【皐月賞】ダノンザキッドの巻き返しに暗雲 弥生賞1番人気馬の皐月賞成績は?

高槻とおる

皐月賞トライアル弥生賞1番人気馬の次走ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ダノンザキッドとエフフォーリア

ダノンザキッドの弥生賞3着敗退で、にわかに混戦ムードが強まってきた皐月賞。別路線からエフフォーリアという新星も現れ、馬券的にはかなり面白さを増してきた。ここまでのレース振りから素質の高さは間違いないダノンザキッドとエフフォーリアの2頭だが、どちらも皐月賞に向けての不安材料も抱えている。

ダノンザキッドは前哨戦の弥生賞で断然人気を裏切る3着に終わったこと。そこまでの3戦が完勝続きだっただけに、連対も確保できない敗北は衝撃だった。川田騎手を始め関係者はあくまで前哨戦と割り切っている印象だが、人気で弥生賞を敗れた馬の皐月賞での巻き返しがどのくらいあるのか、巻き返した馬の特徴などを過去のデータから探っていきたいと思う。

底を見せないエフフォーリアの勢いは魅力だが、この馬にも中山コース初経験という不安材料がある。好馬体、追えば追うほど伸びる末脚と魅力にあふれる馬で、自分としてはダービーの最有力候補と考えている素質馬だが、ここ2戦は東京コースでのスローの瞬発力勝負で強い競馬を見せており、小回りで揉まれる展開になった際の不安は小さくない。過去の同タイプの馬の皐月賞成績をチェックしてみたいと思う。

次走が意外に振るわない弥生賞1番人気

まずはダノンザキッドの不安材料から確認してみよう。昨年までの過去10年、弥生賞1番人気馬10頭の弥生賞での成績と、その次走成績を表にしてみた。

弥生賞1番人気馬の成績と次走ⒸSPAIA


弥生賞を人気で敗れた馬の巻き返しを調べるつもりで表を作ったのだが、この成績にはちょっと驚かされた。弥生賞1番人気馬の弥生賞成績は4勝、2着2回と悪いものではないのだが、問題はその次走だ。弥生賞の着順にかかわらず、次走勝ち星をあげている馬が10年間で1頭もいない。弥生賞で連対した6頭の次走成績も【0-2-0-4】と、まったく冴えない成績だ。

弥生賞を1番人気で敗れた馬の中で、皐月賞に出走している馬はニシノデイジー、リオンディーズ、エピファネイア、アダムスピークの4頭。この4頭の皐月賞での成績は17着、5着、2着、18着で、馬券圏内の成績を確保できたのはエピファネイアしかいない。

弥生賞を1番人気で優勝した馬で皐月賞に出走した馬は3頭(カデナ、トゥザワールド、サダムパテック)いるが、この3頭の皐月賞成績は9着、2着、2着。優勝こそないものの、3頭中2頭が連対を確保しており、軸馬としての信頼度はやはりこちらの方が上。今年の弥生賞を1番人気で3着に敗れたダノンザキッドにとっては、不安を感じさせるデータになってしまった。

中山コース未経験は克服可能

続いてはエフフォーリアの不安材料をチェックしてみよう。スローの瞬発力勝負になりやすい共同通信杯だが、本番への直結度はどうか。過去10年の優勝馬の中で、中山コース未経験で皐月賞に出走した馬の成績を見てみよう。

中山コース未経験の共同通信杯優勝馬成績 2011~2020年ⒸSPAIA


広い東京コースで存分に力を発揮してきた馬にとって、小回りの中山コースで揉まれる競馬はかなりのストレスになると思うが、イスラボニータとゴールドシップの2頭が中山コース初経験で皐月賞制覇を果たしている。ただし、2頭はともに皐月賞がデビューから6戦目で、レース経験は積んでいた。キャリア3戦で臨むエフフォーリアにとっては、さらに優勝のハードルは高くなる。

ただ、エフフォーリアのデビュー戦は札幌で、小回りのコース自体は経験済みだ。上記の4頭の中では、ゴールドシップが函館、札幌で計3戦をしており、中山コース経験はなくても、ローカルの小回りコースの経験はプラスになると判断したい。

データを調べる前は、ダノンザキッドの巻き返しは十分にあるとみていたが、正直かなり不安になってきた。逆にエフフォーリアは「ダービーが狙い。皐月賞は人気なら軽視しても・・・」なんて考えていたのだが、中山未経験は致命的なマイナス材料とはいえないようで、なんだか迷いが深まってしまった。

データを信頼するなら、思い切ってダノンザキッドは軽視。エフフォーリアに関しては優勝のハードルは高いが、コース未経験は素質でカバー可能。好走の可能性は十分にあるといえるだろうか。

有力馬の取捨に迷いが出ているということで、個人的には伏兵馬の台頭を期待したい。東京ではエフフォーリアを負かすのが難しそうなヴィクティファルスだが、エフフォーリアが中山で立ち回りに苦労するようなら、逆転の目もあるかと少し期待している。

ライタープロフィール
高槻とおる
グリーンチャンネルで結果分析、レース分析番組の構成作家を担当していた。現在は経営者取材などライターとして幅広く活躍中。ラップを長年研究しているが、実は馬券はパドック派。

弥生賞1番人気馬の成績 2011~2020年ⒸSPAIA



《関連記事》
【皐月賞】今年こそは共同通信杯組! ダノンザキッドよりエフフォーリアを買いたいワケとは
【皐月賞】東大HCが中山芝2000mを徹底検証 馬券に役立つデータは?
上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」

おすすめ記事