【桜花賞】買うしかないメイケイエール横山典弘 東大HCが阪神芝1600mを徹底検証

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コース紹介

阪神芝1600mコースデータ,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

今週は阪神芝1600mを舞台に牝馬クラシックの初戦、GⅠ・桜花賞が行われる。4戦4勝のGⅠウィナーとして白毛馬初のクラシック制覇に挑むソダシを筆頭に、阪神JFで2歳女王を最も追い詰めた良血馬サトノレイナス、牡牝三冠馬を両親に持つアカイトリノムスメなどが桜の女王の座を争う。

当該コースが舞台の重賞は6レース。GⅠは今週の桜花賞に加え、暮れの2歳最強マイラー決定戦の阪神JF・朝日杯FSの3レース、GⅡは桜花賞の最重要ステップレースであるチューリップ賞、今週土曜に行われる阪神牝馬S、GⅢは3着までにNHKマイルへの優先出走権が与えられるアーリントンCが行われる。

これらのレースに加え、2021年は京都競馬場改修などに伴う開催日割の変更を受けてさらに3つの重賞が開催される(GⅠマイルCS、GⅡデイリー杯2歳S、読売マイラーズC)。この阪神芝1600mについて、データを見ながら分析していこう。(使用するデータは2016年4月9日〜2021年4月4日)。

まずはコース紹介。阪神芝1600mは2006年の改修によって誕生した外回りを使用する。向正面をスタートして3コーナー手前まで上り、4コーナーの途中まではほぼ平坦な道を進む。残り3ハロンあたりから400m程度の下り坂を迎え、ゴール前の急坂(高低差1.8m)を駆け上がるとゴールが待ち受ける。

Bコース替わりを意識して

阪神芝1600mの枠順別成績ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の枠別成績>
1枠【39-24-31-284】勝率10.3%/連対率16.7%/複勝率24.9%
2枠【24-26-35-310】勝率6.1%/連対率12.7%/複勝率21.5%
3枠【32-26-29-327】勝率7.7%/連対率14.0%/複勝率21.0%
4枠【32-31-28-345】勝率7.3%/連対率14.4%/複勝率20.9%
5枠【37-42-35-354】勝率7.9%/連対率16.9%/複勝率24.4%
6枠【33-47-36-370】勝率6.8%/連対率16.5%/複勝率23.9%
7枠【45-39-37-446】勝率7.9%/連対率14.8%/複勝率21.3%
8枠【33-36-42-497】勝率5.4%/連対率11.3%/複勝率18.3%

枠別成績では大きな偏りはないものの、距離ロスが大きい8枠は減点が必要。勝率ベースでは1枠が唯一1割の大台に乗せており、普段は経済コースを利した走りができそうな馬を買いたいところ。

今週から阪神はBコース替わり。桜花賞がBコース施行になったのは2007年以降だが、この期間の桜花賞では1・2枠が【0-1-4-49】と逆に苦しい。昨年は2枠3番からスマイルカナが3着も、5番人気以内の馬では10頭中8頭が馬券圏外に沈んでおり、点数を絞るならば原則的に内枠から消したい。

阪神芝1600mの脚質別成績ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【41-26-21-185】勝率15.0%/連対率24.5%/複勝率32.2%
先行【109-105-94-699】勝率10.8%/連対率21.3%/複勝率30.6%
差し【93-97-109-1099】勝率6.7%/連対率13.6%/複勝率21.4%
追込【32-43-48-942】勝率3.0%/連対率7.0%/複勝率11.5%

脚質別成績では当然逃げが最も有利、先行と続く。ただ差しの数字が極端に悪いわけではないので、道中の位置取りだけで評価を下げることはできない。

前述したBコース施行の桜花賞では逃げが【1-1-1-14】と凡走が多いものの、その他の脚質も複勝率15%~18%と似たり寄ったり。レッツゴードンキ逃げ切りのような年もあればマルセリーナ・ホエールキャプチャ・トレンドハンターが揃って後方一気のような年もあり、つかみどころに欠けるのが桜花賞である。

強いて鉄板の好走パターンを挙げるとするならば「前走阪神芝マイルで先行組」。Bコース施行の桜花賞、前走で2番人気以内に支持されて4角3番手以内の競馬をしていた馬は【4-2-0-1】、連対率85.7%を記録している。今年の該当馬は単勝1.6倍のチューリップ賞で武豊騎手がお手上げ気味にハナを進ませ、同着とはいえ勝ち切ってしまった世代屈指の暴れん坊、メイケイエールしかいない。

買うしかない横山典弘メイケイエール

阪神芝1600mの種牡馬別成績ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【54-45-47-285】勝率12.5%/連対率23.0%/複勝率33.9%
キングカメハメハ【12-13-12-88】勝率9.6%/連対率20.0%/複勝率29.6%
キズナ【9-5-5-49】勝率13.2%/連対率20.6%/複勝率27.9%
エピファネイア【7-7-4-35】勝率13.2%/連対率26.4%/複勝率34.0%

