【青葉賞】カギは2200m以上の距離経験! ワンダフルタウンより狙うべき馬と覚えておきたいデータ

勝木淳

青葉賞インフォグラフィック1ⒸSPAIA

1番人気【3-2-4-1】だが……

本番と同じ条件で行われるトライアル・青葉賞出走馬は日本ダービーを勝てない。もはや定説となりつつある。青葉賞のジンクスはいつになったら解消されるのか。

直近10年の日本ダービーでの前走青葉賞組は【0-2-3-19】。馬券にならないことはない。加えて馬券圏内に来たのは、10、5、8、12、1番人気と穴が目立つ。主役で馬券になったのは青葉賞を好時計で快勝した17年アドミラブルのみ。エフフォーリア断然で迎えるだろう日本ダービーの伏兵を探す意味でも青葉賞は重要だ。ここでは過去10年のデータをもとに傾向を探ってみる。

過去10年青葉賞人気別成績ⒸSPAIA


1番人気は【3-2-4-1】と堅実。やや勝ちきれないものの、最低でも出走権をという命題はクリアしてくる。1番人気で馬券圏外だったのは13年レッドレイヴン。同馬は東京スポーツ杯2歳S2着以来、久々の出走だった。2歳秋以来のワンダフルタウンが1番人気になった場合は、この点を気に留めたい。また、2番人気【0-0-1-9】、3番人気【1-0-1-8】とほかの上位人気馬が振るわない。その分、4~7番人気が活発で、各券種の1番人気になるような組み合わせより、1番人気から伏兵というパターンがよさそう。


過去10年青葉賞所属別成績ⒸSPAIA


この10年、日本ダービーでは関西馬8勝、関東馬2勝と押され気味の関東勢だが、今年の皐月賞は関東馬のワンツー。例年とはちょっと違う図式になりそうだ。「青葉賞は日本ダービーにつながらない」という現象を示すかのように、本番とは異なり、東西拮抗。関東馬は【5-4-5-62】勝率6.6%、複勝率18.4%、関西馬は【5-6-5-74】勝率5.6%、複勝率17.8%。勝ち馬数も確率も同等。青葉賞で関東馬を軽視するのはキケンだ。


過去10年青葉賞キャリア別成績ⒸSPAIA


皐月賞がフルゲート割れだったように、日本ダービー(1着賞金2億円)と皐月賞(1着賞金1億1000万円)の賞金差が開いた影響なのか、近年はなにがなんでも3冠ロードという風潮が使う側に薄れているようだ。競走馬としてのキャリアを考え、無理をしないという考え方もある。

キャリア別成績をみると、4戦【4-0-3-24】、5戦【2-6-1-31】あたりが目立つが、この10年間では2戦【0-0-3-5】、3戦【1-2-2-25】とそこまで強調できないキャリアの浅い組が、今後よくなる可能性はあるだろう。ノースブリッジ、アオイショー、アランデルら、早々に皐月賞出走に見切りをつけた組も注意したい。


ポイントは距離経験

さらに好走パターンをあぶり出すために、前走クラス別成績などローテ面から好走しやすい戦歴をみていく。


過去10年青葉賞前走クラス別成績ⒸSPAIA


青葉賞好走パターンは限られている。前走1勝クラス【6-7-7-68】、前走GⅡ【4-2-0-19】の2パターン。ここをさらに掘り下げよう。


過去10年青葉賞前走GⅡ組前走レース別成績ⒸSPAIA


皐月賞トライアルの弥生賞ディープインパクト記念(以下、弥生賞)【3-1-0-8】、スプリングS【1-1-0-10】経由がいい。皐月賞出走に早めに見切りをつけるという意味では、トライアルまで進んだ馬の好走はこれから減少するという予測も立つが、ひとまず、弥生賞7着のワンデイモア、スプリングS13着レインフロムヘヴンがいるので、注意したい。


過去10年青葉賞前走1勝クラス組前走着順別成績ⒸSPAIA


次いで前走1勝クラス組。2勝目をあげなければトライアル出走は確約されないわけで、当然着順別成績では1着【5-6-6-32】が断然。しかしながら前走1勝クラスを負けた馬も2着【0-1-0-11】、3着【1-0-0-8】、4着【0-0-1-5】などポツポツと来る。前走で1勝クラスを勝てなかったからと、見限るのは早計で、アザレア賞2着モンテディオや大寒桜賞2着グレアリングアイなども侮れない。


過去10年青葉賞前走1勝クラス組前走距離別成績ⒸSPAIA


では距離別成績をみると、やはりダービートライアルらしく前走1勝クラス2000m以下は【0-0-1-25】(ちなみに3着1頭は前走が1600mだった19年3番人気3着ピースワンパラディ)と厳しい。好走パターンは2200m【3-5-3-24】、2400m【3-2-3-17】。前者に該当するのはアオイショー(山吹賞)、レッドヴェロシティ(水仙賞)、グレアリングアイ(大寒桜賞)。2400mではリーブルミノルやモンテディオのアザレア賞組だ。重賞ウイナーのワンダフルタウンより長めの距離を経験、結果を出してきた組を評価すべきだろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。


青葉賞インフォグラフィック2ⒸSPAIA



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