【毎日杯】兄弟Vでいざクラシックへ! 偉大な王シャフリヤールは世代の頂点に届くのか

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アルアインに続く兄弟制覇
毎日杯といえば、皐月賞への「東上最終便」とも呼ばれるレース。確かにここを勝てば賞金の問題はクリア、中2週で来たるクラシック最初の一冠へ挑戦する権利は得るわけだ。だが、意図的にここを叩いて皐月賞を狙う陣営は少なく、賞金の加算が遅れてしまった馬や、NHKマイルCやダービーを見据えた馬にとっての裏街道といった性格が強い。
毎日杯→NHKマイルC→ダービーのいわゆる「マツクニローテ」を完走したのがクロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイ。ダービーは取消となったが、NHKマイルCをレコード勝ちしたのがダノンシャンティ。私のような若輩ファンにとっては印象深い、京都新聞杯→ダービーの「キズナローテ」もここが端緒となる。
先にも述べたが、基本的には賞金加算の遅れた馬を中心とした少頭数の年が多いレースながら、そこそこの頻度でGⅠ馬を輩出するのが毎日杯。直近のクラシックホースは続く皐月賞を9番人気で勝ったアルアイン。父ディープインパクト、母ドバイマジェスティ。そう、シャフリヤールの全兄だ。
21年の毎日杯を制したシャフリヤールの勝ち時計は1.43.9。これは「3歳」、「阪神の」といった垣根を飛び越えて、芝1800mの日本レコードタイだった。セントポーリア賞を強烈な末脚で楽勝したグレートマジシャンも相当な素質馬だが、それを下した同馬の可能性はいかほどのものか、計り知れない。
着差に注目すると…
毎日杯の勝ち馬で後にGⅠを勝った馬は1986年フレッシュボイスから数え、18年ブラストワンピースに至るまで11頭。その毎日杯の「勝ちっぷり」を見ると、01年クロフネの5馬身が最大着差で、実に9頭までが後続に0.2秒以上の差をつけていた。
では着差をつけていなかったGⅠ馬2頭はというと、88年に2000m時代の毎日杯を0.1差で勝ったオグリキャップ、そして全兄アルアイン。どちらも馬群を割ってくるガッツ、叩き合いで抜かせない勝負根性が身上の馬だ。
シャフリヤールも着差こそわずかだったが、外からスムーズ、スマートにも見える差しを繰り出したグレートマジシャンとは対照的に、前を行く馬の間を突いて抜けてきた。GⅠ馬になる資質は十二分にあるだろう。進む道は兄と同じ皐月賞か、それとも「マツクニローテ」か、同父の先輩キズナの足跡をたどるのか。例年以上の大混戦となっている21年牡馬クラシックに、また新たな勢力が生まれたといっていい。
2着グレートマジシャンもレコードの同タイムで走っているのだから、その能力は疑いようもない。勝ち馬とは通ったところの差もあったし、初の右回り・関西遠征でこれだけ走れば優秀だ。開業して日の浅い宮田敬介厩舎がここからダービーに向けてどのように作ってくるのか、興味は大きい。
3着のプログノーシスは最後方、最内でとにかく脚を溜め、ハイペースも利していい脚を使った。展開が向き、コースロスを最小にとどめた上での離された3着だから、現状では力差を感じる。これで今年の毎日杯は3頭出走したディープインパクト産駒のワンツースリー。毎日杯のディープインパクト産駒は通算で【5-7-7-15】となった。複勝率56%とは恐ろしい。
もう使える回数も少ないデータになってしまったのは寂しいが、その仔であるキズナも種牡馬として阪神芝1800mとは好相性。単回収率407%、複回収率158%なので、今後はこちらに乗り換えていくのも血のロマンといえそうだ。

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