【桜花賞】大苦戦の美浦所属騎手には要注意 京大競馬研の本命は阪神JF2着のサトノレイナス

京都大学競馬研究会

桜花賞の所属東西成績比較ⒸSPAIA

馬も騎手も厳しい経験が必要

4月11日に阪神競馬場で桜花賞(GⅠ)が行われる。阪神JFの覇者ソダシと同レース2着のサトノレイナスが今年の初戦を迎えるほか、トライアルを勝ったメイケイエールやエリザベスタワー、シゲルピンクルビーなど重賞実績持ちが多くハイレベルなレースが期待できそうだ。ローテーションなど今までの傾向とは異なる要素が多く予想は難解だが、データを精査して的中を目指す。

過去10年の桜花賞調教師所属別成績ⒸSPAIA


まずは過去10年の桜花賞における馬の東西所属別成績を調べた。関西圏のレースなので栗東所属馬の出走が多く、美浦【3-1-4-57】に対して栗東【7-9-6-91】と成績も栗東の方が圧倒的優勢だ。また美浦所属ながら3着内に好走できた8頭は全馬関西遠征の経験があった。今年の関東馬で関西遠征の経験があるのはブルーバードとサトノレイナス、ククナ、ソングライン。未経験組にはアカイトリノムスメやファインルージュなど人気になりそうな馬もいるが、危険な人気馬と言える。

次に過去10年の騎手の所属別成績を調べた。

過去10年の桜花賞騎手所属別成績ⒸSPAIA


栗東所属の騎手が【9-7-8-98】と圧倒している一方で美浦所属の騎手は【0-3-1-48】と悲惨。何より未勝利という点を頭に入れておきたい。2015年1人気9着のルージュバック(戸崎圭太騎手)や2018年1人気2着のラッキーライラック(石橋脩騎手)など人気でも勝てていないので、関東の騎手が乗ったら危険ぐらいに考えても良いかもしれない。

また過去10年の桜花賞勝利ジョッキーについて精査してみると、桜花賞初騎乗で勝利した日本人ジョッキーはおらず、勝利するまでに2回以上桜花賞での騎乗経験があった。JRA移籍後のルメール騎手ですら1倍台の人気を2度裏切る苦い経験を積んだ後に、アーモンドアイ、グランアレグリアと連覇を達成している。アカイトリノムスメに乗る横山武史騎手は今回が桜花賞初騎乗。先述のデータも相まっていきなりの好走は厳しいか。


GⅠで結果を残していれば、休み明けでも問題ない

次に過去10年の前走レース別成績を調べた。

過去10年の桜花賞前走レース別成績ⒸSPAIA


1着頭数、勝率ともに最も高いのは前走チューリップ賞組で【5-7-6-28】と優秀。一方、前走フィリーズレビュー組は【1-0-2-53】、前走クイーンC組は【0-2-1-15】と大きく水をあけられている。今年は2頭が直行の前走阪神JF組は【0-1-0-3】。前走朝日杯FS組との合算でも【1-1-0-4】と良くはないものの、年末のGⅠからの直行で成績を残した2頭(レッドリヴェール、グランアレグリア)はどちらもGⅠで馬券に入った実績馬だった。GⅠで確かな実績を残していれば、レース間隔が空いても何ら問題ないと言えるだろう。


大外から末脚炸裂

◎サトノレイナス
阪神JFはハナ差の2着。サフラン賞では残り600mから追い始めているようにエンジンの掛かりが遅い馬だが、早めに前が空いたソダシとは対照的に内でさばく手間があったために脚を余してしまい、ソダシに届かなかった。しかし残り200mの伸びは見事で、2着でも全く悲観することはない。アーモンドアイやアパパネなど牝馬の育成に定評のある国枝厩舎。休み明けも当然問題ないので、外から早めに追い出せる環境かつルメール騎手騎乗なら十分逆転可能と判断して本命を打った。

○ソダシ
阪神JFの覇者。内で器用に立ち回り、サトノレイナスに並ばれてからも抜かせない根性のある馬なのでここでも勝負圏内ではあるが、過去10年阪神JFの勝ち馬が1頭も桜花賞で勝てていないのは気になるデータだ。今回は逃げたい馬がおらずスローペースが見込まれるので、切れ味勝負になるとサトノレイナスとの比較で分が悪いと考えた。

▲ヨカヨカ
フィリーズレビューは2着もハイペースを前目から早めに抜け出す、負けて強しの競馬だった。2走前の阪神JFも逃げて目標にされる厳しい競馬をした。今回は前走ほどのハイペースは見込めないため、ここ2走とは変わって楽に走れそうだ。

△エリザベスタワー
チューリップ賞はかかったりよれたりしながらも1着。2走前は直線では舌を出していたように、力を全く発揮してないので参考外でいいだろう。チューリップ賞の時計は稍重ながら1:33.8と悪くないので、ここでも好走できるだけの力は秘めている。

☆アールドヴィーヴル
前走クイーンCは前走比マイナス18キロと輸送減りした中でも2着を確保出来た点を評価できる。今回は関西圏のレースで前走よりは良い状態で走れそうだ。馬体が戻っていれば抑えておく必要がある。

☆シゲルピンクルビー
フィリーズレビューはヨカヨカの後ろをついて行って最後捉えて1着。末脚は良いものがあるが阪神JFは17着で、キャリアの浅さを差し引いても特に強調できる点はない。しかしデータ上関東馬がほとんど買えないだけに、栗東所属のこの馬が3着ぐらいに来る可能性があるかもしれない。一応押さえるが使い減りするタイプなので、プラス体重で出ない限りは消し。

消アカイトリノムスメ
関西遠征の経験が無い関東馬が1頭も馬券になっていないこと、横山武史騎手が桜花賞初騎乗であること、その横山武騎手が美浦所属であること、前走クイーンC組の成績が【0-2-1-15】と悪いこと、などデータ上買える要素が全くない。

クイーンCで4着だったエイシンヒテンは次走のフィリーズレビューで大敗しているように、メンバーが強力だったとも考えにくい。遠征を経験させていない点も陣営のここに向けた勝負度に疑問を感じるので今回は消しとする。兄弟が2000m前後のレースを走っており距離延長は問題ないので、出来ればオークスで人気を落としたときに買いたい馬だ。

消メイケイエール
前に馬がいると引っかかってしまうタイプで、大外から上手く乗ったJFでも4着、距離が長いにもかかわらず内に潜れないため好走条件が狭い。4枠8番という逃げなければ囲まれる枠に入ってしまった。本番も口を割って走るだろう。体力消耗は避けられず好走は厳しいと考えた。

データ上では阪神JFの上位2頭を脅かせる馬を見つけることが出来なかった。その2頭の力を信用してサトノレイナスの単勝とレイナス-ソダシの馬連1点、3連単2頭軸の4頭流しで厚めに買いたい。(文:福山)

▽桜花賞▽
◎サトノレイナス
○ソダシ
▲ヨカヨカ
△エリザベスタワー
☆アールドヴィーヴル
☆シゲルピンクルビー

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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