【皐月賞】中山芝コースは外有利の馬場 前走初黒星ダノンザキッドの巻き返しは可能?

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春雷Sは好タイムも標準的な馬場
2021年の牡馬クラシック第1戦、皐月賞(GⅠ・芝2000m)。無敗で2歳王者となったダノンザキッドが今年初戦となった弥生賞ディープインパクト記念で3着に敗戦したことで、共同通信杯を制したエフフォーリアに注目が集まる構図となった。このレースを制するのはどの馬なのか、馬場適性の観点から分析していく。

まずは先週の中山芝コースの馬場傾向を振り返る。月曜日に12.5mmの雨、そして火曜日、水曜日、金曜日に散水が行われ、土曜日朝の時点でのクッション値は9.7、ゴール前の含水率は11.8%と、良馬場としては水分量の多い状態でのレースとなった。
そうしたこともあってか、2000mの野島崎特別(2勝クラス)で2:00.9、上がりは35秒後半〜36秒前半、1600mで行われた3歳重賞のニュージーランドTは1:33.1、上がりは34秒後半〜35秒後半で決着。標準的な勝ちタイムで、上がりはかかり気味だったと言える。
翌日の日曜日はクッション値10.1まで上昇したものの、ゴール前の含水率は12.3%と前日よりもさらに水分量が多い状態となった。しかし、気温が上昇するとともに水分量が減ったせいか、1200mの春雷S(リステッド)では1:07.3という速いタイムが計測され、短距離戦とはいえ33秒台の上がりがマークされていた。
先週日曜日は外を通った馬が好走

3着内に好走した馬の通過順位を見ると、土曜日は4レース全ての勝ち馬が4角5番手以内と比較的先行した馬が好走していたが、日曜日になると傾向は一変。4角12番手(15頭中)、4角6番手(10頭中)、4角6番手(9頭中)と差し馬の勝利が目立っていた。

また、3着内馬の直線での進路取りは、土曜日のレースでも2000mの3歳未勝利と野島崎特別では先行した勝ち馬がいずれも内から4頭目を通っていた。ニュージーランドTで逃げたバスラットレオンが直線で内から4頭目まで持ち出していることからも、最内の馬場はあまり良くないという印象を受けた。
日曜日は後半にかけて内を開けるレースが増え、3着内馬の80%が内から7頭目より外のコースを通っていた。今週は水曜日に雨が降り、さらに週末も量は多くなさそうだが雨予報が出ている。外有利の馬場になる可能性が高い。
競馬場こそ違うものの大阪杯では、川田騎手が馬場の悪い内を避けて外に持ち出した騎乗で勝利、先述のニュージーランドTでも藤岡佑騎手が同様の乗り方をして勝利しているだけに、直線でどこに進路を求めるのか騎手の判断が問われるレースになるかもしれない。
レースレベルの高い共同通信杯
ここからは皐月賞の注目馬の馬場適性について考察していく。

【エフフォーリア】
前走の共同通信杯は好位追走から上がり33.4の末脚で抜け出し、後続に0.4秒差をつけて快勝。2走前の百日草特別の内容も踏まえると、瞬発力勝負への適性はかなり高い。それだけに東京競馬場で行われるダービーが最も能力を発揮できる舞台だと考えるが、共同通信杯で負かした馬たちのその後の活躍を見ると能力自体は抜けている。スムーズに馬場の良い外目に持ち出すことができれば、あっさり勝たれても不思議ではない。
【ダノンザキッド】
前走の弥生賞ディープインパクト記念は、休み明けに加えてスローペースの瞬発力勝負と不向きの展開だった。それだけに前走よりペースが流れる点、雨の影響で上がりがかかりそうな点は歓迎。川田騎手なら的確な進路どりをするだろう。
【ヴィクティファルス】
共同通信杯ではエフフォーリアに完敗と言っていい2着だったが、前走のスプリングSでは4角で大外を回るロスがありながら差し切りという内容。中山コースへの適性は高い。重馬場を経験しているということも強みとなりそうだ。
【ステラヴェローチェ】
共同通信杯は5着に敗れたが、長くいい脚を使いつつ上がりもまとめるタイプなので、瞬発力勝負は不向きの展開だった。不良馬場でサウジアラビアRCを勝利しており、雨が降っても問題なし。前走のレースレベルは高く、巻き返しは可能だ。
【アドマイヤハダル】
前走の若葉Sは4番手追走から1:59.5の好タイムで勝利、上がりも33.7でまとめた。この内容から、ある程度のタイムが出る馬場状態ならチャンスありだと考えるが、馬場が悪化して上がりがかかると割引が必要かもしれない。
【アサマノイタズラ】
スプリングSではゴール前でヴィクティファルスに差されたが、早めに動いての結果なので仕方ない面はあったと言える。今回も雨の影響が残る馬場になれば、穴を開ける可能性は十分ありえるだろう。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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