【皐月賞】主役不在で実力拮抗、穴メーカーは前目から押し切れる馬
山﨑エリカ
ⒸSPAIA
牡馬クラシック路線で高指数決着だったレースは?
牡馬クラシック戦線でもっとも高指数決着だったレースは、シャフリヤールとグレートマジシャンがマッチレースを演じた、毎日杯の「指数-18」だ。次いで朝日杯フューチュリティSと弥生賞ディープインパクト記念で、ともに「指数-17」。その次に京成杯、きさらぎ賞、若葉Sでともに「指数-16」。その後に「指数-15」のサウジアラビアRC、ホープフルS、共同通信杯が並ぶ。
つまり、今年の皐月賞は主役不在。先週の桜花賞と比べても実力が拮抗しており、成長次第で勢力図が入れ替わりそうなメンバー構成ではある、ただし、ひとつ言えるのは、今回上位人気が濃厚のエフフォーリアが優勝した共同通信杯は、トップオブザトップではないということ。
確かに共同通信杯の2着馬ヴィクティファルスは、次走のスプリングSを、3着馬シャフリヤールは、次走の毎日杯を優勝とその後に活躍を見せている。5着馬もサウジアラビアRC優勝&朝日杯フューチュリティS2着のステラヴェローチェだ。しかし、共同通信杯はそれらが揃って本来の能力を出し切れていないことは把握しておきたい。
ヴィクティファルスは共同通信杯が超絶スローペースで前が有利な流れとなった中で、出負けして中団後方の外目から位置を押し上げるロスが生じた。また、シャフリヤールは先を見据えて大外から動けるタイミングで折り合いに専念したこと。1番人気に支持されたステラヴェローチェに至っては、中途半端に出して行ったために、3〜4角でも中団馬群の中目で進路もスペースもないという苦しい形で直線を迎えている。
エフフォーリアは3戦3勝と底を見せていない。共同通信杯でも内のタイソウを行かせてその外の3番手から、直線でしっかり加速して優勝と、立派な内容ではあった。また、同馬はトモが高く、バンビのような走りをしている辺りから、伸び代も見込める。重い印を打つべき馬ではあるが、現状で全幅の信頼を置くのは禁物だ。
能力値1位は、ダノンザキッド、タイトルホルダー、ヨーホーレイクの3頭
【能力値1位 ダノンザキッド】
新馬戦、東京スポーツ杯2歳S、ホープフルSと3連勝。ハイレベル戦となった弥生賞ディープインパクト記念では3着に敗れたが、優勝したタイトルホルダーが強かった一方、折り合いに専念した面もあった。同馬は2歳時から活躍しているように、完成度が高い部類。ゲートに難はなく、コントロールの利く二の脚で、安定して走れる点が魅力。前走で勝つことにこだわらず、折り合いに専念させた辺りから、日本ダービーも視野に入れており、ここは前走以上に控えてくる可能性が高い。前走のような超スローペースにならなければ、上位争いに加わってくるだろう。
【能力値1位 タイトルホルダー】
東京スポーツ杯2歳S、ホープフルSではダノンザキッドに敗れたが、前走の弥生賞ディープインパクト記念では大勢逆転。好発を決めて楽にハナを主張し、楽々と逃げ切った。前哨戦らしく、他馬が競って来ず、マイペースで逃げられたのも好走要因だが、この馬自身も成長したようだ。ダノンザキッドがどっしり構えていたら、タイトルホルダーが思ったよりも強くなっていて、差を詰め切れなかったというのが真相だろう。今回も逃げ、先行馬が手薄でひとつ内のワールドリバイバルを見ながら、楽に2列目を取っていける強みはある。しかし、休養明けの好走後の一戦となるだけに、余力の面での不安はある。
【能力値1位 ヨーホーレイク】
新馬戦、紫菊賞を2連勝した後のホープフルSでは3着に敗れたが、前走のきさらぎ賞は、巻き返してクビ差2着。しかし、前走時は馬場の内側が荒れた状態で、内枠から逃げたタガノカイが外からショウナンアレスに蓋をされ、外に出せずにいたため、同馬が向上面でショウナンアレスを振り切りに行ったことで、一気にペースアップ。これにより前が苦しくなり、出負けして後方外々に進路を取った同馬は展開に恵まれた。3着馬ランドオブリバティに3馬身半差付けた点は褒められるが、これはランドオブリバティがホープフルSで逸走した恐怖から、後方まで位置を下げて、ヨーホーレイクの内に入れ、馬場の悪い内々でレースを運んだもの。鞍上の好騎乗によるものなので、前走から大幅な前進は見込みづらい。
能力値4位はラーゴム、5位はステラヴェローチェ
【能力値4位 ラーゴム】
デビューから4戦とも接戦で連対。地味ではあるが、弱点が少なく、幅広い競馬に対応できる馬だ。デビュー2戦目のアイビーSでは、ホープフルSの3着馬オーソクレースにクビ差で敗れたが、休養明けの前走、きさらぎ賞では成長を見せ、前が厳しい流れとなった中で3番手からしぶとく粘ってクビ差で優勝した。今回は逃げ、先行馬が手薄。前が楽な展開になれば、好位で立ち回れることは強みとなる。ただし、トップクラスが相手となると、特化した持久力があるとも言いがたいので、善戦止まりで終わってしまう可能性が高い。
【能力値5位 ステラヴェローチェ】
デビュー2戦目のサウジアラビアRCを完勝し、次走の朝日杯フューチュリティSでも、この路線の主役の立ち位置であるグレナディアガーズと0.1秒差の2着。前走の共同通信杯は前記したように、進路を作れずに5着に敗れたが、2歳時にレベルの高いレースを経由しているのは強み。ただし、サウジアラビアRCも朝日杯フューチュリティSも逃げ馬がオーバーペースで逃げたことで、差し馬である同馬は展開に恵まれた感は否めない。また、距離延長となった前走が不発に終わってしまっただけに、中距離適性の裏付けない状態になってしまった。しかし、そのぶん人気が落ちた馬だけに、買っておきたい馬である。
今回の穴馬は最低人気? ワールドリバイバル
2歳時はひと息の成績だったが、前々走のあすなろ賞では番狂わせの逃げ切りV。10番人気だったこともあり、他馬にプレッシャーをかけられることなく、マイペースで逃げ切ることができた。ところが前走のスプリングSでは、馬場がタフなうえに向正面でアールバロンに競りかけられて一気にペースアップ。前が苦しい展開、さらに同馬は馬場の悪い内を通ったわりに、勝ち馬ヴィクティファルスと0.7秒差、6着に粘った。
逃げ切りはよほどのスローペースでない限り、消耗度が高く、一度、逃げ切るとその次走ではマークされるはめに、二連続好走が難しいもの。しかし、凡退して疲れが抜けて、マークが緩んだタイミングで巻き返して来ることが多い。今回は同型馬不在で先行馬も手薄。相手強化ながら条件に恵まれているだけに、3着くらいに食い込めても不思議ない。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ダノンザキッドの前走指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
【皐月賞】今年こそは共同通信杯組! ダノンザキッドよりエフフォーリアを買いたいワケとは
【皐月賞】ダノンザキッドの巻き返しに暗雲 弥生賞1番人気馬の皐月賞成績は?
【皐月賞】今週も無敗馬、新たなスター誕生か エフフォーリアと横山武史騎手にかかる期待とは?
おすすめ記事