春)の参考レースⒸSPAIA

ⒸSPAIA

初距離でも力強い走り

日本競馬の最長距離平地G1・天皇賞(春)。今年は京都競馬場改修工事の影響で阪神芝3200mに舞台を移し、さらにスタミナの要求値が上がるだろう。4歳馬に人気が集まっており、世代間のレベル比較も重要なファクターとなりそうだ。

【ダイヤモンドS】
スタート~1000mが63.8、1000~2000mが63.7のスローペース。1000~2000mが61.4で流れた昨年とは一変して、近年らしい折り合い重視の超長距離戦となった。

2着馬オーソリティは折り合いスムーズとまでは言えないが、本馬としては我慢が利いた追走。残り400m過ぎで独走態勢に入ったが、ゴール直前でグロンディオーズに捉えられ2着に。とはいえ、3着馬には5馬身差をつけており、初の超長距離戦としては上々の内容であった。筋肉量が多くステイヤーではないため、今回もスローペースがベターだ。

4着馬ナムラドノヴァンは後方のインで脚を溜め、3角から気合をつけて追い上げ開始。メンバー中上がり3F3位の末脚で追い込み4着まで盛り返したが、上位馬には先行力でも末脚でも差を見せつけられる結果となった。

スタミナ比べで強さを証明

【阪神大賞典】
朝から計28.5mmの降雨で終日重馬場での開催。外有利の馬場状態が続いていたが、本レースは芝3000m戦、かつ62.7-63.2-61.7と道中も大きく緩まなかったことから純粋なスタミナが問われる一戦となった。

1着馬ディープボンドは素晴らしい操縦性とスタミナを見せ、久々の重賞タイトルを獲得。クラシックではワンパンチに欠いたが、コントレイルとともに強くなり、ようやく強さを証明できたか。今回も地力上位の一頭だ。

2着馬ユーキャンスマイルはいつも通りの後方待機策。3角から進出開始するもディープボンドには5馬身差をつけられた。直線で大きく内にモタれなかった点は収穫だが、少々力差を感じる内容となった。

3着馬ナムラドノヴァンはダイヤモンドSと同様に安定したパフォーマンス。一線級相手では分が悪いが、G2~3級の超長距離戦では安定勢力の一頭だ。

7着馬アリストテレスはパドックから発汗が目立ち、競馬でも折り合いを欠く形。能力は確かだけに、今回も精神面がポイントとなりそうだ。

内前有利のバイアスに注意

2021年日経賞の展開/馬場バイアスインフォグラフィックⒸSPAIA


【日経賞】
前週の雨開催から馬場は回復し、一転して内有利のトラックバイアス。さらに、レースでは前後半1000m62.9-58.7のスローペース、かつ3角でカレンブーケドールとウインキートスの接触のあおりを受けた馬が多く、前でスムーズに運べた馬に有利な展開であった。「内前有利」。

1着馬ウインマリリンは好位のインで折り合って、直線もラチ沿いから突き抜ける。改めてレースセンスの良さを見せつけた勝利であったが、展開の恩恵を受けた感は否めない。

2着馬カレンブーケドールは本馬自身が他馬に迷惑をかけた訳だが、自身も外に膨らんでおり少なからずスタミナロスはあったか。ウインマリリン同様にレースセンスの高い中長距離牝馬だ。

3着馬ワールドプレミアは向正面でポジションを上げたことで不利を受けず。とはいえ、外々を回ったロスは大きく、斤量差が縮まり、さらに距離が延びる今回は逆転濃厚か。

菊花賞上位馬に注目

2019年菊花賞馬が天皇賞(春)初挑戦。やや低調な今年の顔ぶれであれば順当に勝ち負けになるステイヤーだ。気性面に課題はあるが、アリストテレスの巻き返しにも期待。2020年菊花賞でコントレイルに迫った底力は古豪相手でも引けを取らない。

注目馬:ワールドプレミア、アリストテレス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

《関連記事》
【天皇賞(春)】68年ぶりの牝馬優勝なるか? アリストテレス、ディープボンドは買えるのか?
【天皇賞(春)】名手が技術を見せるか、牝馬の歴史的快挙か 27年ぶり仁川の春盾注目ポイント
【青葉賞】カギは2200m以上の距離経験! ワンダフルタウンより狙うべき馬と覚えておきたいデータ

おすすめ記事