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【日経賞】牝馬ワンツーの決め手はペース ワールドプレミアは好発進

2021/03/29 11:59
勝木淳
2021年日経賞のレース結果ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

中山芝2500mのややこしさ

天皇賞(春)の関東における前哨戦・日経賞は、有馬記念と同じ芝2500mが舞台。中距離とも長距離ともとれるこの条件は、まるで鳥のような獣のような、どっちつかずのコウモリ。ペースによって問われる適性が変わる。有馬記念もハイペースになれば、アーモンドアイですら苦しくなるタフな長距離適性が必要。反対にスローペースのゆったりした流れから瞬発力勝負になれば、中距離型の切れ味がいきる。前半がどのぐらいで流れるか、展開読みがこの舞台を攻略するカギになる。

有馬記念は年末の大一番とあって、緩まずに流れることもあるが、日経賞は滅多に厳しいペースにならない。ほぼスローペースになり、天皇賞(春)を目指すようなステイヤーより中距離型や先行できる機動性を備えた馬が強い。ゆえに主役が凡走する場面が多い。2002年マンハッタンカフェは日経賞6着から天皇賞(春)を勝った。

今年も例年通りスローペースに流れる公算が高く、狙いは先行型か中距離型だった。実際、ジャコマルがつくる流れは1000m通過1分3秒近いゆったりしたペース。正面スタンド前でステイヤーズSを勝ったオセアグレイトが動き、3、4コーナーで菊花賞馬ワールドプレミアが早めに進出。ステイヤー適性が高いからこそ、切れ味勝負を避け、位置をとってスタミナ勝負に持ち込みたかった。ワールドプレミア3着、オセアグレイトは6着。この結果がスローペースの中距離型向きの競馬になった証。

ワールドプレミアは結果的に好発進

そうなれば、スタートでハナを脅かし、すんなり3番手のポケットに収まったウインマリリンも対応できる。スタミナを問われては厳しかったが、勝負所まで一切動かず、最後の600m11.8-11.3-11.8、この区間だけ脚を使って勝った。操縦性、機動性に若さが加わった結果だった。ジャコマルが4コーナーで外目に流れ、進路がきれいに開ける運もあったが、早めに動いてロングスパートに持ち込めば、中距離戦でもさらに上を狙えるだろう。

2着カレンブーケドールもウインマリリンの背後で同じく徹底して勝負所まで動かなかった。ワールドプレミアら早めに外を動く人気馬がいても、しっかり待てる。松山弘平騎手は自信をみなぎらせた。ただ、残り800mで斜行、制裁によって桜花賞と皐月賞に乗れなくなった。好事魔多し。人生とはこういうものか。

カレンブーケドールは6度目の重賞2着。どうにもタイトルが遠い。牡馬相手のレースでここまで安定して走るわけで、能力は相当高い。惜敗もあるが、1着馬には完敗といった敗戦も多く、乗り方がどうにも難しいようだ。前に行けば、差され、溜めれば取り逃すといった印象。勝つにはどうすべきだろうか。

3着ワールドプレミアは順調に使えない弱さを抱えるも、今回は乗り替わりで新味が出たか。中団で流れに乗り、外を勝ちに行った。スローの2500mは明らかに合わない。中距離型向きのレースで3着はむしろ評価したい。この競馬に上手に対応できていたら、かえって不安になった。やはりステイヤー資質が高く、天皇賞(春)で期待したい。とにかく順調に競馬に挑みたい。

ステイヤー資質でいえば、4着ヒュミドールも大いに適性がありそうだ。スローで先行勢が上位に占めるなか、しぶとく伸びて4着。枠なりにインコースに控え、4コーナーで馬場がいい外目に斜めに持ち出す好騎乗もあったが、最後までしっかり脚を使った。4着という着順もいかにもスローの日経賞で負けるステイヤーらしい。重賞経験を積み、そろそろ長い距離でさらにいい結果を出すのではないか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。

2021年日経賞のレース展開ⒸSPAIA


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