【阪神牝馬S】京都牝馬S組は危険 ならば狙いたい中距離組のマジックキャッスル

佐藤永記

阪神牝馬S過去5年の3着内の4着通過順位

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阪神芝1600mは日本マイルの中央値 純粋なマイル適性を探れ

この重賞・阪神牝馬Sは厄介だ。なにせ、過去傾向を見れば見るほど「法則」がないのである。データ予想する際に切り口を間違えるととんでもない大ハズレを引いてしまいそうな地雷的要素が満載なのだ。1400mから1600mとなったのが5年前のため、過去5年を参考に結果を見てみるだけでも上位入着馬の道中位置が逃げから追込までバラバラ。阪神牝馬Sが簡単なレースでないことがわかる。

阪神牝馬過去5年上位馬の4角通過順位,ⒸSPAIA

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つまり出走馬の能力や脚質などを見て、純粋にこのメンバーならどの馬のマイル適性が高いか、という予想をするのが阪神牝馬Sでは有効ではないだろうか。その理由は阪神芝1600mは中央の芝1600m全体の傾向と大して差がない「平均的」なコースだからである。

1600m脚質別成績比較,ⒸSPAIA

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昨年からの脚質別成績を見ると、逃げ馬の勝率だけは阪神芝1600mが18%、全コース芝1600mが13.9%のため若干有利となっている程度で、これも複勝率まで広げるとどちらも32%と差がなくなる。他の脚質の成績はほぼ一致しており、阪神芝1600mは日本のマイルの中央値を叩き出すレイアウトだといって差し支えないだろう。よって、純粋に出走馬ごとに1600mで強いかどうかをデータで探ってみたい。

逃げるイベリスは単騎だが

今回の阪神牝馬Sに登録している13頭のうち逃げ馬となるとイベリスしかいない。少々逃げ切りが他コースよりも決まる阪神芝1600mで、なおかつ前走京都牝馬Sを勝っているため人気になりそうだ。

ただ、このイベリスはほとんど1400mばかり使われており1600mは2戦しかしていない。その限られた1600mでは【1-0-0-1】、3歳G3のアーリントンカップ勝ちがあり一見対応できそうにみえるのだが、アーリントンカップは1000m通過が59.8。3走前の6着だったリゲルSでは59.5とあまり変わらず、上がりもアーリントンカップが34.4に対しリゲルSでは34.0。いずれも3歳時と比べれば少しだけ成長はしているものの古馬オープンで勝ち切るには一歩足らない印象だ。前走勝利した京都牝馬Sの1400mなら保つが、1600mではどうだろうか。

となると京都牝馬Sで追い込み届かず2、3着だったギルデッドミラーとブランノワールの逆転を考えたいところだが、ともに1600mのリゲルSでイベリスより先着できていないことを考えると果たしてこの2頭も1600mで保つのか心配である。それならば逆に中距離傾向の馬を狙うのはどうだろう。

狙うべきは中距離組の2頭

マジックキャッスルは近況2000m前後を使われているが、もともと桜花賞までは短距離を中心に走り好成績を収めていた。最後の1600mだった桜花賞はデアリングタクトやレシステンシアがいた強力な世代でなおかつ重馬場、レースの上がりがメチャクチャかかって、勝ったデアリングタクトでも36.6。他馬は37秒台から41秒台まで失速したという例外中の例外といっていい。前走愛知杯を勝っており調子に問題はなさそうで、今回有力馬に1400m向きの馬たちが揃っていると考えれば、こちらのほうが狙いやすい。

デゼルにも注目したい。前走の初音Sは道中速くもならず遅くもならず、逃げたショウナンハレルヤ騎乗の横山武史騎手が絶妙の平均ペースを作り出し、好位勢が上位に多く入着する結果となったレース。そんな中、唯一の上がり34秒台(34.4)を繰り出し4角10番手からしっかり人気に応えて差し切った。1800mから距離は短くなるが、このレース内容なら200m短くなっても問題がなさそうだ。

馬券はこの2頭を中心に3連複で組み立てて、相手を手広く流し高配当を期待したい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。


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