【ダービー卿CT】予想の起点は東風Sの結果に 次走で買える馬、危険な馬は

勝木淳

2021年ダービー卿CTレース結果ⒸSPAIA

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東風S組にマイスタイルという組み合わせ

例年通り混戦模様のダービー卿CTは空手道連盟の騒動とは無関係ながらカラテが回避、当日に有力候補のウインカーネリアンが取消。戦前から難易度をさらにあげてレースを迎えた。前哨戦の東風Sはトーラスジェミニが前半600m34.6、800m46.1、1000m通過57.8で逃げ切り、4コーナー2番手だったボンセルヴィーソが2着という先行決着。

夏の巴賞と函館記念の関係のように、本番は反転。先行馬に厳しく、追い込みの競馬になった。トーラスジェミニは奇しくも昨年の巴賞1着から函館記念4着と同じパターンにハマり、6着。先行馬は後ろに睨まれると辛い。

トーラスジェミニからハナを奪ったのはマイスタイル。昨年のこのレース以来休養、1年ぶりの競馬だった。その20年ダービー卿CTは前半600m34.3、800m45.4、1000m通過57.1の超ハイペース。マイスタイルは控えたものの、ハイペースに巻き込まれて14着だった。前哨戦の2020年東風Sもハイペースだったが、先行したストーミーシーとアストラエンブレムのワンツー。本番も先行決着だったが、ペースを嫌って一旦下げた2頭(クルーガー、ボンセルヴィーソ)による1、2着だった。ダービー卿CTの予想は東風Sとは反転させて考える。予想のとっかかりはここにありそうだ。

マイスタイルの今年のペースは前半600m34.3、800m45.6、1000m通過57.1なので、昨年とほぼ同ペース。スマイルカナ、トーラスジェミニやボンセルヴィーソなど近況がいい馬の多い先行集団、プレッシャーは厳しかった。

成長したテルツェット、過信禁物カテドラル

勝利したテルツェットは大きな集団の背後で折り合いに専念、外からタイミングよく動いて抜け出した。デムーロ騎手は今年も関東中心に騎乗、中山は【8-7-7-26】勝率16.7%、複勝率45.8%と波長が合う。どちらかというと、中山で逃げ・先行馬に騎乗したとき(今年は勝率29.6%、複勝率70.4%)に強いイメージだが、この日は見事に待機策を決めた。

3歳夏からマイル戦で3連勝。いずれも新潟や東京、左回りで直線が長く、ペースが上がりにくい競馬での勝利だったが、中山のハイペースでも結果を出した。体質もよくなり、潜在能力を競馬で出せるようになった。デムーロ騎手はこの勝利でJRA通算1100勝を達成。パドックでの整列時にどの騎手よりも深々と一礼する姿など日本への愛を感じる騎手。一時期、スランプに陥ったが、リズムを取り戻しつつある。

2着はさらに後ろにいたカテドラル。後方で脚を溜めてタイミングよくスパートする、これが同馬のスタイル。田辺裕信騎手が乗って連続2着、手が合うようだ。だが、極端な競馬しかできないモロさは変わらない。中山のハイペースだったので2着まで来たが、先行勢のペースに左右される。今後も安定して走れるかどうかは疑問。差し有利なときに買い、そうでないときは消しぐらいの付き合い方が妥当だろう。

3着ボンセルヴィーソはこれで中山【0-2-3-2】。3歳時の京成杯AHと昨年の東風S以外はすべて馬券圏内と堅実。昨年と同じくハイペースを前で受け、3、4コーナーでは一度位置を下げながら盛り返してきた。混戦向きの渋さがある。強気な先行が売りの木幡巧也騎手に合っている。7歳でも活力十分。GⅢやリステッドで先行勢がそろった際に馬券に組み入れたい。

4着マイスタイルは坂をあがってあわやという場面を作った。長い休みを挟んだが、先行力と最後のしぶとさは健在。それだけに周囲のマークも厳しく、簡単には逃げさせてもらえないが、スキさえあれば好走する力はまだ十分ある。

1番人気で14着だったスマイルカナは12月のターコイズS以来の実戦だった。4コーナーで追走一杯、ステッキが入ってしまったように反応がイマイチ。亡くなった岡田繁幸氏名義での出走、人気のあと押しもあったが、今回は本調子ではなく、使ってよくなりそうだ。

最後に大きく離れた最下位だったレイエンダ。平地調教再審査になったが、スタート直後につまずき、走りのバランスを崩した。丸山元気騎手が再三、後肢を確認、レースに参加させず。大きな事故にならず幸いだった。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。

2021年ダービー卿CTのレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA


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