種牡馬別では切れ味が活きるコースらしくディープインパクト産駒が走る。ただし8番人気以下では勝利がないこともあり、単勝回収率は55%と低調だ。

ライバル格のキングカメハメハ産駒も3割に迫る複勝率。クイーンCの豪脚で能力の片鱗を見せたアールドヴィーヴルが該当する。しかしオープンクラス以上では【0-1-3-26】、さらに5番人気以下では【0-0-1-21】と結果が出ておらず、データ上は買えない。その他キズナやエピファネイアが好成績。

1番人気濃厚のソダシはクロフネを父に持つ。同産駒は【5-2-4-39】複勝率22.0%と前述の種牡馬たちにはやや劣るものの、牝馬限定戦に限定すると【3-1-2-8】同42.9%とほぼ倍に。さらに5番人気以内では【3-1-2-3】同66.7%と結果を残している。白毛、金子真人HDとどうしても人気が集まる要素を備えているが、逆らってはいけない。

阪神芝1600mの騎手別成績ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【24-16-10-38】勝率27.3%/連対率45.5%/複勝率56.8%
川田将雅【35-18-21-72】勝率24.0%/連対率36.3%/複勝率50.7%
福永祐一【24-23-21-86】勝率15.6%/連対率30.5%/複勝率44.2%
吉田隼人【5-2-0-21】勝率17.9%/連対率25.0%/複勝率25.0%

騎手別成績ではルメール騎手が他コース同様に安定している。2番人気以内かつ前走3着以内では【17-7-6-8】複勝率78.9%とさすがの数字だ。該当条件を満たした牝馬では2018年桜花賞アーモンドアイから目下9戦連続馬券圏内を続けており、消しようがない。

エリザベスタワーとのコンビで3週連続GⅠ制覇に挑む川田将雅騎手はルメール騎手を上回る35勝を記録。重賞で前走1着馬に騎乗した際は【3-2-1-3】複勝率66.7%とそつのない騎乗を披露しており、偉業達成のシーンも十分見込める。福永祐一騎手は上記の2人に勝率では劣るものの、単勝回収率は102%と馬券妙味が上々だ。また吉田隼人騎手は4番人気以内かつ前走掲示板の馬で【4-2-0-2】と崩れていない。

そんななか、一番買いたいのは関東のレジェンド横山典弘騎手。期間内では19回しか騎乗がないものの複勝率3割超え、4番人気以内に限れば18年阪神牝馬Sをミスパンテールで勝つなど【1-2-2-0】のパーフェクトを達成。

このコースで栗東のトレーナーから騎乗依頼を受けた際は燃えるのか、「前走重賞勝ちの関西馬」では全キャリアまで広げても2008年・2009年マイラーズCで2年連続連対したカンパニー、前述のミスパンテール、20年朝日杯FS2着ステラヴェローチェと4度の騎乗でこちらも全て連対。八大競走で制していないのは桜花賞のみ、残り一つのピースを埋めるのは今年だ。

中内田リアアメリアで軍資金を作りたい

阪神芝1600mの厩舎別成績ⒸSPAIA


<阪神芝1600m・過去5年の調教師別成績>
中内田充正【16-9-6-35】勝率24.2%/連対率37.9%/複勝率47.0%
須貝尚介【10-10-15-51】勝率11.6%/連対率23.3%/複勝率40.7%
高野友和【7-7-6-35】勝率12.7%/連対率25.5%/複勝率36.4%
国枝栄【1-4-0-3】勝率12.5%/連対率62.5%/複勝率62.5%

調教師別成績では上位に栗東のトレーナーが並ぶ中、中内田充正調教師が16勝でトップ。重賞でも4番人気以内なら【4-2-1-4】複勝率63.6%、単複回収率140%以上と信頼のブランドである。残念ながら桜花賞には出走馬がいないが、土曜の阪神牝馬Sでリアアメリアを買って軍資金を作りたい。

ソダシを送り出す須貝尚介調教師も複勝率を4割に乗せている。1番人気では【4-3-5-3】複勝率80.0%とこれだけでも強調に足る数字だが、特筆すべきは該当条件で8戦連続馬券圏内を継続中であること。やはりこちらも買いだ。先週レイパパレでジャイアントキリングを成し遂げた高野友和調教師は5番人気以内で【7-5-4-12】と水準以上の数字。エリザベスタワーも買い目に入れておくべきだろう。

桜花賞に強力2騎を参戦させる国枝栄調教師はサンプルが少ないものの6割超えの連対率。外国人ジョッキーに依頼した際は【1-2-0-0】なので、買いはサトノレイナスだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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