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【高松宮記念】ダノンスマッシュ念願のスプリント王に レースから見える今後の勢力図とは

2021/03/29 11:21
勝木淳
2021年高松宮記念レース展開インフォグラフィックⒸSPAIA

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ようやく本格化したダノンスマッシュ

ダノンスマッシュの高松宮記念は、これまで19年1番人気4着、20年3番人気10着。前哨戦を勝ちながらGIを勝てない、昨年秋からダノンスマッシュはそんな歯がゆさを脱しつつあった。スプリンターズS2着、そして香港スプリントでGⅠ初勝利。かつてのダノンスマッシュはそこにはいなかった。残るは国内タイトル、それも3年連続で挑む高松宮記念を勝たねばならなかった。

香港スプリントから前哨戦をパスし、今年はぶっつけで挑んだ。もう前哨戦は必要ない。ダノンスマッシュは詰めて使えば、パフォーマンスを落とす傾向がある。2月下旬から坂路で時計を出し、一杯に追うハードな調教とソフトな馬なり調教を織り交ぜる、計算され尽くした、万全な臨戦過程だった。

だが、高松宮記念当日は午後から強い雨が降り、馬場状態は重。20年3番人気10着と同じ馬場コンディションだった。阪急杯を勝った4歳レシステンシアに1番人気を譲ったのは、馬場適性も影響しただろう。しかし、ダノンスマッシュは完成した。川田将雅騎手は馬場状態への不安に対して、あえて馬任せに走らせようと腹をくくったという。状態に自信があったからこその判断だった。

1400m以上で狙いたい馬

モズスーパーフレアが内枠からすんなり先手を奪い、レシステンシアは初のスプリント戦とあって控え、ラウダシオン、セイウンコウセイ、ダノンファンタジーら番手につけた組は深追いするメリットはない。昨年は同じ重馬場でモズスーパーフレアが逃げて前半600m34.2。今年は34.1。ほぼ同じペース。ダノンスマッシュは昨年、中団から好位へ押し上げ、そこで止まった。だが、今年は馬任せに中団の外、目前にレシステンシアがいるポジションから最後の直線でレシステンシアとセイウンコウセイの間を割って出てきた。まるで別馬かのようなレース内容、これぞ本格化だった。

香港スプリントと高松宮記念連勝は父ロードカナロア、エアロヴェロシティ以来3頭目。堂々たるスプリント王者誕生だ。

2着は1番人気レシステンシア。1400mの阪急杯快勝で距離短縮に活路を見出し、1200m初挑戦。2着は力の証明だが、前走のようにスピードの違いで自力勝負に持ち込む形が理想。この先の折り合いなどを考えれば、1200m戦で控えるのはやむを得ない。積極的に進められる距離で改めて見直したい。

3着インディチャンプはスプリント適性で上位人気馬には見劣る。それを踏まえた上での騎乗だった。中団のインコースに控え、距離ロスを少なくすることでスピード勝負に対応。重馬場だったことも幸いし、道中の運びはスムーズ。直線もインがきれいに開いた。だが、内側の馬場状態が悪かった点と、1200mで脚を使わされ、溜めきれなかった点から最後に伸び負けた。

5着は昨年の勝ち馬モズスーパーフレア。ペースは昨年とほぼ同じだったが、後半600mは35.1。自身の記録は35.4。昨年は34.5だったので、昨年以上に馬場が悪かった。もしくは自身がパフォーマンスを落としたのか。いずれにしても今年も高松宮記念を底力勝負に演出、見せ場たっぷりだった。

4番人気ライトオンキューは17着。戦前は内枠に入ると【3-1-0-1】、重馬場【1-1-0-0】、1分8秒台後半以上の時計がかかるスプリント戦に強い、こういった条件に符合、横山典弘騎手への乗り替わりも相まって4番人気だった。レース内容はスムーズだったが、最後の坂で明らかに周囲に見劣った。北海道や京都に良績が集中する馬で、上記の好走条件に今後は平坦も加えたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。

高松宮記念のレース展開


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