【皐月賞】前走東京組は経験値、前走中山組は「4角通過順」がカギ 東大HCの本命は2歳王者ダノンザキッド
東大ホースメンクラブ
あらゆる点で経験が重要
4月18日(日)に中山競馬場で行われる皐月賞(GⅠ・芝2000m)。「最も速い馬が勝つ」と評される牡馬クラシック開幕戦に精鋭16頭が集結した。同コースで施行される2歳GⅠ・ホープフルSを勝ったダノンザキッドと、好メンバーが揃った共同通信杯を無敗のまま制覇したエフフォーリアが人気の中心だ。
だが他にも多数の有力馬が控えている。弥生賞を逃げ切ってダノンザキッドに初めて土をつけたタイトルホルダーや、ヴィクティファルスなどトライアル組も侮れない。さらに昨年の2歳マイル戦線で活躍したステラヴェローチェやレッドベルオーブも参戦。
今年の皐月賞は世代の横綱格と位置づけられていたダノンザキッドのまさかの敗戦と、各路線から挑む有力馬の存在で難解な一戦となった。混戦を制してクラシック第一冠を手にするのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて検討しよう。
過去9年の皐月賞における前走場所別成績を表にした。まず目を引くのが東京組の安定感。出世レースである共同通信杯を制した馬が勢いそのままに好走するのがパターン化している。
ただ、共同通信杯組から皐月賞で好走するパターンは比較的キャリアが豊富な馬で、皐月賞が6戦目だった3頭から2勝、5戦目だった馬から2勝が出ている。信頼度としては6戦目>5戦目>4戦目となっており、エフフォーリアはいわば「信頼できない共同通信杯組」にあたることは注意しておきたい。
次に中山組をみてみる。前走中山組は、前走で4角2~4番手につけた馬が皐月賞において【4-2-3-32】。この臨戦過程の1着馬は全てここから出ており、今年のメンバーだとダノンザキッド、アサマノイタズラ、グラティアスの3頭まで一気に絞られる。皐月賞の近9年の勝ち馬のうち8頭が4角4~7番手につけていたことを考えると、トライアル時点から前目で運べた馬が好走するのも頷ける。
また中山組に関してはキャリアが浅いほうが好走傾向にあり、デビュー5戦目以内での挑戦となると【3-4-4-27】で複勝率も28.9%、6戦目以降だと【1-1-2-44】で同8.3%。キャリアの少ない馬に関しては、前走で中山コースを経験していることが強みになる。
最後に若葉SやすみれSが含まれる阪神組。まず前走2番人気以下だと【1-0-0-33】と壊滅的な成績で、結果的に勝利していても本番には繋がっていない。反対に前走1番人気であった馬は【0-4-1-8】。勝ち切れてはいないものの複勝率は4割近い。さらに2走前に重賞を使われていれば【0-3-1-4】で複勝率は50%まで上がり、継続してレベルの高いレースを経験したことが活きてくる。
内枠で狙えるのは3番人気まで
次に枠番別成績をみてみる。複勝率自体は4枠がやや抜けている程度で、内有利・外有利といった偏りは小さく思える。しかし複勝回収率に注目すると1~3枠の値が軒並み30%を割っており、馬券的な妙味に欠ける。これは1~3枠から4番人気以下の馬が1頭も馬券に絡んでいないことが原因で(該当馬は【0-0-0-40】)、GⅠ上位人気となるほどの実力馬でない限り内枠から好走するのは難しい。1~3枠に収まり、4番人気以下となりそうなヴィクティファルスやステラヴェローチェにとっては嫌なデータだ。
また、最も安定している4枠も5番人気以下では【1-0-0-12】と不振。18年の勝ち馬エポカドーロが該当しているものの、人気薄では好走が難しい。ただ今年の4枠はどちらも上位人気が想定される馬。【2-3-1-3】と群を抜いて優秀な4枠7番は、何の因果か今年も1~2番人気と目されるエフフォーリアが引いた。
一度使って態勢万全
本命には4枠8番ダノンザキッドを据えた。先週の桜花賞のワンツーであるソダシ・サトノレイナスがそうであったように、2歳GⅠで好走した馬はクラシックに直行するのが近年のトレンド。それでもトライアルを使ったのは、一度叩いた方が仕上がるという陣営の意図の表れだろう。
実際、弥生賞ではかかり気味、万全な状態で臨んでいたとも言い難かった。加えて前残りの展開も向かず、結果こそ敗戦であったものの、これだけで見限ることはできない。中山2000mを二度経験しているという点もアドバンテージになるはず。好位で運ぶ形もコースに合っているし、前走負けたことで人気が少しでも下がることを祈るばかりだ。
対抗は穴目で5枠10番シュヴァリエローズ。勝った2走はいずれも好位から抜け出す形で、長くいい脚が使えるのが持ち味。特に萩Sでは差を詰められても抜かせない根性が光った。ホープフルSでも5着と健闘しており、弥生賞を勝ったタイトルホルダーとはクビ差で当世代の一戦級に並ぶ能力はある。前走阪神組の好データにも当てはまっており、二桁人気が妥当な馬では決してない。近2走は控える形になっており不完全燃焼だが、しぶとさを活かす競馬ができれば一発もある。
3番手に3枠5番ヴィクティファルス。共同通信杯では勝ち馬の直後の位置をとれたことに恵まれた感は否めなかった。しかし前走のスプリングSでは渋った馬場をただ一頭後方から飛んできており、その能力はもはや疑いようがない。初の中山コースも苦にすることなく、うまく折り合えていたことから舞台も不安なし。近走は接触や外枠といった要因で後ろからレースを進めてきたが、特に運び方に注文もなさそう。内枠を引いてしまった点がマイナスではあるものの、大一番に強い鞍上の手綱捌きに期待したい。
4番手に4枠7番エフフォーリア。無敗のまま出世レースである共同通信杯を制したが、キャリアが浅く「信頼できない東京組」にあたることは先述の通り。いままで緩い流れしか経験していないことや急坂のある中山が初という点も不安が残る。ただ、経験が浅いというだけで能力は一級品であり、絶好枠を引いたこともあって4番手には印を回した。
以下、相手は渋った馬場への適性を評価して2枠3番ステラヴェローチェと7枠14番アサマノイタズラまで押さえる。
▽皐月賞予想▽
◎ダノンザキッド
○シュヴァリエローズ
▲ヴィクティファルス
△エフフォーリア
×ステラヴェローチェ
×アサマノイタズラ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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