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【フラワーC】意地を見せた実績馬 ホウオウイクセルの今後とユーバーレーベンの巻き返しはあるか

2021/03/22 14:52
勝木淳
フラワーカップ2021結果

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終わってみれば順当な結果

オープン馬5頭、1勝クラス11頭。例年通りフラワーCは単勝オッズ一桁台が7頭の大混戦。実績上位馬の出走は少なく、オープン馬と1勝馬の力差は接近、1勝馬でも十分通用するレースだ。今年は阪神JF3着ユーバーレーベンが登場。予定したチューリップ賞からスライドしてきたという事情こそあるものの、対ソダシ2、9、3着の実績馬は、能力を比較する物差しにもなるだろう。

結果はユーバーレーベンが3着、ホウオウイクセルが勝ち、2着エンスージアズムとオープン馬が上位を独占した。重賞連対歴がある馬と直前で1勝クラスを勝った馬という組み合わせ、終わってみれば順当だったといった感じか。

前半はスローも後半はロングスパートが試される流れ

伏兵アビッグチアが8枠から注文をつける形でハナへ。好発を決めた内のホウオウイクセルや5枠タウゼントシェーンが先手を主張しなかったため、隊列はすんなり。中山芝1800mは1コーナーまで距離がないので、外枠からハナに行くには内の馬をけん制するため、かなり脚を使わねばならず、コーナーでペースを落としにくい。

しばしばオーバーペースを生むシチュエーションだが、アビッグチアは比較的スムーズにハナに立てた。となると、コーナーでペースが落ちる。12.6-12.2-12.6。最初の600mは37.4。アブレイズが勝った昨年同区間は35.8。明らかにスローペース。その後は12.3-12.1で前半1000m通過1分1秒8(昨年は59.2)。こうなると先行有利だが、後半800m11.6-11.8-11.8-12.2。アビッグチアが瞬発力勝負を避け、ロングスパート型に持ち込んだ。先行型でも力がないと残れない流れだった。

実際にアビッグチアは直線入り口で一杯に。その背後、徹底してインコースを攻めたホウオウイクセルが最低限の動作で進路をつくって抜け出した。前走フェアリーSで後方から追い込み2着。今回は距離延長で一転して先行態勢がとれた。流れに乗れたことも大きいだろうが、ロングスパート型の競馬を好位から抜けるのは力の証しだろう。

父ルーラーシップ、母の父スペシャルウィーク、スタミナ型の血が距離延長で目覚めたわけだが、東京競馬場のスローペースとなると、どうだろうか。自力で動いてスタミナを生かす流れを作れるかどうか。今後はそれが課題だろう。オークスで可能性を感じる一頭だ。

2着エンスージアズムは通ったコースの差だろう。勝ち馬はペースがあがったときもインコース。こちらは外目に持ち出し、4コーナーでかなり外を回らされる形になってしまった。この点は痛かったが、動きは実にスムーズで、岩田望来騎手はやれることはやった。

1、2着はいずれも410キロ台の小さい馬。非力と思われがちな小柄な馬だが、先週土曜日の雨もあり、力のいる馬場になりつつある中山で最後までバテなかった。機動性とスタミナを備えたタイプ。桜花賞だと調整が難しそうだが、今後の楽しみはある。

強い競馬だったユーバーレーベン

1番人気ユーバーレーベンは3着。スタートでテリオスマナに寄られ、後方から。前につけられる馬ではないとはいえ、1コーナー12番手はレースの流れを考えると、致命的。中山芝1800mで後方追走から勝つには、4コーナーで好位に進出していないと厳しい。札幌2歳Sでは早めにまくる脚を見せたものの、今回はそこまで動かなかった。チューリップ賞出走予定をスライドした影響で動けなかったのか、それとも動かなかったのか。評価はわかれるところだが、中山のタイトなコーナーは合わない印象はあった。

流れに逆らいながらも、最後はしっかり脚を使って2着エンスージアズムとはタイム差なし。中2週の桜花賞に出走するかはわからないが、先日亡くなった岡田繁幸氏が桜花賞で期待していた馬。春のクラシックではなむけの好走なるか。

3番人気イズンシーラブリーは4着。同じ位置にいたエンスージアズムに伸び負け。最後の200mで苦しくなった。流れに乗り、不利もなく走り、外を通ったエンスージアズムに劣ったのは引っかかるところ。負けたのは距離延長が原因の可能性もあるが、次走、自己条件で上位人気に推されるようなら、嫌ってみてもいい。

フラワーカップ2021結果

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ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。


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