【桜花賞】「上位人気の先行馬」「ローテにゆとりある中枠」が肝 東大HCの本命はメイケイエール

東大ホースメンクラブ

桜花賞の脚質別成績ⒸSPAIA

「差し追込有利」?

4月11日(日)に阪神競馬場で行われる桜花賞(GⅠ・芝1600m)。3歳牝馬18頭が桜舞う仁川の舞台での牝馬クラシック開幕戦に集結した。人気の中心は2歳女王ソダシとそれにハナ差まで迫ったサトノレイナスの直行組2頭。阪神JFで熱戦を繰り広げた両頭が舞台はそのままに4ヶ月の時を経て再戦する。

加えて三冠牝馬アパパネの仔であるアカイトリノムスメや気性難を抱えながらも重賞3勝を挙げているメイケイエールなど、直行組以外にも有力馬がスタンバイ。先週の大阪杯のように2強との見方が強いが、その大阪杯は蓋を開けてみれば波乱が待っていた。さて今週の「2強」は信頼できるのか。それとも今週も2強をねじ伏せる存在が現れるのか。データを踏まえて検討しよう。

まず、過去10年の傾向を分析する。

桜花賞過去10年ラップと通過順ⒸSPAIA


15年(レッツゴードンキが逃げ切り)を除けば概ね前傾ラップ。前後半の3Fタイムが1秒以上違うことも珍しくない。外回りで相対的に直線が長いことも手伝って後方待機勢の好走も多く、連対馬の半数以上が4角10番手以下であった。制御不能のメイケイエールが逃げ宣言をしており今年もペースが流れることは必至。人気に拘らず展開を利して突っ込んでくる差し・追込馬に気を配りたい。

とはいえ、先行勢が全く戦えないということもない。逃げ・先行馬は【3-3-1-39】と一見不調だが、5番人気以内に限れば【2-3-0-4】で連対率は56%。さらに馬券外に敗れた4馬のうち、1番人気2頭はともに4着と大崩れはない。ソダシを始め、中~上位人気に推されそうな先行馬には追い風のデータだ。


臨戦過程にゆとりある中枠

桜花賞過去10年・中4週以上の馬の枠別成績ⒸSPAIA


次に枠番別成績をみてみる。と、その前に、過去10年の桜花賞で中3週以内での臨戦となる馬は【1-0-3-87】と大苦戦。そこで今回は中4週以上の間隔で臨んだ馬に限って枠順別成績を用意した。まず目を引くのは内枠の不振ぶり。特にソダシが収まった2枠からは勝ち馬はおろか連対馬すら出ておらず評価を下げざるを得ない。

これに対し4枠(複勝率44.4%)、5枠(複勝率55.6%)は高い水準で安定しており、先行馬から追込馬まで脚質によらず好走している。これに該当する4枠8番メイケイエールや5枠10番アールドヴィーヴルは必ず押さえたい。6~8枠に関してはまずまずの連対率だが、馬券になった11頭のうち9頭は3番人気以内であった。減点材料ではないものの、人気馬以外の好走は見込めず複勝回収率50%台と馬券的な妙味はない。

近3週の日曜阪神は全て雨で、大阪杯では直線で各騎手が内を避けるシーンもあった。しかし今週から阪神芝コースはBコースとなり、内の傷んだ部分は保護され、差し向きのバイアスは弱まると考えられる。ラスト200mで様相が一変するような競馬にはならず、先行勢にも十分勝機があると見る。


能力全開で逃げ切りに期待

本命は4枠8番メイケイエール。阪神JFでは初のマイル戦で距離が心配されたが、終わってみれば0秒2差の4着と健闘。続く同舞台でのチューリップ賞では武豊騎手に折り合うのを諦められてコーナー中間で先頭に立ってしまった。並の馬なら失速するところを、それでも最後まで残したのは高い地力があればこそ。中枠の偶数番を引けたのも大きい。そして鞍上は何かやってくれそうな横山典弘騎手。個人的に白毛のソダシよりもかわいらしさを感じていることもあり、混戦模様の桜花賞はこのじゃじゃ馬に存分に振り回されようと思う。

対抗は2枠4番ソダシ。Hペースを先行した札幌2歳Sでは豊富なスタミナを示し、続くアルテミスSではSペースからの末脚比べにも対応して瞬発力勝負も制してみせた。さらに阪神JFではその類い稀な勝負根性でサトノレイナスとの内外離れての追い比べにもハナ差で勝って2歳女王に輝いた。レースに出走するたびに違った強さをみせており、そのポテンシャルには毎回驚かされる。加えて1番人気の先行馬に大崩れがないことは先述の通り。枠で評価は下げたものの実力は間違いなく上位だ。

3番手に5枠10番アールドヴィーヴル。不良馬場で前残りの展開のなか他馬を外からまとめて差し切った新馬戦のパフォーマンスは強烈だった。前走クイーンCでは初の輸送と大幅な馬体減という不安がありながらも2着。キャリア2戦目にして本番への挑戦権を獲得し、センスの良さを示した。体が増えていればその素質を遺憾なく発揮できるはずだ。

4番手に8枠18番サトノレイナス。キャリア4戦目で桜花賞に挑戦する馬のうち、新馬戦以外で牡馬との対戦歴のない馬は桜花賞【0-3-1-8】と勝ち切れていない。2強のうちでは札幌2歳Sで牡馬相手に勝利したソダシに分がある。また勝負どころでの反応がいまいちな点からもマイルは忙しそうでオークス向きといった印象がある。

以下、使うたびに成長が感じられる3枠5番アカイトリノムスメと、メイケイエールほどではないにしろ気性が難しく真の実力が知れない7枠13番エリザベスタワーまで押さえる。穴目では4枠7番ククナに注目。ここ2戦は力が足りない印象だが、好枠とHペースを活かすことができれば勝負になる。

▽桜花賞予想▽
◎メイケイエール
○ソダシ
▲アールドヴィーヴル
△サトノレイナス
×アカイトリノムスメ
×エリザベスタワー
☆ククナ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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