【福島牝馬S】新潟開催の今年はとにかく最後の直線勝負 最速の上がり3Fを持つ馬は?

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過去に7度しかないOPの新潟芝外1800m
福島牝馬Sが新潟で開催される。新潟競馬場が左回りの広大な競馬場となったのが2001年。改修された以降に新潟芝外1800mで施行されたオープンクラスの競走は通算で7レースしかない。20年前のカブトヤマ記念とか出てきちゃったりして、とにかくデータ予想泣かせだ。しかも、今回の福島牝馬Sと完全に同条件となるBコースのOP開催となると10年前の福島牝馬Sが新潟で代替された1回のみ。

これで過去傾向を調べて……というのは余りにもばからしいので、まずは新潟芝1800mとは何かを突き詰めることから始めよう。
新潟芝外1800mでのOPクラス戦を一覧すると、とにかく上がり3Fが速い。それも当然で新潟芝外回りの直線は日本最長となる658.7m。上がり3F(600m)は直線に入ってからまっすぐ走った時計である。他のコースでは上がり3Fは4コーナーを含むのだが、新潟外回りはそれを含まない。
そして、2コーナー出口付近からのスタートとなる「半周コース」で2コーナーを使わない。スタートから3コーナーまでは約740m(Aコースで748m)。1000m直線競馬の一歩手前といってもいい。3コーナーまで距離が長いため、それほどシビアな位置取り争いも生じにくい。
さらに、コーナーはスパイラルカーブ。新潟外回りのレース映像をいくつか見てもらうとわかるが、コーナーが回りやすい設計のためゴチャつくシーンが少ない。そもそも、コーナーを回ってからの直線が長大なので仕掛けるタイミングではないというのもある。とにかくコーナーでもつれるようなシーンが少ないのである。
長々と説明したが、要するに新潟芝1800mは
1.まず約740mをスタートからまっすぐ走る
2.コーナーは回りやすくクルっと
3.最後の直線が長く、直線に入ってからのタテ脚勝負
こんな感じだ。手順1,2は無難にこなしやすく、あとは3の直線でどれだけ速く走れるかの勝負といっていい。上がり3F性能が何よりも重視される。過去OPの全結果を見ても、上がり3Fは32秒~33秒台。600mを最速で走る馬を探せ!ということになる。
登録馬上がり3Fランキング

そこで今回の福島牝馬Sに登録している馬が記録したことのある上がり3Fをランキングにした。条件は「過去1年半以内」「1600-2000m芝での成績」とした。古すぎるデータでは今の能力を反映していないし、短距離では上がりが出やすいためだ。
この条件で1位タイだったのが2頭。まずはシゲルピンクダイヤだ。33.2を出したのは昨年5月に6着となったG1ヴィクトリアマイル。勝ったのがアーモンドアイなので別格として、2着サウンドキアラとは0.3秒差まで詰めていた。ただ、シゲルピンクダイヤは同レース内でタイの上がりを出した馬が他に2頭おり、もう少し前にいたノームコアが3着、後ろにいたアルーシャが15着。他との比較で突出した上がりではないので、当時のノームコア(6番手)くらいの位置取りが必要だ。
近況は前々走の中日新聞杯で久々の馬券対象に入り、このときは4角3番手。前走愛知杯は5番手から9着という成績だが愛知杯は前掛かりの展開が2000mで発生したもので、今回の福島牝馬Sでの条件からは離れていそうだ。デキに問題がなければ軽視はできないだろう。
33.2で上がったもう1頭はアバルラータ。3走前のリゲルS7着時のものだ。スロー気味で流れた前が残った内容で、後方勢は全力で追っても届かない展開だった。これが新潟芝外1800mなら先行勢のごまかしも利くまい。あまり後方すぎると前で同じ上がりを出せた馬に屈するため、ほぼ後方からのアバルラータは多少注文がつくが、流しの相手には含めたい1頭だ。
3位も33.3で2頭いる。1頭はパラスアテナだ。昨年5月のカーネーションカップ1着時に記録している。ただ、その後は上がり35-36秒台で推移しており、同じ脚が今も出せるかどうか。ルーラーシップ産駒というのも気がかりでさほどワクワク感はないが、△くらいは打っておきたい。
もう1頭はクラヴァシュドール。前々走のニューイヤーS5着時に記録している。どうも馬場が悪いと走らない傾向で近況大敗が多いが、馬場が悪いか、オークスなどレースレベルが高かったかで説明がつく敗戦続きだ。2歳時に新馬戦、サウジアラビアロイヤルCと連続で最速上がりの33.1を叩き出した性能が今も使えるのであれば怖い一頭である。
ここまでが直近1年半、芝1600-2000で上がり33.5未満を記録した登録馬となる。33秒台後半台だった馬を列記しておくと、
33.6 サンクテュエール
33.7 ドナアトラエンテ
33.8 ムジカ・フィリアプーラ
となっている。また、過去1年半に限らない通算では、アフランシールが2019年4月のスイートピーSで記録した32.6がある。それ以降最速上がりを出したレースはないが、出走傾向がここ1年1400-1600mと短距離に寄っており、1800mは新馬勝ちした距離。かつてのキレが戻ってくるかもしれない。
馬券はシゲルピンクダイヤを軸、アバルラータ、クラヴァシュドールを相手に、ここで取り上げた馬たちへの3連複で流しておく作戦でいきたい。傾向が読みづらい今年の福島牝馬S、思い切って上がり傾向で決め打ちしてみたいと思う。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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