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【毎日杯】「関東馬」「共同通信杯組」が優勢 データからの本命は意外な人気薄

2021/03/25 11:00
門田光生
2021年毎日杯のデータⒸSPAIA

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西下してきた本気馬を狙え

今週の注目は何といっても、中京競馬場で行われる春のスプリント王決定戦・GI高松宮記念。また、ドバイでの日本馬の活躍も気になるところだ。とはいえ、先立つものがないと指をくわえて見るだけになりかねない。土曜日に行われるレースでしっかり稼ぎ、日曜日に向けてどんと構えることができれば理想だろう。

その土曜日に行われる重賞の1つが毎日杯。今年の1月に死亡した名馬・クロフネも、このレースを勝ってNHKマイルC制覇へとつなげている。ここ10年の勝ち馬を見ても、キズナ(ダービー)、アルアイン(皐月賞、大阪杯)、ブラストワンピース(有馬記念)など、のちにGIで活躍する馬を多く輩出。そんな意味でも、高松宮記念に負けず劣らず注目のレースといえるかもしれない。今回も過去10年のデータを基にして検証していきたい。

キャリアより素質

毎日杯出走馬の脚質ⒸSPAIA


いつもと違って、まずは脚質から見ていくことにする。というのも、ちょっと面白い傾向が出ていたからである。多くのレースは後方待機馬が不利なことが多く、よくて互角。しかし、このレースで最も連対率がいいのは差しで、続いて追い込み。馬券を買うにあたって頭に入れておきたいデータである。

毎日杯出走馬の所属ⒸSPAIA
毎日杯出走馬のキャリアⒸSPAIA


東西の所属別ではどうなっているのか。関西圏で行われる重賞は関西馬有利のケースが多く、このレースも美浦所属5連対に対して栗東所属は15連対。数の上では圧倒しているが、勝率、連対率は関東馬が優勢。関東馬の連対率27.8%、関西馬は同14.3%となっている。最終東上便と言われるこのレース、わざわざ西下して権利を取りにきた関東馬の本気度に乗ってみるのも一つの手だ。

この時期の3歳戦は素質を重視するのか、それとも実績重視か悩むところだが、この毎日杯は連対した20頭すべてがキャリア6戦以下の馬だった。早期デビューからキャリアを重ねてきた馬には厳しい戦いになるはずだったが、今回は登録馬全頭がキャリア6戦以下の馬となっている。

毎日杯出走馬の前走人気ⒸSPAIA


前走人気についてだが、1、2人気に支持されていた馬が好走傾向にある。ただ、7連対している前走1番人気組は、7頭すべてが2着。前走2番人気組も同様に7連対だが、1着馬を5頭も出している。頭で狙うにしろ、連軸に据えるにしろ、前走2番人気組の方が狙い目となる。

毎日杯出走馬の前走クラスⒸSPAIA
毎日杯出走馬の前走と場所ⒸSPAIA


上記で経験の浅い馬の方が有利というデータが出ていたが、新馬、または未勝利を勝った直後にいきなり挑戦、となると話が違うようだ。このパターンは23頭が該当して、連対したのは2019年の2着馬ウーリリだけ。前走オープン組も、該当する8頭すべてが連対を外している。やはり強いのは前走重賞組。

中でも数字がいいのは美浦所属で前走GⅢを使った馬。サンプル数は少ないが【2-1-0-4】で連対率は42%を超えている。勢いなら1勝クラス組で、3年連続でこの組が勝利を挙げている。今回は重賞組を上位にとったが、今年もこの組が結果を出すようだと、来年以降は傾向が変わったのだと考え直さなくてはいけない。

また、前走で東京を走っていた馬は連対率30%を超えており、これも美浦所属馬に限れば連対率50%以上となる。レース別だと共同通信杯組が【3-0-1-1】と好結果を残している。

毎日杯出走馬のプラスデータⒸSPAIA
毎日杯出走馬のマイナスデータⒸSPAIA


そのほかに気になるデータを並べていくと、まず生産者は社台ファームとノーザンファームの2牧場で4分の3にあたる15連対を記録。種牡馬ではディープインパクト産駒が10連対。2位が1連対だからその差は歴然だ。

社台グループとディープ産駒が好結果を出している一方で、不思議なことにセレクトセール出身馬は22頭が出走して勝ち馬が出ていない。2着は4頭いて20%弱の連対率があるので気にしなくてもよさそうだが、連ならまだしも1着候補からは外した方がいいかもしれない。

毎日杯出走馬の前走馬場ⒸSPAIA


最後に変わったデータを。前走が良馬場より稍重、稍重より重馬場を走った馬の好走率が高い。重馬場で力を出せなかった馬が変わり身を見せた、というわけではなく、重馬場で好走した馬が今回も好走というパターンもある。

因果関係がよく分からないので参考程度にしておくが、迷った際に最後の決め手として使えるかもしれない。

一変期待、ディープリッチ

長々と書いてきたが、そろそろまとめに入る。今回の毎日杯における好走パターンは、A「美浦所属、さらに前走が重賞、または東京ならなおよし」B「前走2番人気」C「共同通信杯組」D「社台ファームかノーザンファーム生産馬」E「ディープインパクト産駒」の5つ。

続いて凡走パターンはF「キャリア7戦以上」G「前走が新馬か未勝利、またはオープン」となる。 好走パターンの中でも強いデータは「前走を東京で走った美浦所属馬」だが、今年は4頭登録している美浦所属馬すべてが前走を東京で走っていた。

この中でロジローズは、該当する13頭すべてが馬券圏外の「前走未勝利組」なので本命候補から外せる。残ったのはイースタンワールド、グレートマジシャン、ディープリッチの3頭だが、もう一つの強いデータである「共同通信杯組」を満たしているのはディープリッチだけ。

毎日杯は前走で掲示板を外している馬が巻き返した例も複数あるので、8着に負けていることは気にしなくていいだろう。また同馬はD「ノーザンファーム生産馬」というのも後押しだ。ただ22頭が出走して1着がない「セレクトセール取引馬」にも該当するので、馬連の軸、もしくは馬単の2着付けがお勧めとなる。

残る2頭だが、イースタンワールドは好走データをA以外満たしていないのに対し、グレートマジシャンはDとEも該当。後者は外すわけにはいかない。対する栗東所属馬は、ディープリッチと同じく前走で共同通信杯を走ったシャフリヤールも有力な1頭。美浦所属以外のプラスデータをすべて満たしているのだがら、本命にしてもおかしくないぐらいだ。

上記で名前が出たロジローズは馬券率0%の「前走未勝利戦」があるのでいったん外したが、美浦所属馬のほかにも「B」「D」と好データを2つ持っている。ほかにめぼしい馬が見当たらないので、今回は押さえておく。この4頭のBOXが今回のお勧めだ。

◎ディープリッチ
〇シャフリヤール
▲グレートマジシャン
△ロジローズ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今週は4つの重賞に加えてドバイでも国際レースが開催。地方競馬も昼開催、ナイター開催と多彩。これがすべてネットで買えるのですから、便利な世の中になりました。その昔、電話(パソコン)投票の権利獲得は意外に狭き門でした(筆者も落選経験あり)。ネット投票の選択肢が多彩な今では信じられない話ですね。

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